【東京女子】現役JKレスラー・風城ハルがプロレスラーになるまで 幼少期から身近に「そういう日常だった」
東京女子プロレスにおける新世代「ねくじぇね」。2023年、24年と2年連続でトーナメントが行われたのだが、2年目の覇者となったのが風城(かざしろ)ハル。下馬評では「優勝候補の声がほとんどなかった(本人談)」彼女が見事優勝を果たした彼女にインタビュー。前編ではプロレスラーになるまでの話、そして今使っている技へのこだわりを聴いた。

デビュー戦は入場前が緊張のピークだった
東京女子プロレスにおける新世代「ねくじぇね」。2023年、24年と2年連続でトーナメントが行われたのだが、2年目の覇者となったのが風城(かざしろ)ハル。下馬評では「優勝候補の声がほとんどなかった(本人談)」彼女が見事優勝を果たした彼女にインタビュー。前編ではプロレスラーになるまでの話、そして今使っている技へのこだわりを聴いた。(取材・文=橋場了吾)
風城ハルは現在高校3年生。23年3月、中学3年生の終わりにプロレスデビューを果たした。
「来年卒業なんですが、就職は考えていなくて……このままプロレスラーとしてやっていく方向で考えています。私はテレビやYouTubeでプロレスが流れているのが普通の家庭で育ったので、小さいころからプロレスが日常にあって。毎年、DDTの両国国技館に観戦に行くのが家族行事でした。今でも、ケニー・オメガ選手がDDTに帰ってきた大会(2019年11月3日開催の『Ultimate Party 2019~DDTグループ大集合!~』)は何度も見直してしまうほどです。6時間半あるんですけどね(笑)。そういう日常だったので、いつの間にかプロレスラーになるんだと思いながら生活していて、中学1年生のときに東京女子プロレスに応募したんです。そのときは中学校の吹奏楽部に入ることが決まっていたので、部活を優先させましょうという話になりました。それで中学3年生になって部活が終わったタイミングで連絡を取って、入団しました」
デビュー戦は有明コロシアムで行われた。2023年3月19日、桐生真弥&上原わかな&HIMAWARI&鈴木志乃vs鳥喰かや&凍雅&風城ハル&大久保琉那という、のちに「ねくじぇね」と呼ばれる世代がそろったカードだった。
「(会場は)本当に大きかったですよ。試合中のことはほとんど覚えていないんですが、入場までは覚えています。コールを受けるのも不思議な感じでしたし、ポーズも試合直前に決めたものだったんです。デビュー戦は同期が一緒だったので、不安はなかったですね。一緒に練習していた選手(大久保)と同時デビューでしたし。緊張のピークは入場前でしたね」

これからもフィッシャーマンズ・スープレックスを「愛していきたい」
風城が自力初勝利を挙げたのが、2024年2月。同期とはいえデビュー日が2週間ほど早かった鈴木志乃からジャパニーズ・レッグロール・クラッチで3カウントを奪った。「うれしくて泣きましたね。終わったときに、うれしさと同時に緊張の糸が切れたというか。初シングルでしたし、志乃さんも初勝利がかかっていた試合だったので、思い入れが強すぎた試合でした」
そして風城といえば、ストレートアームバーという玄人好みの技の使い手でもある。
「この技はすごく気に入っていて、絞っているときに力を入れられるんです。私の技はジャパニーズ・レッグロール・クラッチのようなスキを突く技が多いんですけど、アームバーはじっくり心を込めて攻められる技なので大切にしています」
そして「ねくじぇねトーナメント‘24」で猛威を振るったのが、フィッシャーマンズ・スープレックス・ホールドだった。この技で、高見汐珠、上原、凍雅を3タテして見事優勝を果たした。
「私は自分がここまでブリッジが使えると思っていなくて。バク転ができるようになりたくてブリッジの練習をはじめたんですけど、それで柔軟性が出てきたんですよね。努力をして柔軟性が出てきて完成した技なので、これからもフィッシャーマンを愛したいです。もっともっと磨いて、この一発が出たら試合が終わり……ファンの方が『風城ハルのフィッシャーマンズ・スープレックス見に来た』と言われるくらいのレベルまで持っていきたいです。東京女子プロレスのいいところは、技を一個一個すごく大切にしていることだと思うので、技を増やすよりも、一つ一つの技をしっかり深めていいものにしていきたいと思います」
(15日掲載の後編へ続く)
