「なんで履かせないの?」災害救助犬の“保護靴”に広がる誤解…むしろ犬を危険にさらすケースも

熊本地震は発生から3日が経過、救助活動が正念場を迎えるなか、優れた嗅覚で人命救助を担う災害救助犬の“足元”に注目が集まっている。ネット上では、保護用の靴を履いて捜索活動を行う災害救助犬の映像が拡散。がれきの中で足をけがしないための配慮に安堵(あんど)の声が広がる一方、靴を履かせていない写真に「なんで履かせないの?」と疑問の声も上がっている。災害救助犬の靴はどのような場面で履かせるものなのか。専門機関に話を聞いた。

イオンモール熊本で捜索を行う、保護靴を履いた警察犬【写真:X(@NPA_saigaiKOHO)より】
イオンモール熊本で捜索を行う、保護靴を履いた警察犬【写真:X(@NPA_saigaiKOHO)より】

がれきの中で足をけがしないための配慮の一方で、むしろ犬を危険にさらしてしまう場合も

 熊本地震は発生から3日が経過、救助活動が正念場を迎えるなか、優れた嗅覚で人命救助を担う災害救助犬の“足元”に注目が集まっている。ネット上では、保護用の靴を履いて捜索活動を行う災害救助犬の映像が拡散。がれきの中で足をけがしないための配慮に安堵(あんど)の声が広がる一方、靴を履かせていない写真に「なんで履かせないの?」と疑問の声も上がっている。災害救助犬の靴はどのような場面で履かせるものなのか。専門機関に話を聞いた。

 被災地・熊本では、人命救助の生存率が急激に低下する「72時間の壁」が迫るなか、懸命な救助活動が続いている。捜索の様子を映した映像の中で、保護靴を履いた災害救助犬の姿に、ネット上では「がれきで怪我しないかなって思ってたから、靴はいててよかった」「がれきの山で肉球をけがしないか心配してた」と安心する声が広がっている。

 一方、中には靴を履かせていない場面を捉えた画像も出回っており、一部から「なんで靴を履かせないの?」「お願いです!! 犬用の靴を履かせて上げて!!」といった疑問や抗議の声も上がっている。

 犬用の靴とはどういったものなのか。災害救助犬の育成活動を行うNPO法人日本救助犬協会の山田恊事務局長は「もとは軍用犬の足の保護を目的に作られたもので、アメリカやヨーロッパの軍隊などで湾岸戦争の前後に採用されたものかと思います」とその歴史をひも解く。救助の現場ではがれきやガラス片、地熱からの保護目的で履かせることもある一方、実は靴を履かせることによるデメリットも大きいという。

「犬の肉球は非常に重要な感覚器官で、肉球からの刺激を通して地面の状況を把握しています。救助の現場では基本的に首輪をしないので、靴を履かせることでこれらの情報が得られず、足を引っかけたり、がれきを嫌がって走り出したり、むしろ危険なところに踏み込んでしまうこともある。足に合ったオーダーメイドの靴で、トレーニングをしっかり積んだ災害救助犬であれば有用な場合もありますが、我々の協会では靴の使用は推奨していません」

 近年は愛犬家の間で、夏場の散歩時に履かせるケースが増えている犬用シューズだが、救助の現場では逆に犬を危険にさらしてしまうこともあると山田事務局長。正しい知識を持って、人命救助の最前線を担う災害救助犬の活躍を応援したいところだ。

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