小学1年生が防球ネットで指切断、母親が市の対応に胸中吐露「怒りを感じています」
今月15日、神奈川・大和市にある公園「やまと防災パーク」で、小学1年生の男子児童が防球ネットで指を切断する事故があった。事故の原因となった防球ネットは下部が破損しており、市では市民からの通報を受け補修工事の準備を進めていた。痛ましい事故を防ぐことはできなかったのか。同市の担当者と、けがをした男子児童の母親に話を聞いた。
全治は不明ながらも1か月程度の入院が必要と診断
今月15日、神奈川・大和市にある公園「やまと防災パーク」で、小学1年生の男子児童が防球ネットで指を切断する事故があった。事故の原因となった防球ネットは下部が破損しており、市では市民からの通報を受け補修工事の準備を進めていた。痛ましい事故を防ぐことはできなかったのか。同市の担当者と、けがをした男子児童の母親に話を聞いた。
右手中指の先を切断する大けがを負ったのは、同市在住の小学1年生の男子児童。公園内の「ボール遊びエリア」に設置された防球ネットの破れた穴をくぐり抜けた際、ネットに指が絡まり、救急搬送された。同市みどり公園課の担当者によると、全治は不明ながらも1か月程度の入院が必要だという。
防球ネットの破損について、市では事故発生以前から住民による通報を受けていたといい、市の担当者は「2024年10月に市民の方からお問い合わせをいただいていました。損傷したのは、それよりずっと前かと思われます。そこから立て続けに市民の方からお問い合わせを受け、同年12月には補修工事を発注、2025年2月に工事の実施を予定しておりました」と説明する。
事故発生から5日後の20日、現場を訪れると、夕方にかけて近隣の児童が多く集まりにぎわう様子が見られた。事故があったボール遊びエリアは封鎖されており、「立入禁止」と書かれたテープが張り巡らされていた。同エリアには2か所の出入口が設けられているものの、周囲を囲う防球ネットは下部がほぼ一周破れている状態で、男児は破損したネット下部から出入りしたことでけがをしたとみられる。
この日、現場の写真を撮るために公園を訪れていた被害児童の母親は、取材に対し、「もう1年ぐらいは破れた状態になっていたんです。ボール遊びエリアなのに、ボールが出てしまうのが当たり前の状態で、道路にボールが飛び出して車がギューッて止まる、危ない場面を何度も見ていました。昨年の夏ごろに市に電話もしたんですが、こうやって事故があってから急いで工事を進めるっていうのは……。もっと早くやってほしかった」と心境を吐露。事故当日は母親も一緒に公園を訪れていたものの、一度帰宅し、男児を迎えに公園に戻ろうとした矢先だったという。
「ちゃんと子どもの指が治るかどうかも分からない。そのまま障害が残っちゃう可能性もあるし、まだ7歳なのにこんな痛い思いをして……。(修復しない限りは)たまたま誰かがなっていたわけで、誰かが(被害者に)ならないと工事が始まらないのかっていう感じがちょっと……怒りを感じています」。母親は男児の現在について、手術を終え、入院中と明らかにした。
防球ネットの破損について、市の担当者は「経年劣化か、過去にはいたずらで切られたこともありました」と回答したが、現在まで明確な原因は分かっていないという。破損確認後に同エリアを立入禁止としなかった理由については、「ボールが外に出てしまう不便さはあったかと思いますが、今回のように指が絡まって切断といったところまではなかなか想像ができなかった。人の命に関わるような大きな事故の発生までは考えられていませんでした」と説明。ネットの破損が原因で、子どもがけがを負うのは同市では初めてのケースだという。
市は今回の事態を受け、市内にあるボール遊びが可能な23の公園で同様の事案がないか調査を実施。5か所で大々的な補修が必要であることが分かった。担当者は補修の必要がある5か所について、すでに使用禁止の措置を取ったことを明かしたうえで、「やまと防災パークはネットが用意でき次第工事を実施しますが、それ以外の5か所についてはまだ何も決まっておりません。どれぐらい補修が必要なのか、部分的にでも使えるようになるのかなど、これからまだ整理する段階です」としている。