宮本亞門、がん発覚後も精力的に活動 後遺症もほぼナシ「前よりも物事に集中」
演出家の宮本亞門が11日、東京二期会オペラ劇場「パルジファル」囲み取材に登壇し、同作をアピールした。
宮本亞門、ワーグナーの遺作舞台「パルジファル」の演出は命がけ
演出家の宮本亞門が11日、東京二期会オペラ劇場「パルジファル」囲み取材に登壇し、同作をアピールした。
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宮本は「今までにないくらいに緊張しているというか、同作はワーグナーの遺作なんですね。儀式、神聖、祝祭劇と言われているものなので、命がけでやらないと思っています。大胆に演出を変更していますので、何を言われるかわからない」と自虐的に笑みを浮かべつつも、「絶対にいいものになるぞという確信も生まれています」と自信をのぞかせた。
また、宮本は「いよいよリハーサルだというときに安倍元首相の銃撃の事件を聞いた。なんという時代に生きているのだろうか。混乱と先が見えないような不安を感じる。我々が生きているのはなんなのか。そして、どういう人物が必要なのか、全部この作品に入っている。生々しくて、今の時代とリンクしすぎていて、ちょっと怖いです」と心境を明かしていた。
2019年に前立腺がんが発覚したが、現在も精力的に活動を行っている宮本。報道陣から「体調の方はいかがですか」という質問があがると、宮本は「あのときに死というものをガツンと感じたんですが、今は全く大丈夫です。後遺症もほとんどありません。むしろ、がんのおかげで、前よりも物事に集中するようになりました。何年生きられるだろうか。そのなかで自分は何ができるか。前より少しだけ雑念がなくなりましたね。病気に関しては感謝しています」と答えた。「エネルギッシュの源は?」という質問には「いつ死ぬか分からないということです」と宮本は即答し、「人生は短いからねというのがエネルギーになりました」と淡々と答えた。
最後に宮本は「4時間半のオペラなんですが崇高な時間をお過ごしいただけると思います。フルオーケストラ、最高の交響楽団、素晴らしい歌手たちと皆さんが今までに体験をしたこともないような世界観をお見せします。美しくもあり深くもあるその瞬間を感じていただければと思います。劇場に足をお運びください」と同作をアピールしていた。
同作は、宮本が初めて演出するワーグナー・オペラ。東京二期会としては創立60周年記念公演以来10年ぶり3度目で、二期会創立70周年記念公演の上演となる。東京二期会と宮本との協働は02年の「フィガロの結婚」から始まり、今年が20周年で8演目を数える。13日から17日まで。