「Sareee-ISM～Chapter II～」（4日、新宿FACE）から1週間が過ぎた。その3日後に当たる7日には王者・中島安里紗の持つ、SEAdLINNNG （シードリング）BEYOND THE SEAのシングル王座に、Sareeeが挑戦する（25日、後楽園ホール）ための調印式も実施され、ますますSareeeの周辺は慌ただしくなってきている。（取材・文＝“Show”大谷泰顕）

「クソ悪魔はクソ悪魔でしたけど、1勝1敗になったので、8・25がなおさら楽しみになりましたね。今までの2回の前哨戦（※1度目は7月26日、新木場1stリングでのタッグマッチでSareeeが敗れる）は、言ってもタッグマッチじゃないですか。だから、8・25は誰もいない状態で、今までとはまったく違ったものになるんじゃないですかね」

「Sareee-ISM～Chapter II～」での激闘を終えたSareeeに、翌日、オンラインで話を聞くとそう答えた。

　同大会でのSareeeは、“世界を旅する海賊王女”KAIRIと元WWEスーパースターズを結成。中島&彩羽匠と闘い、中島に勝利。タッグながら両者の対戦成績を5分にした。

　そしてSareeeは、中島のエゲツない攻撃や言動を含め、最近は「クソ悪魔」と呼称しており、かつSareeeが“太陽神”と称されることから、中島との対戦は「神か悪魔か」という一戦になる。

　さて、「Sareee-ISM～Chapter II～」でSareeeがKAIRIと組んで闘ったことはすでに述べたが、試合後のSareeeが「KAIRIさんとのタッグは、バッチリ息が合っていたので、勝利につながったと思います。お互いにやりたいことが読めたので。中島と彩羽はシードとマーベラスのエース。その2人に勝てたってことは、ドリームタッグが名前だけじゃなかったと証明できた」と喜びを隠さない。

　さらに、試合後には勝利の勢いのまま、KAIRIに対戦表明をしていたSareee。その際のやりとりを再現すると、以下のようになる。

Sareee「是非、次、対戦できたら嬉しいです。KAIRIさんと試合したいです」

KAIRI「まあね。今日は私、援護しなかったけど、撃ち合いはやりたいなって思った。バチバチに闘う時はやりましょう」

Sareee「絶対に負けません」

KAIRI「最高！　いいのよ。私、そういうのは大好きだから。プロレスは闘いなんでね。気持ちよかったあ。ホントありがとう。バッチリだったね。噛み合ってたよね。会話はまったく噛み合わなかったのに」

　最後はそう言って笑い合っていた2人だったが、KAIRI が7日、「9月末以降、無期限休業」を発表したことで、Sareeeとの対戦も白紙になった。

　ところで、「Sareee-ISM～Chapter II～」でのシメは、SareeeとKAIRIによる、アントニオ猪木さんの「1、2、3、ダー！」だった。

　これに関してSareeeは、「同じタイミングで、新宿で『燃える闘魂 アントニオ猪木展』（15日まで、京王百貨店 新宿店 B1階「on the Coner」で開催）をやられていて。自分もプレオープンに行かせていただいて。ホントに8・4の前に行かせていただいて、ホントによかったなあって心の底から思ったんですよ」と目を輝かせた。

「ホントに自分の大事な興行の前に行かせていただいて、より気が引き締まったというか。ホントに闘魂注入されたような気持ちになって……」

　そう言って「ホントに」を連発するSareeeから、本心でそう思っていることが伝わってくる。

「『猪木展』には猪木さんの歴史のある写真がいっぱい飾られていて。それをひとつひとつじっくり見ていって。猪木さんがベルトを巻いた試合とか、ジャーマンスープレックスをかけている写真とか、いろんな写真があって、どれもみんなカッコよくて」

　たしかにプレオープンイベントの前や、その他の時間でも、Sareeeは熱心に猪木の写真に見入っていたし、関係者や取材陣から写真の説明を受けると、嬉しそうにその話を聞いていた。その光景は『猪木展』に溶け込んでいるようだった。

　実際、Sareeeは「直接、猪木さんにお会いしているわけじゃないのに、メチャクチャパワーをもらえたんですよ」と笑顔を見せた。

「すごいなあと思いましたねえ、改めて。だから同じ新宿でやっていることもあって、最後は『1、2、3、ダー！』でやらせていただきました」

　もちろん、A猪木は世代を超えて愛されてきた存在だが、まさにSareeeのような20代のプロレスラーにもその魅力が伝わったのであれば、『猪木展』を開催した意味があったと思うし、Sareeeをプレオープンのゲストに招いた甲斐があったと言っていいだろう。

　いや、おそらくあちらの世界に旅立たれたA猪木本人が一番喜んでいるに違いない。というか、残された者たちがA猪木を語り続けなくて、誰がA猪木を語り継ぐというのか。

　事実、「Sareee-ISM～Chapter II～」の3日後には、王者・中島安里紗とのタイトル戦の調印式も「猪木展」で実施されていたが、関係者によればプレオープンイベントでの雰囲気を含め、急きょながら猪木元気工場や京王百貨店側との調整が進み、関係各位が快く、調印式での使用に関する許可が降りたのだという。

　そう考えると、もしかしたらSareeeにはA猪木の守護霊のようなものが憑いているのかもしれないが、ともあれ、Sareeeにとって当面の敵は、“クソ悪魔”と呼ぶ王者・中島安里紗になる。

　それを踏まえてSareeeは最後にこう語った。

「次のSareee-ISMの開催はまだ決まってないんですけど、できたらなと思います。これからもこの女子プロレス界、私がもっともっと輝かせてみせますので、皆さん期待していてください。そして、8・25は必ずあの“クソ悪魔”からベルトを取りたいと思います」