五輪で相次ぐ映像トラブル「これだけ頻発するケースは聞いたことがない」 TV関係者も困惑
東京五輪の中継映像の乱れが頻発している。堀米雄斗が金メダルを獲得した25日のスケートボード男子ストリート決勝では、堀米が首位に立った直後から、突然画像が二重に映るトラブルが発生。一時聖火台の映像に切り替わるなど約2分間も映像が乱れ、「ただいま映像が乱れています」とのテロップが画面上部に映った。中継したNHKは国際映像のトラブルと説明、対応に追われた。
堀米雄斗が金メダルを獲得したスケートボード決勝では画像が二重に映る不具合が発生
東京五輪の中継映像の乱れが頻発している。堀米雄斗が金メダルを獲得した25日のスケートボード男子ストリート決勝では、堀米が首位に立った直後から、突然画像が二重に映るトラブルが発生。一時聖火台の映像に切り替わるなど約2分間も映像が乱れ、「ただいま映像が乱れています」とのテロップが画面上部に映った。中継したNHKは国際映像のトラブルと説明、対応に追われた。
同日行われたサッカー男子1次リーグの日本対メキシコ戦でも堂安律が前半12分にPKで2点目を決めた直後から映像に黒い横線が入るトラブルが起こり、24日にも柔道男子60キロ級で選手の皮膚が赤く見える色調の不具合があった。
相次ぐ映像トラブルにネット上では疑問や非難の声もあがっているが、民放関係者は「一連のトラブルはすべてOBSの信号トラブルによるもの。われわれに言われてもどうしようもないんです」と困惑気味に語る。
オリンピック放送機構(OBS)とは、2001年に国際オリンピック委員会(IOC)によって設立された五輪・パラリンピック放送のホストブロードキャスター。2008年の北京五輪からはすべての映像をOBSが制作しており、各国のテレビ局が使用料を払い、提供された映像を放映するという図式が成り立っている。そのため全世界でまったく同じ映像が放送されており、映像トラブルも世界共通だ。
「原因は分かりませんが、これだけアクシデントが多いのは珍しい。人為的なミスではなく、おそらく衛星の信号トラブルだと思います。以前中央アジアのある国で行われた柔道の世界大会では、衛星環境から映像トラブルが起こったことがあるが、日本のような環境でこれだけ頻発するケースは聞いたことがない」
さらに、最悪の場合、歓喜の瞬間がリアルタイムで放送できない可能性もあるという。幸い今回の堀米の快挙に関してはリプレイで乱れのない映像が放映されたが、「衛星回線には表と裏の2つの回線があって、表が乱れたときでも裏がしっかり残っていればすぐに差し替えがきく。とはいえ、場合によっては表と裏の両方がダメなこともあります。確率は低いですが、可能性としては放送時間中、あるいはその日のうちに金メダルの瞬間が見られないということもあり得ます」(前出の関係者)。
ネット環境の普及で電波環境が飽和状態であることも遠因のひとつと言われるが……。日本中、いや、世界中でアスリートの歴史的瞬間が見られない。そんな事態にならないことを祈るばかりだ。