【どうする家康】田辺誠一が思う穴山が家康側についた理由 「裏切りでなく別の道選んだ」

俳優・田辺誠一が30日、松本潤が主演を務めるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる穴山梅雪について、穴山の人物像や武田家への思いをどう解釈しているのか、また、印象的なシーンなどをコメントした。

穴山梅雪を演じる田辺誠一【写真:(C)NHK】
穴山梅雪を演じる田辺誠一【写真:(C)NHK】

信玄の信頼が厚く、外交戦略のエキスパート穴山梅雪を熱演

 俳優・田辺誠一が30日、松本潤が主演を務めるNHKの大河ドラマ『どうする家康』(日曜午後8時)で演じる穴山梅雪について、穴山の人物像や武田家への思いをどう解釈しているのか、また、印象的なシーンなどをコメントした。

 まず、最期まで演じきった今、穴山梅雪をどのような人物と解釈しているのか。また、演じる上で、どんなことを意識したのかをコメント。

「穴山は歴史上『裏切り者』とも言われていますが、現実には人間は記号のようにひと言では表せないと思っています。一方から見れば正義でも反対から見ればそうではなく、どちらにも曲げられない正義があると思いますので、穴山なりの正義、熱を表現したいと思いました。そういった意味ではたとえ裏切り者と思われても、守りたい正義があったのではないかと思います。そしてこの役を演じさせてもらう以上、そこに誤解がある場合、少しでも晴らしたいと思って演じました。あえて言うならば『裏切りではなく、領民の命を守るために主君とは別の道を歩む決意をした男』」

 穴山は信玄亡き後も、勝頼をそばで支えてきたが、最終的には、第26回で勝頼のもとを離れる選択をした。穴山の武田家、そして勝頼への思いはどのようなものだったと思うか。また、武田家を離れた理由、逆に家康側についた理由やきっかけをどのように解釈して演じたのか。

「銃の登場で戦の仕方が180度変わりました。信長軍の圧倒的な銃の装備を目の当たりにした穴山は、辛いけれども現実を見て、負けを受け入れることができる強さを持っていると思いました。義理を欠いていると思われても、負けることで武田家と領民の命を守る。そういった意味ではとてもクレバーで気持ちの強い人だと思いました。そして穴山は信玄公、そして勝頼を心から尊敬していたと思います。ですので、勝頼に対する『裏切り』ではなく『別の道を選んだ』と解釈しています。現況を冷静に判断して負けを受け入れ、武田家と領民の活路を守りたい穴山。劇中では勝頼はそんな穴山の気持ちを理解してくれていて、穴山も最後まで諦めたくない勝頼の気持ちを理解していました。勝頼は、本来は武田家を順当に継ぐ立場にはありませんでしたが、甲斐の外の諏訪から来て家督を継ぎ、その重圧の中で存在を証明するために戦い続けるしかなかったのだと思います。ですので『勝頼と別の道を選んだ』シーン(第26回)の『諏訪大社のご加護を』というセリフは、嫌味ではなく、本心で言いました」

 穴山は、本能寺の変の後、堺から国へ逃げ戻る中で最期を迎えた。家康に従ってから討たれるまで短い時間だったが、穴山という人物の生涯をどのように思うか。

「最後は…無念だったと思います。しかしその後、家康が自分の息子に武田を名乗らせて武田家を存続させようとした事を考えると、家康も穴山の決断、気持ちを分かってくれたのかと思いますので、そうだとしたらうれしいです。また個人的には伊賀越えで、瀬名が夢見た泰平の世を作れるであろう家康を守るため、『自分が家康だ』と言って討ち取られたと思いたいです」

 全撮影を通して印象に残っているシーンも紹介。

「第26回、勝頼とたもとを分かち家康側についた直後、勝頼の訃報を聞きます。本編では短くなっていましたが、そこで家康と共に仏像に手を合わせるシーンが印象に残っています。そういった演技プランではなかったのですが、自然と体が震え、涙が止まりませんでした。穴山自身が選んだ道なので後悔してはいけませんが、信玄公の遺志、勝頼への思い、勝頼の無念、さまざまなことが頭をよぎり気持ちが揺さぶられ感情があふれました。本来は従順を誓った家康の前でそのような感情を出すわけにはいかないのですが、そんな穴山の人間としての感情を、家康も受け入れてくれていると感じました」

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