56歳で手に入れたのは一度は諦めた憧れの名車 「やりたいことはやっちゃおう、と」

20代の頃に欲しかった、一度は諦めた車を、56歳で手に入れた。「ビートル」の愛称で親しまれるドイツ車・フォルクスワーゲン(VW) タイプ1の男性オーナーだ。しかも、同車種の“最終モデル”を購入。ベテランバイク乗りは、青春時代を思い出すように憧れのカーライフをスタートさせた。

VWタイプ1の最終モデルとなった1台が愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】
VWタイプ1の最終モデルとなった1台が愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】

2003年式フォルクスワーゲン タイプ1“最終モデル” 実はハーレーにも乗っていたバイク乗り

 20代の頃に欲しかった、一度は諦めた車を、56歳で手に入れた。「ビートル」の愛称で親しまれるドイツ車・フォルクスワーゲン(VW) タイプ1の男性オーナーだ。しかも、同車種の“最終モデル”を購入。ベテランバイク乗りは、青春時代を思い出すように憧れのカーライフをスタートさせた。(取材・文=吉原知也)

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 メキシコ工場で生産された、2003年式のアルティマエディション。アクエリアスブルーが爽やかな1台だ。

「昨年10月に買いました。中古で購入当時、4300キロしか走っていなくて、オリジナルペイントのボディーカラーとして残っています。盗難防止のブザー装置が付いているんですよ」。

 ビートルへの思いを募らせてきた。21歳のときに買いたかった車だが、「キャトルに乗っている友人に連れられて、フランス車のお店に行っちゃったんですよ。それで、シトロエン2CVを買いました」。フランスの名車が、自身にとって初めての愛車となった。

 その後は、親が持っていた国産車にも乗った。自身は単車にのめり込み、バイクライフへまっしぐら。「ハーレーにも乗っていたんですよ。今は、ベスパ2台を所有しています」と、“ハーレー時代”を懐かしむ。

 転機が訪れたのは、よく通う、車好きが集まる喫茶店でのこと。仲間から、いいシトロエン2CVがあるとの話を聞き、「35年ぶりに買おうかな」と心が動いた。

 いざ試乗。ところが、こんな感覚になった。「もちろん、懐かしさはありました。でも、それだけでした。価格を聞いたときに、『その値段だったら、ビートルを買えるんじゃないか』と直感したんです」。ネット検索で、現在の愛車を発見。試乗してみると、ワクワク感にあふれた。次の日に、お金を振り込んだ。運命の出合いだった。

 人生で2台目の自分で買ったマイカー。「本当はベージュ色が欲しかったんですけどね。お気に入りのデザインのホワイトリボンタイヤに交換しました」。現在の総走行距離は約7000キロ。伊豆・下田まで長距離ドライブに行くなど、思う存分に満喫している。

 愛車はもう20歳。先日は、助手席ドア内側のカバーの一部がポロっと取れてしまい、アロンアルファで接着。「新しいクルマではないので、いつどこで壊れるか(笑)。今年の夏を乗り切れるかな」と苦笑いだ。

 それでも、還暦を前にして自分の乗りたい車を買ったことは、人生を豊かにする決断になった。「一度は諦めたビートルに乗れました。この年になって、経済的に余裕も出てきて、元気なうちにやりたいことはやっちゃおう、そう思ったんです。バイクの世界でも、40~50代、女性のライダーが増えているんですよ。みんな子育てが一段落して自分の趣味が欲しくなって、こうやってリターンライダーとして戻ってくる人が多いです」と実感を込める。

 まさに人生の相棒だ。「ビートル初心者ですが、楽しみながら乗りたいです。ちょっと故障トラブルは心配ですが、いろいろお友達を作って、今度はメカのこともたくさん勉強して知識を吸収していきたいですね」と、笑顔で前を見据えた。

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