衝撃の住民税9273万円、資産35億円…元サラリーマンどうやって富豪に? 「8割は紙くずに」

住民税の通知書に記載されていたのは、「9273万7800円」。実際の額面の写真を添えたツイートが、衝撃をもたらした。投稿主は、投資運用とスタートアップ企業への出資・投資を成功させ、FIRE(経済的自立と早期リタイア)した元サラリーマンの40代男性。現在の純金融資産は、主に投資信託・社債・預貯金で合計約35億円を誇る。億万長者になれる秘訣(ひけつ)は「運が90%です。私は1日中パソコンを見まくるようなプロ投資家ではないんです」。関東在住で現在は無職のMasa@資産30億円ニート(@alljon12)さんに直撃。驚異の投資家人生に迫った。

Masaさんの「9273万円」住民税通知書は圧倒のインパクトだ【写真:Masa@資産30億円ニート(@alljon12)さん提供】
Masaさんの「9273万円」住民税通知書は圧倒のインパクトだ【写真:Masa@資産30億円ニート(@alljon12)さん提供】

所得税3億円、住民税9273万円で「オルカンは日本で一番保有している」 節約生活から“スタートアップ投資”で切り開いた運命

 住民税の通知書に記載されていたのは、「9273万7800円」。実際の額面の写真を添えたツイートが、衝撃をもたらした。投稿主は、投資運用とスタートアップ企業への出資・投資を成功させ、FIRE(経済的自立と早期リタイア)した元サラリーマンの40代男性。現在の純金融資産は、主に投資信託・社債・預貯金で合計約35億円を誇る。億万長者になれる秘訣(ひけつ)は「運が90%です。私は1日中パソコンを見まくるようなプロ投資家ではないんです」。関東在住で現在は無職のMasa@資産30億円ニート(@alljon12)さんに直撃。驚異の投資家人生に迫った。

「住民税の通知書が届いた。9273万円。9273円ちゃうで‥。住民税が9273万円や‥。明日からお茶漬けしか食えん‥」。6月14日につぶやいたMasaさんの投稿は、瞬く間にバズり、4000件以上のリツイート。大反響を呼び起こし、約2万人フォロワーが増えたという(現在は5.1万人)。

 都内の取材場所に現れたMasaさんは、今風のおしゃれなシャツに黒パンツのシンプルな装い。爽やかな笑顔を浮かべながら、柔らかい口調で話を聞かせてくれた。

 大学卒業後、都内でサラリーマン勤めをしていた。もともとFIRE志向が強く、若い時は月1万円を切る食費で徹底した節約生活を送り、趣味は貯金。とにかくお金を貯めていた。

 いかに資産を増やすか。「FIREするために、資産5000万円になるまでは『収入を最大に、支出を最小に』をキーワードに掲げていました。投資の元手となるキャッシュ(現金)を増やすことを考えました」。投資に興味を持ったのは約18年前のこと。株価指数などの指標に連動する形で運用を行う「インデックス」の投資信託に目を付けた。月数万円ずつのインデックス投信の積立を開始。サラリーマンとしても一生懸命に働き、2015年、30代で給料の貯金と積立の運用だけで資産5000万円を達成した。

 転機が訪れたのは、同年。「若いからこそ挑戦してみよう」と、知人のスタートアップ企業に出資したのをきっかけに、“スタートアップ投資”に乗り出して大成功を収めた。これまで数十社に出資し、出資先の数社について、IPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)に合わせて株式を売却。その売却益は、15年~22年にかけて約40億円に上るという。

 今回、昨年2022年の1年間で売却益約20億円をマーク。自身にとって「過去最大規模」の利益になり、住民税9273万、さらに所得税は「約3億円」の税額だったというから驚きだ。Masaさんは「事前に予測はしていてキャッシュも用意していましたが、実際に通知書が届くと、『どうしよう』といった気持ちになりますね。もちろんしっかり納税します」と、リアルな心境を語った。

 数年前にすでに会社を退職。「インデックス投資家」として資産運用に取り組んでいる。現在の資産の内訳は、オール・カントリー(通称オルカン)と呼ばれる全世界株式の投資信託が約21億円、社債は約10億円(企業から受け取る利息は1年で計約2000万円)、残りは現預金など。「オルカンは日本で一番保有しているのではないかと思っています。インデックス投信は広く分散できてリスク回避できます。言わば守りの投資で、年利4%で御の字。FIRE向きかなと思っています」。それに現在も、資産額の10%程度の範囲で、スタートアップ企業への出資を続けている。

100歳まで「毎月500万円を使っても使い切れない」

 傍から見れば、“勝負師”としての才覚を発揮した結果だと思えるが、決して順風満帆な投資人生ではなかったという。

「結局、スタートアップ企業への出資・投資の勝率は2割ぐらいですよ。8割は紙くずになり、失敗に終わりました。詐欺的なものに何回か引っかかったこともあります。2割バッターなのですが、一発大きなホームランを打つことがあるんです。年利1000%になるような当たりです。スタートアップにお金を出すことは、ハイリスク・ハイリターンであることを実感しています」。もちろん、分析にも力を入れており、候補に入れたスタートアップ企業の社長とは直接会い、理念や目標をヒアリング。会社や市場が伸びるかをしっかり見極めたうえで出資を行っているという。それでも、「運が90%」。全然甘くない。Masaさんの言葉には重みがある。

 もうすでに、老後の資金調達は十分に達成。「100歳までに資産を全て使い切る」ことを人生の目標に掲げている。そこには「モノよりも、経験に使う」という人生哲学がある。

「毎月500万円を使っても使い切れないのですが(笑)、高いモノを買うことより、旅行などの経験を重視しています。経験によって得た『記憶』は、永続的に心を豊かにしてくれると思っています。お金の最大価値は『自由』です。どんな家や車を買うよりも、『好きなときに、好きな人と、好きなことができる』という自由が幸福度を高めると思っています。世界中を旅行したいですね。今年は彼女とドバイとパリへの海外旅行を計画しています」。

 実は、同じような立場の“FIRE組”とつながりたいと思い、昨年にツイッターを開設。資産額の変化に加えて、普段の暮らしぶりや食事の様子、考え方を知ってもらおうと、数か月前からつぶやき始めた。そこでまた1つ、新たな夢が膨らんでいる。

「ありがたいことにフォロワーさんが増えています。例えば、ツイッターでフォロワーの皆さんから意見を募集して、“やってみた企画”に取り組みたいです。どんなことを体験できるか。人生のいろいろな経験を積んでいきたいです」。異色の資産家・Masaさんの今後の動向に注目だ。

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