格闘技イベント「The Battle Cats presents 超RIZIN」（9月25日・さいたまスーパーアリーナ＝ABEMAで完全生中継）のメインイベントでボクシングの“レジェンド”フロイド・メイウェザー（米国）とボクシング(に準じた)ルールでエキシビションマッチを行う、朝倉未来（トライフォース赤坂）は決戦を前に何を思うのか――。ENCOUNTではかつて“路上の伝説”と呼ばれた男にインタビュー。50戦無敗のレジェンドを相手にどんな“勝ち方”を想定しているのだろうか。本人の言葉をもとに紐解いていく。（取材・文＝島田将斗）

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　格闘家としての姿が全てではない。実業家、アドバイザー、YouTuberなどさまざまな顔を持っている。「BreakingDown」ではスペシャルアドバイザーを務め、数多くの一般人の人生を変えてきた。

　8月17日には「人の人生を良い方向に」と自身のツイッターに思いを綴った。自らのためではなく、他人のために――。いつからそんな思いを持ったのだろうか。

「調べたんですけど、自分の欲求を満たし過ぎちゃうと自己超越っていう領域に入る。もう他人を幸せにする何か達人みたいな感じになるらしいんですよね。そこに入り始めてるんですよね。自分の夢を叶えすぎたので」

　自分の夢を叶えすぎたと、あっけらかんと言い放つ。

「人の人生を変えるのが楽しいんです」と未来は上を見上げる。壮絶な過去を持つ者や大きな夢を持つ者、ただ有名になりたいだけの者――。「BreakingDown」をきっかけに一歩踏み出した参加者たちをただ有名にするだけでなく、自身の生き様を近くで見せてきた。

　そんな“未来チルドレン”たちもこの戦いを見るだろう。下馬評は圧倒的に不利。那須川天心のスピードを以ってしても倒せなかった相手だ。パンチは当てられるのか。避けられるのか。世界が注目する今回の一戦への迷いは未来になかった。

「怖さは全くないっすよ。金のためにやってた部分もあるけれど、そもそも根本は戦いが好き。知名度が上がっても、そこに関しては関係ないですね」

　見せたい背中も変わっていない。「夢、叶うと思います」。2019年大みそか「RIZIN.20」を前に、少年院を訪問した未来が若き受刑者たちに向けて言った言葉だ。それから2年以上が経過し、富、名声を手に入れた今も同じだった。

「この一戦は、本当にやってみないと分からないですけれど、全世界の人が同じ人間なんですよね。化け物っているけれど、全部同じ人間。メイウェザーも何か特別なものを持っているわけじゃないと思うんですよ」

　夢を追いかけている者たちへ見せたいものも口にする。

「メイウェザーは、全ての才能がすごかったわけじゃなくて、努力がすごかった人。同じ人間だから努力次第では、夢が叶うんじゃないかなと。そこを伝えられたらいいかな」

　どことなく軽い調子で答えていた未来が、慎重に言葉を選び伝えた。単純に負けたくないと闘争本能をむき出しにする。この一戦を乗り越え、さらなる高みへ。日本人の期待を背負って未来はリングに上がる。

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