【どうする家康】大森南朋、老衰まで描かれ感謝 「素敵なラスト…本当に有り難い」
俳優の大森南朋が徳川家康の家臣・酒井忠次を演じるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)の撮影を終え、クランクアップした心境や家臣団への思い、第39回の台本を初めて読んだ時の感想などをコメントした。
宴会芸えびすくいが得意な家臣団のリーダー・酒井忠次
俳優の大森南朋が徳川家康の家臣・酒井忠次を演じるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)の撮影を終え、クランクアップした心境や家臣団への思い、第39回の台本を初めて読んだ時の感想などをコメントした。
まずはクランクアップした今の気持ちから。
「また一つ素晴らしい作品に携わることができたという達成感もありますが、大河の撮影に通うのがすっかり生活の一部になっていたので、今は寂しい気持ちの方が大きいです。どんな作品に携わってもそういう気持ちにはなりますが、長期間撮影を続けてきた分だけ、重みも増しているように感じます。家臣団の中でも一足先にクランクアップを迎えましたが、殿(家康/松本潤)をはじめ、未だ撮影を続けている皆さんの気持ちを察すると大手を振って喜べない感じがして……(笑)。それくらい『どうする家康』愛が強くなっています」
家臣団への思いも紹介した。
「特に物語前半は、殿を囲む徳川家臣団の群像劇という要素も強かったので、家臣団が集結する場面の芝居のキャッチボールも凄く楽しかったです。収録で家臣団がそろう日は、心弾みながら現場に通っていました。忠次も回を重ねるごとに段々と老いてきたので、“あとは任せた”という空気を少しずつ出していたつもりですが、忠次を除いた徳川四天王(本多忠勝、榊原康政、井伊直政)は特に、今後ますます成長していくと思います。若手チーム3人は、役者としても皆、頼もしいです。特に直政を演じている(板垣)李光人くんは息子くらいの年齢なので、もう可愛くて仕方なくて。どうしたらこんな子に育つんだろうと思いながら見ていました(笑)。
山田(裕貴)くんも杉野(遥亮)くんも含め、伸び伸びしてるけれど、とてもしっかりしているし、リラックスして自分のお芝居ができる強さも感じるし、これからが本当に楽しみです。同世代のおじさんチームも、ご一緒できて楽しかったです。ほとんどの皆さんが過去何度かご一緒している方々ですけれど、ここまで長期間ご一緒できることもないので、有り難い機会でした。小手さんは今回初共演でしたが、この歳になっても現場で誰かと出会って仲良くなれるというのはうれしいことですし、沢山刺激も頂きました。出会えて良かったです。これだけ長く一緒にいると仲良くなりますし、家臣団メンバーとは特に良い時間を共有できたなと思います」
第39回の台本を初めて読んだ時の思いも紹介。
「戦国時代の最期というと、戦で華々しく散るイメージもありますが、今回は老衰で死ぬという形でした(笑)。でも今作はあくまで家康を軸にした物語で、登場人物全員の最期を描ける訳ではない中、あのようなすてきなラストを描いてくださったことが本当にありがたいなと思いました。戦に出ようとするシーンも殿への忠誠心の強さからくるものだと思いますし、子を思う親のような気持ちで殿を見守り支え続けてきた忠次だったので、最後に殿ときちんとお別れできる場面も作っていただけたのはうれしかったです」
第39回の家康と忠次2人のシーンについても言及。
「役者としては御法度だと思いますが、忠次の殿への思いに加えて、僕の(松本)潤くんへの思いが乗ってしまったような気がします。ストーリー的にも殿や家臣団は家族のような関係性で描かれていますし、1年以上に渡る撮影期間を共に過ごしてきた中で、自然と潤くんへの思いも強くなっていたことにあらためて気付きました。『殿だからできるのでござる』『天下を取りなされ』というセリフもあったように、忠次が殿の背中を押す場面でしたが、今回の忠次の言葉だけでなく、石川数正、本多忠真、夏目広次ら……殿を支えてきた家臣団それぞれの思いが、殿が築く天下の礎になっていくんだなと思いながら演じていました。
僕としては、泣くシーンにはしたくないという思いはありましたけれど、その他細かなプランは決めずに臨みました。泣くと言えば……いつも細かなプラン立てはせずに臨むのですが、第34回で数正の出奔の真相が分かって家臣団が涙するシーンも、自分はあんなに泣くと思っていなかったんです。数正の出奔が寂しいのか松重さんに会いたいのか、自分でもよく分からなくなりました(笑)。やはり長く撮影していると、自分の中で役と役者がリンクする感覚になってきて。見てくださっている方よりも僕の方が没入しているかもしれません(笑)」
家康役・松本潤への思いも明かしてくれた。
「潤くんはひたむきに芝居と向き合う熱い気持ちを持った方なので、僕らもそれに全力で応えたいし、主演が抱えるプレッシャーを少しでも軽減できたらという思いでここまでやってきました。揺れていた時期も知っていますが、ブレることなく前だけ見て走り続ける意思の強さを持っている方ですし、男としてのかっこよさも見せてもらいました。潤くんのカリスマ性と、少しでも彼の力になりたいと思う家臣団メンバーと、皆の結束感と……普段の空気感が少なからず映像にも現れると思うので、そこは自然に表現できていたのかなと思います。忠次は亡くなりましたが、気持ちは変わらず家臣団のままで、徳川の行く末を最後まで見届けたいと思います」