【マリーゴールド】5か月の欠場を経て復帰した天麗皇希「何もないところから一歩ずつ進んでいきたい」
昨年5月にプロレスデビューを果たした天麗皇希(あまれい・こうき)は、GHC女子初代王者に輝いたものの、初防錆戦で重傷を負い5か月の欠場を強いられた。そして5月24日、マリーゴールド代々木大会で復帰戦を行った。その9日後にはベルトを落としてしまったが、その視線は前を向いている。

復帰戦は思っている以上に力が入ってペース配分が狂った
昨年5月にプロレスデビューを果たした天麗皇希(あまれい・こうき)は、GHC女子初代王者に輝いたものの、初防錆戦で重傷を負い5か月の欠場を強いられた。そして5月24日、マリーゴールド代々木大会で復帰戦を行った。その9日後にはベルトを落としてしまったが、その視線は前を向いている。(取材・文=橋場了吾)
5月24日、天麗皇希は5か月ぶりの試合に臨むために入場ゲートをくぐった。場所こそ違えど、視線の先にはリングへ向かう坂道と遠く奥まで広がった客席。ケガをした大田区と同じ情景が、代々木にも広がっていた。
「一瞬『うわっ』となったのは事実ですね。でも復帰戦は一人ではなく、(田中)きずなさんがいたので。きずなさんが先を歩いてくれて、そこで景色が一気に変わったというか。私は当然緊張していたんですけど、いつも試合前に緊張しているきずなさんが『今日は皇希さんの力になりたいんで緊張しません』といってくれて、気が楽になりました(笑)。試合勘は正直なところ全然戻っていなかったですね。もともとリング上での視野が広いタイプではないと思うのですが、さらに狭くなっている感じがしました。ケガをする前とは全然違う感覚でしたね。スタミナのペース配分も狂っちゃって……思っている以上に力が入っていたんでしょうね。」
その天麗について2人のレスラーに話を聴いた。まずは天麗の復帰戦のパートナーを務めた田中きずな。
「私がマリーゴールドに移籍してきたときは、わくわくした気持ちと希望に満ち溢れていましたが、やっぱり一人で来ることへの不安がありました。その中で最初に話しかけてくれたのが皇希さんで、最初にご飯に誘ってくれたのも皇希さんだったんです。だからこそ初戦(2024.7.13両国国技館)も皇希さん相手に思いきりいけましたし、特別な存在なんです。リング上でも、プライベートでも、一緒にいるだけで安心できる存在……隣に皇希さんがいれば大丈夫なんじゃないかという魔法みたいな存在なんです。その皇希さんの復帰戦のパートナーが正直私でいいのかなという気持ちもあったんですけど、好きな気持ちは誰にも負けていないので、(ビクトリア)弓月とのタッグは別としても、私はこれからも組んでいきたいです」
もう一人、天麗の復帰戦の相手を務め、九州巡業でも対戦した勇気みなみ。
「代々木は復帰戦でしたから皇希さんからも緊張感が伝わってきましたけど、大舞台で決めきるのは流石だと思いました。あと福岡では3WAYで戦って、メガトンに新技(レッグ・バタフライロック)で勝ったじゃないですか。それって余裕があるなしではなくて、休んでいる間にいろいろなことを考えて研究していたからこそできたんだろうなと思います。私からしたら、そういうことができる皇希さんが凄いなと思いましたね」

今のマリーゴールドは、皆が同じ方向“性”に向かっている
天麗が欠場中に起きた大きな事件といえば、岩谷麻優のマリーゴールド入団だろう。
「今、マリーゴールド全体が上がってきている感じはして、そこに岩谷さんが加わって会場の熱気や盛り上がりは変わったなと思います。でも私はまだ蚊帳の外のような感じで……転校したての子みたいに様子を伺っている感じです。(岩谷は)やっぱりすごい選手だと思いますし、IWGP女子王座の防衛記録を持っている選手はGHC女子初代王者としては気になりますよね。今のマリーゴールドは、皆が同じ方向“性”に向かっていると思います。それぞれ個性があるので、見ていてワクワクするというか。勇気(みなみ)や橘(渚)が生き生きしていますし、選手層が厚くなってきているいい兆候なのかなと思います。(7月に道場がオープンして)リングでの練習が増えるということは、細かい練習にも時間を割けるようになるので、技術の向上につながっていけばいいなと思いますね」
天麗は6月2日にGHC女子王座を落としたが、5日の新宿大会では晴れやかな表情でリングに登場した。
「(ベルトを持っていることは)プレッシャーもありましたし、試合以外に解説や取材も増えて、時間の使い方に慣れていなかったのかもしれないですね。自分では全然実感はなかったんですけど、周囲からも当時は表情が暗かったといわれて、精神的にも肉体的にも相当堪えていたんだろうなと思いました。今は何もない天麗皇希なので、このタイミングで『楽しい』をもっと追求していきたいなと思っています。すぐにベルトというよりも、復帰して改めて段階を踏んで一歩ずつ進んでいきたいですね」
