ルパン愛車を完全再現、オーナーの素顔は“鉄砲屋” 「やりたいことは全部やる」充実の趣味人生

公開から45年を過ぎた今なおファンの多い、宮崎駿監督の不朽の名作映画『ルパン三世 カリオストロの城』。作中に登場するルパンの愛車「フィアット500(チンクエチェント)」を、映画のシーンそのままに“完全再現”したオーナーがいる。埼玉・加須市で猟銃専門店「豊和精機製作所」を営む佐藤一博さんに、愛車への思いと趣味に生きる充実の人生を聞いた。

映画『カリオストロの城』にも登場する1969年式のフィアット500L【写真:本人提供】
映画『カリオストロの城』にも登場する1969年式のフィアット500L【写真:本人提供】

宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』に登場するルパンの愛車

 公開から45年を過ぎた今なおファンの多い、宮崎駿監督の不朽の名作映画『ルパン三世 カリオストロの城』。作中に登場するルパンの愛車「フィアット500(チンクエチェント)」を、映画のシーンそのままに“完全再現”したオーナーがいる。埼玉・加須市で猟銃専門店「豊和精機製作所」を営む佐藤一博さんに、愛車への思いと趣味に生きる充実の人生を聞いた。

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 特徴的な黄色の車体と、車内いっぱいに詰められた“ゴート札”の偽札。映画の名シーンを忠実に再現したフィアット500の投稿は、SNS上で何度も大きな反響を呼んでいる。

「劇中の車と同じ、1969年式のフィアット500Lです。店の前に止めておくと、車好きのお客さんが足を止めたり、店の中まで話を聞きに来たりする。うちは猟銃専門店なんで、そこからすぐにお買い上げとはならないけど、まあ看板代わりにはなるかなと」

 話題の投稿は、窓枠の大きさに切ったボール紙に、ネット通販で購入したフェイクのドル紙幣を1枚1枚のり付けしたものを、内側から貼り付けて撮影したという。「実は作るのに30分もかかってないのです」とユニークなアイデアに胸を張る。

 ルパンがというより、もともと小さい車が好きだったという佐藤さん。実はフィアットはこれが2代目で、25年ほど前にも同じ年式のものを購入した過去があるという。

「30歳手前の頃かな。でも、バッテリーは上がるわエアコンはないわで、使いづらくてすぐ手放しちゃって。6年前にやっぱりもう一度欲しくなって、車の知識も増えたしもう大丈夫だろうと思って調べたら、180万円で売りに出ていて、1代目を買ったときと同じ値段じゃんと。まあ、そこからレストアやらなんやらで、結局今のフィアットの新車と変わらないくらいの金額はかかってますけどね」

猟銃専門店オーナーという異色の肩書きを持つ佐藤さん【写真:ENCOUNT編集部】
猟銃専門店オーナーという異色の肩書きを持つ佐藤さん【写真:ENCOUNT編集部】

オーナーは猟銃専門店の経営者という異色の肩書き

 猟銃専門店オーナーという異色の肩書きと、「豊和精機製作所」という似つかわしくない店の名前。取材で訪れた店内には、銃関連の商品の他に大量の本や漫画、ギターなどが所せましと並んでいる。いったいどんな半生を歩んできたのだろうか。

「もともとは妻の父が興した会社で、機械加工をする町工場でした。妻とは高校生のころからの知り合いで、10代20代のころはミュージシャンを目指してバイトしたり、トラックの運転手をやってみたり、結婚してからも夫婦でニュージーランドにワーキングホリデーに行ったりと悠々自適に過ごしてましたが、29歳のときに義父が引退して『明日から君が社長ね』といきなり言われて(笑)。

 そのころ趣味で狩猟や射撃をしていて、いろいろと工具もそろっていたので、仲間から銃の修理や調整を依頼されるようになったけど、そのままやったら密造になっちゃう。だったらちゃんと許可を取って、猟銃の販売業も始めてみようと。そしたら鉄砲屋の方が軌道に乗っちゃって、今はそっちが中心になってます」

 フィアットに限らず、SNSでもさまざまな発信を行っており、それを目にした関係者からの依頼で、狩猟漫画『クマ撃ちの女』の監修や、キャンプ用の料理本を出版したことも。趣味が高じ仕事につながるという充実の人生を過ごしている。「やりたいことは全部やる。フィアットは今レストアに出していますが、もうすぐ完成する予定です。今度はいっそうカリオストロの色に近くなりますよ」と屈託のない笑顔を浮かべた。

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