山下久美子独白、歌手として母として双子の娘たちと愛を育んだ20年

歌手の山下久美子が2020年にデビュー40周年を迎え、90年代の代表曲を集めたベスト盤「愛☆溢れて!~Full Of Lovable People~」をリリースした。80年代「学園祭の女王」と呼ばれ、今も変わらぬ力強さとチャーミングさでファンを魅了し続ける彼女だが、節目となる2020年に双子の娘が成人を迎えた。アーティストとして母として愛を育み、共に成長してきた20年間を振り返ってもらった。

山下久美子【写真:荒川祐史】
山下久美子【写真:荒川祐史】

シングルマザーとして戸惑いも多かった双子の子育て

 歌手の山下久美子が2020年にデビュー40周年を迎え、1990年代の代表曲を集めたベスト盤「愛☆溢れて!~Full Of Lovable People~」をリリースした。80年代「学園祭の女王」と呼ばれ、今も変わらぬ力強さとチャーミングさでファンを魅了し続ける彼女だが、節目となる20年に双子の娘が成人を迎えた。アーティストとして母として愛を育み、共に成長してきた20年間を振り返ってもらった。(取材・文=福嶋剛)

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――デビュー40周年、そして双子の娘さんたちも今年成人ということで、ダブルでおめでとうございます! いきなりですが母として娘たちを成人まで育てた現在の心境を聞かせてください。

「ありがとうございます。時代の流れに翻弄されて(母と娘の)世代の違いの大きさを痛感しながら過ごしてきた20年の日々って感じかな? でも実はまだ子育ては終わってないというか、まだまだ長いなって感じ(笑)。私が生まれ育った時代とは全然違いますからね。小学2~3年生から、個々のパーソナリティーが形成されて、それぞれの性格もぐんと違ってきて『え? マジか?』みたいな戸惑いが多々ありましたね。やっぱり母1人で娘2人と向き合うのは今もすごい戦いかな(笑)」

――母として「山下久美子」という名前は子育てにも影響がありましたか?

「彼女たちには、ちょっと辛かったのかなって思うことがあって、やっぱりそういう環境なので外に出ると誰かの視線を感じることはあったと思いますね。それで小学校に上がって2人が普通に生活できるように初めて子どもたちを通してのお付き合いに参加しました。学校に行って授業前の朝8時から生徒たちに『読み聞かせ』をよくやりましたね。PTAも1回やったらしばらく回ってこないからって、みんなが嫌がりそうな係に手を挙げたりね。でも結局2回やりました(笑)」

――昔、久美子さんによく取材させてもらっていた頃、「PTAの会議でちょっと遅れる」ってことが何度かありましたよね。

「そう。しょっちゅう学校にいましたから。それまでは音楽の世界だけだったから、最初の頃はなかなか自分の壁を超えられなくてね。素でいたいのにどうしても『山下久美子』が付いて回るから大変で、母1人子2人という中で、寂しい思いをさせないようにと思ってやってきましたね。ただ、娘たちに自分の身を守るためにと渡した携帯が運の尽きだったりして(笑)」

――ネットの世界に夢中になってしまったわけですね。私も同じ親としてよく分かります。

「そうですよね。今の時代、SNSで調べれば何でも出て来ちゃいますから。でも中学生の頃、彼女たちが生まれる前の私の人生について全部話をしたので、うちは別に隠しごとや知られてマズいことは全くないんです。そういう部分では娘たちの方が割とクールですよ」

――山下久美子よりもクールな娘さんたちって格好良い(笑)。そんな母親とアーティストの“すみ分け”はやっぱり大変でしたか?

「そうですね。基本的に自分の日常があって、日常の中に歌がある。それは昔から変わらなけれど、普段の生活に最近はリモート会議とか、電話インタビューとかたまに入ってくると家ではなかなかスイッチが切り替わらなくて思わず小声になっちゃったりとか(笑)。だから基本的に歌手としての山下久美子になるときは家から出ないとダメですね」

――スイッチの切り替えが大変なんですね。

「歌う体制に入ると自然にスイッチは切り替わるんですけど。昔は家の中で日常的に音楽を流していたんですが、今はむしろ生活音がいいですね。無音状態でコトコト煮込む音だったり、食事の支度をしているときの音がすごく気持ちいいとか。そういう日常の音を楽しんでるかな」

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