「空いているから少しくらい」障がい者等用駐車スペースで後絶たぬ“不正使用” 物理的にブロックする新対策
「空いているから、少しくらいなら」──。そんな軽い気持ちで止めた結果、本当に必要な人が駐車できず、施設の利用を諦めることさえある。商業施設やスーパー、病院などの出入り口付近に設けられている「障がい者等用駐車スペース」は、障がい者や車いす利用者などのための区画だ。ところが、利用対象ではない人による「不正使用」が後を絶たない。そんな課題を解決する画期的なサービスが誕生し、話題になっている。開発の背景をメーカーに聞いた。

障がい者等用駐車スペースで後を絶たない不正使用をブロック
「空いているから、少しくらいなら」──。そんな軽い気持ちで止めた結果、本当に必要な人が駐車できず、施設の利用を諦めることさえある。商業施設やスーパー、病院などの出入り口付近に設けられている「障がい者等用駐車スペース」は、障がい者や車いす利用者などのための区画だ。ところが、利用対象ではない人による「不正使用」が後を絶たない。そんな課題を解決する画期的なサービスが誕生し、話題になっている。開発の背景をメーカーに聞いた。
元坂道メンバーの熱烈なクルマ愛「最初の一台は国産車」…現在の愛車を告白(JAF Mate Onlineへ)
社会的な課題となっている障がい者等用駐車スペースへの「不正駐車」。SNS上でも「障がい者用スペースに一般車両が止まっているのを何度も見かけてとても苦々しい思いをしていた」「健常者であろうアルファードが障がい者用スペースに止めて、車いすのおじいちゃん夫婦が利用できず遠くのスペースに止めてるのを見て悲しくなった」「ホームセンターの障がい者用駐車スペースで運転席の窓から片足を出しながら寝てるとんでもない人がいた」といった目撃談が散見される。
国土交通省が策定したガイドラインでは、本来必要としない人が利用することで「真に必要な人が利用できない状況が見られる」と課題が指摘されている。
そんな中、登場したのが、不適切な駐車を物理的に防ぐ新サービス「VEEMO Welfare(ビーモ ウェルフェア)」だ。成田国際空港やイオンモール上尾、愛知県のオートバックス3店舗などで運用され、導入に広がりを見せている。
「VEEMO Welfare」は、駐車区画の中央に専用スタンドを設置し、対象外の車の進入を物理的にブロックする仕組みだ。デジタル障がい者手帳「ミライロID」と連携した利用者が、スマートフォンのアプリでスタンドを下げることで駐車できるようになる。商業施設ではその場で利用でき、成田国際空港では事前に予約することで使用できる。
同サービスの開発・運営を手がけるVEEMOの担当者によると、開発のきっかけは、障がい者等用スペースがあっても必要な人が使えないという課題だった。施設側も不正駐車を防ぐための取り組みをしていたが、従来の対策には限界があったという。
「一般車両による不適切利用を防ぐため、施設側ではカラーコーンを置いたり、警備員やスタッフが確認したりといった対策が行われています。一方で、常時人の目で確認するのは運用上の負担が大きく、カラーコーンを置くことで、歩行が困難な利用者自身が車から降りてコーンを移動させなければならないケースもあります」
マナー頼みから一歩先へ 「使うべき人が使える状態」をテクノロジーで実現
そこで、同社は「利用資格をデジタルで確認すること」と「不適切な駐車を物理的に防ぐこと」を組み合わせ、不正駐車を防ぎながら施設側の運用負担も軽減できないかと考えた。
「VEEMO Welfareでは、デジタル障がい者手帳『ミライロID』と連携して利用資格を確認し、専用スタンドによって車室への進入そのものをコントロールします。これまでの『マナーに訴える』『カラーコーンを置く』といった対策から一歩進め、テクノロジーによって『使うべき人が使える状態』をつくることを目指しています」
2025年度に導入施設で実施した利用者アンケートでは、満足度が5点満点中4.3と高かった。ただ、同社は単純に「不適切利用が何件減ったか」という数字だけではなく、「これまで駐車できるか不安だった方が、安心して施設へ出かけられるようになること」が重要だと強調する。
「駐車場は目的地ではありません。しかし、駐車できなければ、その先にある買い物、旅行、通院、食事などを諦めることにつながる可能性があります」
一方、スペースを必要とするのは障がい者手帳を持つ人だけではない。高齢者や妊産婦、けが人なども含め、利用対象の考え方は自治体や施設によって異なる。「不正使用」を防ぎながら、必要な人をどこまで適切に対象にできるかという「利用資格のあり方」も今後の課題だ。
同社は「目指しているのは、『VEEMO Welfareがある施設だから安心して行ける』と思っていただける状態です」とした上で、「障がい者等用駐車スペースを『設置してある場所』から、『必要な人が本当に使える場所』へ変えていく。VEEMO Welfareをそのための社会インフラの一つにしていきたいと考えています」と話した。
「本当に必要としている方が利用しやすい状態を」オートバックスが導入した理由
導入した施設側はどうか。オートバックスでは、カーショップユタカが運営する愛知県内の「スーパーオートバックス・ルート22北ナゴヤ」「オートバックス・大治店」「オートバックス一宮大和店」の3店舗に導入されている。
オートバックスセブンの担当者は、導入の狙いをこう説明する。
「オートバックスでは、さまざまなお客様に安心して店舗をご利用いただける環境づくりを進めています。その中で、障がい者等用駐車スペースについても、『区画を設ける』だけでなく、本当に必要としている方が利用しやすい状態をつくることが重要だと考えています」
そうした考えに合致したのが、「VEEMO Welfare」の仕組みだった。「障がいのある方をはじめ、必要とするお客様に安心してご来店いただける店舗環境づくりにつながると考え、今回の導入に至りました」と担当者は話す。
今後について、担当者は「まずはこれらの店舗において、実際の利用状況やお客様の声、店舗運営への効果などを確認しながら運用を進めている段階です。今後の展開については、今回の導入結果を踏まえながら検討していく予定です」とし、店舗スタッフの確認・対応の負担軽減につながるかについても検証していくという。
駐車場のバリアフリー化は施設側にとっても大きな課題だ。担当者は「今回の取り組みを、単なる不適切駐車対策にとどめず、障がいのある方が『この店舗なら安心して車で行ける』と感じていただける環境づくりにつなげていきたいと考えています」と語った。
あなたの“気になる”を教えてください