日産新型エルグランド、“打倒アルファード”への勝算は? あえて「いかついフェイス」を避けたワケ
日産自動車は16日、16年ぶりにフルモデルチェンジした高級ミニバン、新型「エルグランド」の国内販売を開始した。高級ミニバン市場では、トヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」が圧倒的なシェアを誇る。売れ筋に寄せる方が無難に思えるが、エルグランドは後を追わなかった。流行の「いかつい」顔ではなく、洗練された上品なデザインを採用し、さらに「走る楽しさ」を追求することで、明確な差別化を図っている。価格は競合より高めとなるが、日産にはどんな勝算があるのか。担当者に話を聞いた。

16年ぶりの刷新 ライバルと異なる独自路線へ
日産自動車は16日、16年ぶりにフルモデルチェンジした高級ミニバン、新型「エルグランド」の国内販売を開始した。高級ミニバン市場では、トヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」が圧倒的なシェアを誇る。売れ筋に寄せる方が無難に思えるが、エルグランドは後を追わなかった。流行の「いかつい」顔ではなく、洗練された上品なデザインを採用し、さらに「走る楽しさ」を追求することで、明確な差別化を図っている。価格は競合より高めとなるが、日産にはどんな勝算があるのか。担当者に話を聞いた。
エルグランドは1997年に初代が発売され、高級ミニバンというジャンルを切り開いた「元祖」とも呼べる存在だ。しかし現在は、2002年に登場した後発のアルファードや、その姉妹車ヴェルファイアが高級ミニバン市場を席巻。4代目となる新型エルグランドは、16年ぶりの全面刷新で打倒“アルヴェル”を目指す。発表イベントでは、執行職の杉本全氏が「これからの日産の成長をけん引する重要なモデル」と、新型エルグランドに期待を寄せた。
新型エルグランドは、第3世代「e-POWER」と電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を全車に採用。走行シーンに応じて4輪の減衰力をコントロールする「インテリジェントダイナミックサスペンション」も搭載し、後席を含めた乗り心地のよさと、ドライバーが意のままに操れる感覚の両立を図っている。
フロントグリルには、日本の伝統工芸「組子」をモチーフにした緻密な意匠を取り入れた。室内には大型ディスプレーを採用し、2列目の左右席それぞれにオットマン(足置き)を備え、大人でも寝返りを打てるほどの広さを確保した。希望小売価格は、ベースグレードの「X e-4ORCE」が税込み689万7000円、上級仕様の「G e-4ORCE」が税込み757万9000円となっている。
車の「顔」となるフロントマスク。高級ミニバンでは、アルファードやヴェルファイアに代表されるように、大型グリルやメッキを強調し、ひと目で迫力を感じさせる「いかつい」デザインが現在の主流だ。
これに対し、新型エルグランドは丸みを帯びた車体と細かな模様のグリルを組み合わせ、威圧感よりも大人の上品さや洗練された高級感を前面に押し出している。発表会では、このデザイン性について「知性」という言葉が使われていたのが印象的だった。
日産自動車日本マーケティング部の柴田亮チーフマーケティングマネージャーは、「本質的なプレミアム感を狙ってデザインしている」と説明する。分かりやすく豪華さを示すクロームメッキなどの装飾には頼らず、組子に着想を得た緻密なデザインによって「上品で美しく、かつ威厳もある」表情を目指したという。
そこには、競合を安易に追いかけないという判断もあった。
「モデルチェンジまで少し時間がかかったということもありますので、後追いで同じテイストの車を出しても、あまり意味がないと考えました」
アルファードやヴェルファイアに似せるのではなく、エルグランドがもともと持っていた世界観を、現代的な高級感に合わせて表現した形だ。
「高くても選ばれる」走る楽しさに勝算
新型エルグランドの価格設定は、アルファードやヴェルファイアと比べて高めとなっている。それでも日産が勝負できるとみている理由が「走る楽しさ」の追求だ。
柴田氏によると、Lサイズミニバンのユーザーが潜在的に抱えながら、これまで満たされていなかったニーズを探ったところ、「走る楽しさ」が大きいことが分かったという。
高級ミニバンは後席の乗り心地を重視しがちだが、快適性を追求すると、運転の楽しさが薄れやすい。新型エルグランドでは、第3世代「e-POWER」、電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」、「インテリジェントダイナミックサスペンション」を組み合わせ、後席の快適性と運転する楽しさを高い水準で両立させた。
柴田氏は「ライバルとの価格差は、私たちも認識しています」としながら、「今回の車の完成度からすると、自信を持ってお届けできる」と、価格に見合う価値があると強調する。性能面では満足のいく仕上がりになった様子で、あとはユーザーが価格面を含めてどのように評価するか。今後は試乗などを通じて走りの違いを体感してもらい、販売店とも協力して訴求を進めていく。
人気車では注文が集中し、納車まで長く待たされることも珍しくない。柴田氏は、人気のグレードや車体色によっては通常より時間がかかる可能性があるとしながらも、「基本的には、なるべくお客さまを待たせずにお届けできるような生産体制を構えている」と話す。
品薄になりにくい体制を整えているといい、想定を上回る注文が入った場合でも、可能な範囲で生産を調整する方針だ。「納車も受注も含めて、安心してお店に来ていただければ」と呼びかけた。
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