きゃりーぱみゅぱみゅ、Eテレ主題歌で“攻めた”理由 『パンどろぼう』ED曲制作の裏側

歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが、新曲『Pang Pang Pang』を10月2日にリリースした。同作は、NHK Eテレで放送中のアニメ『パンどろぼう』のエンディング主題歌にも起用されている。重低音を響かせる強烈なキックが力強く鳴り響き、子ども向けアニメの主題歌とは思えぬ攻めたサウンドがすでに話題となっているが、今作には“別バージョン”も存在していたという。デビュー15周年を迎えたきゃりーに、新曲への思いや、長年タッグを組んできた音楽プロデューサー・中田ヤスタカとの制作秘話などを聞いた。

インタビューに応じたきゃりーぱみゅぱみゅ【写真:高田啓矢】
インタビューに応じたきゃりーぱみゅぱみゅ【写真:高田啓矢】

『パンどろぼう』主題歌には別パターンも存在「私の強い思いも」

 歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが、新曲『Pang Pang Pang』を10月2日にリリースした。同作は、NHK Eテレで放送中のアニメ『パンどろぼう』のエンディング主題歌にも起用されている。重低音を響かせる強烈なキックが力強く鳴り響き、子ども向けアニメの主題歌とは思えぬ攻めたサウンドがすでに話題となっているが、今作には“別バージョン”も存在していたという。デビュー15周年を迎えたきゃりーに、新曲への思いや、長年タッグを組んできた音楽プロデューサー・中田ヤスタカとの制作秘話などを聞いた。(取材・文=中村彰洋)

人気俳優の韓国からスタートした愛車遍歴…“顔”で決めるクルマ選び(JAF Mate Onlineへ)

――今回、『パンどろぼう』の主題歌を担当されていますが、オファーを受けた心境をお聞かせください。

「『パンどろぼう』は、私も娘が寝る前に読み聞かせをしていた作品でした。アニメ化するというニュースを見て、楽しみに思っていたら、主題歌のオファーをいただけて、うれしかったです。『パンどろぼう』ファンとしても楽しみですし、中田さんがどういう楽曲を作ってくるんだろうという楽しみもありました。中田さんも原作を読んだことがあるみたいで、『どんな世界観がいいかな?』と話していたので、ワクワクが大きかったです」

――実際に『Pang Pang Pang』という楽曲を受け取ってみていかがでしたか。

「実はこの『パンどろぼう』の楽曲には秘蔵曲があるんです。3パターンぐらい候補があった中で、2曲をレコーディングしていたんです。最初は本当にEテレで流れそうな、童謡みたいな『パンどろぼう』の歌をレコーディングしました。後日、中田さんから『実はもう1曲あって』と、渡されたのが『Pang Pang Pang』でした。本当にすごくとがっているなって思いましたね」

――最終的には『Pang Pang Pang』が選ばれたんですね。

「中田さんとお話していて、『1曲目に録った方がテーマ曲っぽくて無難だよね』という流れにはなっていたんです。でも、『これぐらいとがっていた方がパンどろぼうのクレイジーな世界観には合うと思います』と、私の強い思いもあって決まりました」

――きゃりーさんご自身の意向が大きく反映されているんですね。

「そうなんです。『パンどろぼう』のストーリーって、パンがパンを泥棒して、しかも『まずい』って文句を言いに行く。そういったカオスな世界観が面白いので、主題歌も『Pang Pang Pang』ぐらいとがっていて、エキセントリックな楽曲の方がいいんじゃないかなと思ったんです」

『Pang Pang Pang』制作の裏側を明かした【写真:高田啓矢】
『Pang Pang Pang』制作の裏側を明かした【写真:高田啓矢】

攻めた楽曲への反響も上々「自分の代表曲に育ってくれると」

――実際にアニメのエンディングとして放送もされましたが、反響はいかがでしたか。

「気になってエゴサもしましたが、『パンどろぼう』の世界観にもすごく合っているという声もいただけてうれしいです。ファンの方も『こんなにとがった楽曲も久しぶり』『ライブ映えしそう』と盛り上がってくださっていました」

――今作は、メジャーデビュー曲『PON PON PON』(11年)をもじったようなタイトルにもなっています。デビュー15周年ならではのつながりを感じたりもされますか。

「そうですね。そういった遊び心も面白いですし、『PON PON PON』は、デビュー曲で、すごく大切な楽曲だったので、この『Pang Pang Pang』も同じように、自分の代表曲に育ってくれるとうれしいなと思いながらレコーディングをしました」

――娘さんの反応はいかがでしたか。

「テレビで真剣に見ていました。オンエアされる前から『Pang Pang Pang』を家で流していたので、『♪1 2 3 4 Pang Pang Pang』って一緒に歌ってくれています。『ママの声だ!』みたいな感じで楽しんでくれていました」

――2026年は『Focus Focus』『月姫』、そして『Pang Pang Pang』と3曲をすでにリリースされていますが、サウンド面でも、初期のきゃりーさんに近い雰囲気を感じました。

「私自身、もともと本当に中田ヤスタカサウンドのファンだったので、MEGさんやPerfumeたちの楽曲をたくさん聴いてきました。きゃりーぱみゅぱみゅになってから、デビュー当時は、私らしい遊び心のある楽曲が多かったですが、中田さんも、きゃりーぱみゅぱみゅが進化している姿を曲の中でしっかりと表現してくださっているなと感じていました。

 でも今年は、まさに中田サウンドが強いと思います。『Focus Focus』もそうですし、『月姫』を最初に聴いた時は、『あ、Perfumeっぽい』とちょっと思ったんです。中田さんは、ご自身の楽曲に加えて、いろんな方のプロデュースもしていますが、ベースには、中田ヤスタカサウンドが定着しているなと改めて思いました」

――デビュー以来、中田さんとタッグを組み続けていますが、この15年間についてお話されたりすることもあるのでしょうか。

「あります。中田さんはすごく私の声のことを褒めてくださるんです。年々高いキーが出るようになっているらしく、『それが今のきゃりーの特徴』って言ってくれます。新曲や『現実逃避』(25年)でも高い音が多くて、『結構遊べるんだよ』って私の音域を楽しんでくれています」

中田ヤスタカとのレコーディングについても語った【写真:高田啓矢】
中田ヤスタカとのレコーディングについても語った【写真:高田啓矢】

『月姫』レコーディングは「Perfumeとあ~ちゃんを思い浮かべて」

――例えば、Perfumeさんは歌詞を通して中田さんからメッセージをもらうことが多いといった発言をされることもありますが、きゃりーさんがそういったことを感じる瞬間もありますか。

「それでいうと、『月姫』は“コールドスリープ”と勝手につながった感じがして、アンサーソングなんじゃないかとすら思っているんです。Perfumeの『巡ループ』のMVの続きかなって思っちゃいました。あと、あ~ちゃんの結婚も祝福してるんじゃないかとも思っています(笑)。なので、『これがファン目線か!』と思いながら、Perfumeとあ~ちゃんを浮かべて、レコーディングしました。あそこまでのラブソングを歌うことが初めてで、かわいらしい曲だったので、もしかしたら私の娘に対する思いを描いてくださっているのかなとも思ったり。いろんな愛が受け取れる曲なので、皆さんも『これは誰に対して?』と考えながら楽しんでもらいたいなと思いましたね」

――2027年1月29日には、6枚目となるアルバムをリリースされますが、どのような作品になりそうですか。

「今回は『アルバムを作ろう』というよりも、産後復帰して、『いい曲ができたらレコーディングしていこう』という感じだったんです。これまでは、先に中田さんがタイトルをなんとなく考えていて、それにちなんだ曲作りをしていました。でも、ここ数年は『いい曲できたから歌いにこない?』って誘われるんです(笑)。急に『明日いける?』『今日の夕方は?』みたいに言われて、『行きます!』みたいな感じでレコーディングしていました」

――突然レコーディングが決まるんですね。

「そうなんです。しかも、タイミングが合わなくて行けなかったりすると、曲がボツになっちゃったりもするんです。だからめっちゃ怖くて(笑)。『この前の曲聴きたいんですけど……』って言ったら、『もう消したよ』って(笑)。なので、周年だからアルバムを出すというよりも、『面白い曲が集まったからアルバムを出そう』みたいな感じでした」

――そういった制作を経て、集まった収録曲たちになるわけですね。

「実はけっこう前に作り終わっていて、アルバム自体は10曲ぐらいになっています。でも、本当はもっと録っていて、ボツ曲もあるんです。そのボツ曲もめっちゃ素晴らしい曲たちなのですが、今回のコンセプトに合わせて選びました。リードトラックでアルバムの1曲目になるのが『Pang Pang Pang』です。今回アルバムからこぼれたとしても、曲のストックとして、どこかで復活するかもしれないです。シングルになるかもしれないし、次のアルバムに入るかもしれないです」

――今回、『パンどろぼう』主題歌をきっかけに、きゃりーさんの楽曲に触れる子どもたちも増えていきそうですね。

「うれしいですね。Eテレももともと好きでしたが、娘が生まれてからは、Eテレを流し続けていて、本当に足を向けて寝られないなってぐらい、Eテレさまさまです(笑)。保育園のお迎えに行くと、『パンどろぼう』のグッズを持っている人たちがたくさんいて、すごく愛されている作品なんだなと感じています。そんな作品に携われていることがうれしいです」

□きゃりーぱみゅぱみゅ 1993年1月29日、東京都出身。2009年に読者モデルとしての活動をスタート。2011年、中田ヤスタカプロデュースによるミニアルバム『もしもし原宿』でメジャーデビューした。その活動は国内のみにとどまらず、これまでに5度のワールドツアーを成功させるなど、海外でも存在感を示している。27年1月には6枚目となるアルバムをリリース予定。また、3月から6月にかけて5年ぶりとなる国内ツアーを開催する。プライベートでは、23年3月に俳優の葉山奨之との結婚を発表、24年10月に第1子となる長女を出産した。

次のページへ (2/3) 【写真】インタビューに応じたきゃりーぱみゅぱみゅの別カット
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください