国産スーパーカー、驚愕の3台持ち 市場価格は青天井も「お金ではない。絶対に手放さない」
日本が誇るスーパーカーの愛車は「一心同体」。70歳の男性オーナーは、驚くべきマニアだった。日本の技術力を世界に示した高級スポーツカーのホンダ・NSXを3台保有。その情熱に迫った。
おいっ子から「『おじちゃん、1台ぐらいちょうだいよ』って…」 ホンダ・NSXを初代&2代目の3台持ち
日本が誇るスーパーカーの愛車は「一心同体」。70歳の男性オーナーは、驚くべきマニアだった。日本の技術力を世界に示した高級スポーツカーのホンダ・NSXを3台保有。その情熱に迫った。
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威風堂々とした真っ赤な車体。4月に東京・葛西神社で行われたカーイベントに参加し、圧倒的なオーラを放った。
2017年式のNSX NC1、2代目と呼ばれるモデルだ。「生産工場は米国オハイオで、日本では464台と聞いています。NSXが好きで、次に出たら絶対買おうと思っていたんです」。
男性オーナーは「ちょっと自慢したい」とこんなエピソードを教えれてくれた。
「購入を申し込んだ当時、『契約したのは日本で一番最初』と言われました。でも、ブレーキローターの標準仕様がカーボンだと聞いて。自分はやっぱり鉄チンが好きでね、鉄の素材に変えてもらったんです。それでちょっと手元に来るのが遅れちゃった。船の第2便で日本に送られてきて、納車は世界で1002番目でした」。17年2月の日本発売開始から約2か月ほどたっての念願の納車になったという。
日産の610ブルーバードU、フェアレディZに乗ってきたスポーツカー好き。NSXにすっかり魅了され、初代モデルを含めた計3台持っている。1995年式のシルバーのタイプRと、02年式の真っ赤なNSX-R。「スポーツカーは赤、これがあこがれなんですよ」と誇らしげだ。
北海道と栃木のホンダのテストコースをNSXで走行した経験もある。「時速250キロで走りました。(コースの傾斜で)横を見ると、青空が広がっていて、なかなか見れない光景ですよ。重力もかかって、Gを体感できる。この速度で走ると、向かい風と追い風の影響がすごくよく分かって、レースでの風の重要性を実感できました」と熱く語る。
スーパーカー3台持ち。「家内からは、『なんでベンツを買わなかったの? それが私の夢だったのに』と言われちゃっています(笑)」というが、日本の技術の粋である国産スポーツカーをめでることに、この上ない幸せを感じている。「ハイクオリティーで高性能なスポーツカーを作るメーカーはヨーロッパにいっぱいあるけど、それを日本のホンダが作る。自分たちが乗って、みんなで新しい文化を作っていける。初代NSXのオーナーになった時に、28年前に、そう感じたんです。こうして日本の技術力を体感できたことをうれしく思っています」。あの時、強く実感した未来への可能性。NSXに最大限の愛情を注いできた。
一方で、現行NSXは生産終了に。「とんでもないスポーツカーを作るホンダのいいところと、継続できない悪いところ。その両面を感じています。素晴らしいエンジニアがそろっているのだから、モーターでもEV(電気自動車)でもいいものを作れるはずです。ホンダにはこれからも期待しています」と、大好きなメーカーにメッセージを送る。
タイプRシリーズは新車時の価格は約1000万円とされ、NC1は2300万円超と言われている。世界的な旧車・スポーツカーブームが起こっており、とりわけ国産スポーツカーの中古市場は高騰化。海外の愛好家も注目しており、現在の“市場価格”は計り知れない。もし売却話があっても、「売らない」ときっぱり。「僕にとって、この3台は大事な夢なんです。お金ではない。絶対に手放さない」と強調する。
それでも、おいっ子にこんなオファーを受けているといい、「『おじちゃん、1台ぐらいちょうだいよ』って言われているんです。どうしよう」とちょっと照れくさそう。夢が詰まった大事な3台。これからも人生の相棒たちと歩んでいく。