「これは読んでしまう」スーパー特売そっくりの議会チラシに喝采 きわどい「問題作」も…攻め続ける広報のワケ
「最終決算」「日頃の監査を込めて質疑を大増量!」──。まるでスーパーの特売チラシのようだが、実は北海道・鷹栖(たかす)町議会の2026年9月の定例会の案内だ。「おもしろすぎる」などとしてSNSでチラシの画像が拡散され、大きな反響を呼んでいる。なぜ町議会がここまで“攻めた”広報を展開しているのか。制作を担当する片山兵衛(ひょうえ)議員に話を聞いた。

きっかけは町議選「3期連続無投票」への危機感
「最終決算」「日頃の監査を込めて質疑を大増量!」──。まるでスーパーの特売チラシのようだが、実は北海道・鷹栖(たかす)町議会の2026年9月の定例会の案内だ。「おもしろすぎる」などとしてSNSでチラシの画像が拡散され、大きな反響を呼んでいる。なぜ町議会がここまで“攻めた”広報を展開しているのか。制作を担当する片山兵衛(ひょうえ)議員に話を聞いた。
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「今任期最後の決算チェック」「今回の一般質問はひと味違う!」。黄色の紙面に黒の文字が躍り、一見するとチープな安売りチラシだ。しかし、よく読むと町政における予算の使い道や、議員が一般質問で何を取り上げるのかが分かりやすくまとめられている。
これに対して、SNS上では「これは読んでしまう笑」「作ってる人のセンスがスゴい」「すげぇなこれ、全部読んじゃったよ」といった驚きや関心の声が飛び交った。
北海道のほぼ中央に位置する鷹栖町は、人口約6400人の町。町議会ではこれまでにも、少年漫画誌の表紙風、特撮怪獣映画のポスター風、予備校の電車広告風、週刊誌の中づり広告風など、議会広報のイメージを覆すチラシを多く制作してきた。
その原点は2019年にある。同年の統一地方選で町議選が3期連続の無投票となり、片山議員をはじめ、議会は強い危機感を抱いた。
「無投票の背景には、住民の議会や議員に対する関心の低さがあるのではないかと考えました。そこで、『議会・議員に興味を持ってもらう』『理解を深めてもらう』『議会に参加してもらう』という一連の流れをつくることを任期の活動方針に据えました」
その取り組みの一環として、事務局が作っていた定例会チラシを、同年9月から議員自身が企画、制作する形に変更。12月の定例会の案内チラシで、週刊誌の中づり広告をイメージしたデザインを採用した。
「これがSNSや新聞でも話題となり、12月の休日議会では、前回14人だった傍聴者が35人に増えました。『チラシを見て面白そうだから来た』という方も実際にいました。議会に足を運ぶきっかけの一つにはなったと思っています」
今回の決算セール風チラシは、2022年9月に制作した家電量販店風の「秋の決算定例会大審査会」チラシをベースにしたリメイク版だという。
「『決算審査』と言うと、どうしても堅くて難しそうな印象があります。一方、『決算セール』は多くの人にとって身近な言葉なので、『いわゆる決算のチラシ』のように見せて、まず手に取ってもらおうという発想でした」
2022年版はカラーだったが、今回はあえて黄色い紙に黒一色で刷られたスーパーの折込広告をイメージした。前回は本物の家電量販店のチラシと勘違いした人もいたため、今回は「議会のチラシです」との注意書きを加えた。
議会チラシの1回の発行部数は約1600部で、そのうち1500部強を町内の新聞折込で配布する。印刷費と折込料は合わせて約1万3000円。デザインは外注せず、議会内で手掛けている。

「さすがに攻めすぎでは」“指名手配犯”風チラシは大議論に
そんな議会チラシの中でも「最大の問題作」といわれるのが、2024年6月の「指名手配犯」風チラシだ。交番の前にありそうな指名手配ポスター風のデザインで議員たちの顔と一般質問の内容を並べ、「この顔にピンときたら直接情報提供を」「お前、議員だろ?」といった際どいコピーを盛り込んだ。
「これまでの中でも特に議論しました。『さすがに攻めすぎではないか』『議会として発行してよいのか』というところまで、これまでにないくらい議論を重ねました」
最終的には、批判を受けることも覚悟で発行を決めた。
「その時、斉藤哲子議会運営委員長が言った、『批判があったら議会のみんなで受け止めましょう』という言葉が、制作を担当していた者として非常にうれしかったのを覚えています」
そのチラシの制作過程では、ワークショップで地元の鷹栖高校生徒会とも一緒に考えた。攻めたデザインだったが、単に目立つことを狙ったのではなく、「どうすれば普段議会を見ない人に届くのか」を若い世代と一緒に考えたものだったという。
片山議員は「目立つこと自体が目的ではなく、チラシをきっかけに、決算審査で何が行われるのか、議会が何を見ようとしているのかまで読んでもらうことが大切だと考えています」と強調する。だからこそ、今回の決算セール風チラシでは、SNSで「隅々まで読んでしまった」との声が寄せられたことが特にうれしかったという。
一方、取り組み開始から7年がたち、以前ほど分かりやすい効果が見えにくくなっているという課題も感じている。現在は紙のチラシだけでなく、動画やSNS、高校生との取り組みなども行っているが、それらの根底にあるのは、議会を知ってもらい、町のことを一緒に考える人を増やしたいという思いだ。
片山議員は「今回の反響はうれしい結果ではありますが、これだけで十分だとは考えていません」とした上で、「これからは、どうすれば興味を持ってもらうだけで終わらず、実際に議会を見てもらう、意見を寄せてもらう、町のことを一緒に考えてもらうところまでつなげられるか、その次の手も考えていきたいと思っています」と今後を見据えた。
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