新型コロナ、ペットへの感染は? 自宅療養はどうすれば? 日本獣医師会に聞いた

新変異株「オミクロン株」の出現で、日々、感染拡大が深刻化する新型コロナウイルス。もしも自分が感染した際、愛するペットをどうすればいいのか、不安に思う向きもあるだろう。感染症の6割は人獣共通感染症とも言われるが、人間から動物、動物から人間、動物から動物へのコロナ感染はどこまで確認されているのか。そして、いざとなったときの預け先はあるのか。日本獣医師会副会長の境政人専務理事に聞いた。

日本獣医師会副会長の境政人専務理事【写真:ENCOUNT編集部】
日本獣医師会副会長の境政人専務理事【写真:ENCOUNT編集部】

犬は感染しづらく無症状の一方、猫は症状があり猫同士での感染も

 新変異株「オミクロン株」の出現で、日々、感染拡大が深刻化する新型コロナウイルス。もしも自分が感染した際、愛するペットをどうすればいいのか、不安に思う向きもあるだろう。感染症の6割は人獣共通感染症とも言われるが、人間から動物、動物から人間、動物から動物へのコロナ感染はどこまで確認されているのか。そして、いざとなったときの預け先はあるのか。日本獣医師会副会長の境政人専務理事に聞いた。

――動物への新型コロナウイルスの感染はどこまで確認されているのか。

「犬や猫への感染例はあります。犬は比較的感染しにくいが、ネコ科の動物は感受性が高く、ライオンやトラのほか、猫から猫への感染も報告されています。他にコンパニオンアニマル(=愛玩動物)で感染しやすいのはフェレットやミンク。ハムスターも感染事例があります。感染経路は飼い主であるヒトからがほとんどですね。一方、動物からヒトへの感染は、一般的には起こらないと考えていい。唯一、オランダでミンクからヒトへの感染が報告され、ミンクが殺処分となった例はあります」

――ペットの感染が疑われる症状は。一般の動物病院を受診しても大丈夫か。

「犬はほとんど症状は出ません。猫は呼吸器系、消化器系に症状があり、軽い咳(せき)や下痢などが報告されていますが、もちろん無症状の場合もあります。動物病院を受診される際には、まずは電話で予約していただくことが好ましいですね。動物を対象とした公的な抗原検査は現在、国立感染症研究所と東京農業大学でしか行われておらず、この3月までは補助金で検査自体は無料ですが、特殊な梱包が必要となり、送料に数万円かかる場合もあります。ただ、ペットから人間へはほぼうつらず、軽症で終わる場合がほとんどですので、そこまで神経質になる必要はありません。飼い主自身が感染しないように生活することが一番です」

――もし飼い主自身が感染してしまった場合に気をつけるべきことは。

「自宅療養であれば、同じ空間で生活していただいて大丈夫です。問題は飼い主が宿泊療養や入院となった場合。動物から動物への感染もあるため、陽性だった場合は動物病院や動物愛護センターでも隔離せざるを得ません。東京都と千葉県では相談窓口があり、動物愛護センターの職員が引き取りに来てくれ、しかるべき環境で預かってもらえる体制が整っている。関東圏は順次体制づくりに取り組んでいる最中ですが、それ以外の地域ではどこでも預かってもらえないという可能性もあります。ペットを飼育されている方は一度お住いの自治体に確認してみることをお勧めします」

――ペットショップや保護施設で動物間でのクラスターが起こる可能性はあるのか。

「猫同士は感染しやすくまったくないとは言い切れませんが、ケージとケージの距離を離す、物理的にさえぎるなどの対応を取れば問題ないでしょう。仮に起こったとしても重症化するケースはほとんどなく、1週間以内に症状も収まるので殺処分というようなことにはなりません」

――新型コロナ以外で気をつけるべきペットの感染症は。

「国内ではSFTS、重症熱性血小板減少症候群という、マダニを媒介とした感染症に注意が必要です。マダニにかまれて発症するほか、感染した犬や猫から人間に感染し、死に至るケースもある。西九州に多く、毎年70~80人が感染し、致死率は10~30%程度にも上ります。マダニの生息する草の茂った場所にペットを連れていかないこと、ノミ・ダニの駆虫薬を定期的に投与すること、ペットとの過度の接触を控えることが重要です」

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