次世代担う21歳・倉沢杏菜の“理想像” 『豊臣兄弟!』で放つ存在感…デビュー3年で大河2本&朝ドラ出演

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(日曜午後8時ほか)で豊臣兄弟の妹・あさひを演じる倉沢杏菜が存在感を放っている。2022年に開催された「レプロ30周年主役オーディション」で約5000人の中から見いだされて以来、わずか3年。朝ドラ1本、大河2本をはじめ、多数の話題作に出演するなど勢いを見せている。着実な成長を続ける21歳は、今何を思っているのだろうか。

インタビューに応じた倉沢杏菜【写真:増田美咲】
インタビューに応じた倉沢杏菜【写真:増田美咲】

プライベートでは意外な一面も「ダンスができる部分も出していきたい」

 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(日曜午後8時ほか)で豊臣兄弟の妹・あさひを演じる倉沢杏菜が存在感を放っている。2022年に開催された「レプロ30周年主役オーディション」で約5000人の中から見いだされて以来、わずか3年。朝ドラ1本、大河2本をはじめ、多数の話題作に出演するなど勢いを見せている。着実な成長を続ける21歳は、今何を思っているのだろうか。(取材・文=中村彰洋)

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 倉沢にとって2作目となる大河への出演は、オーディションでつかみ取ったものだった。2024年放送の『光る君へ』に藤原妍子として出演した経験が、今作にも生きている。

「『光る君へ』の時は、歴史ある大河ドラマに初めて出させていただくということで、ものすごく緊張していました。ただ、重厚な役よいうよりは、少し破天荒な役だったことが、私にとっては大きかったです。その経験が、今回のあさひにも生きているなと感じています。今作では、ありがたいことに物語の始まりから出演させていただいているので、作品をどうやって作っていくかという部分と向き合うことができています。それゆえの悩みや難しさもあるので、そういった意味での緊張感は今回の方が大きいかもしれません」

 2度目の出演となったが、大河ならではの世界観に、今でも驚かされる日々だ。「セットや衣装、メイクなど細部までこだわり抜いた作り込みがされており、セットに入るたび、異世界へ行く感覚があって、これは大河ドラマならではだなと感じています」。

 スイッチのオンオフが「苦手」という倉沢。撮影がない日でも、あさひのことが常に頭の中にあるという。それが影響し、意外な気付きを得たとも明かす。

「あさひのことを考えながら、おいしいものを見ると、今まで以上においしそうって感じるんです。気付いたら大きな口を開けて食べています。自然にも目がいくようになりました。あさひたちのルーツは農家なので、以前から自然は好きでしたが、より一層好きになった気がしています。田植えのシーンでは、本当に裸足になって田んぼに入って撮影をしました。すごく心地良くて、改めて『自然が好きなんだな』と、あさひを通して感じました」

『豊臣兄弟!』で新たなやりがいを見つけたと語った【写真:増田美咲】
『豊臣兄弟!』で新たなやりがいを見つけたと語った【写真:増田美咲】

『豊臣兄弟!』で感じた新たなやりがい「大切な方々の団らん時間に自分が関われている」

 2023年に俳優デビューしてから約3年。朝ドラ1本に大河2本、日本テレビ系ドラマ『君のスマホを見てみたら』(25年)では初主演を務めるなど、着実に成長を続けている。「自分が一番信じられていないです。すごくありがたい作品に出会わせていただいていると思います」と驚きを口にする。

「この数年で変化した部分は、たくさんあるとは思いますが、正直自分ではあまり気付けていません。『何が変化したんだろう』と考えてみましたが、意外と出てこないんです(笑)。逆に、お芝居に真摯に向き合い続ける姿勢だったり、周りの人と真摯に向き合うといった部分は、変化しないように意識しています」

 芝居と向き合う中で、新たな魅力を感じる機会も増えてきた。「撮影している時に、みんなの気持ちが一つにつながったような瞬間は、すごく楽しいです」と笑顔を見せる。朝ドラや大河に出演したことで、確かなやりがいも実感している。

「『豊臣兄弟!』は、『家族で見てるよ』と連絡をいただくことが多いです。私の大切な人やお世話になっている方々の家族などとの団らんの時間に、自分が関われているということがすごくうれしいです。『もっと頑張ろう』って思えます。現代社会は、オンライン上でつながれたり、チャッピー(ChatGPT)と話したり、人間同士のつながりを深く感じることが難しくなっていると思います。その中で『豊臣兄弟!』は、家族の物語をすごく大事にしていて、そういったことを訴えかけている作品だと思っているので、それが実際に誰かに届いているということはすごくやりがいを感じます」

 着実に存在感を増してきたことで、近年は「ネクストブレイク俳優」などと紹介されることも増えてきたが、初心を忘れてはいない。

「すてきな方がいっぱいいらっしゃるので、『すごいな。自分はできてないな』と比べて、メンタルが落ちてしまい、押しつぶされそうになる時もあります。だけど、めんどくさがりでもあるので、悩んで考えている自分に飽きて、『ま、なんとかなるか』と立ち直ることもあります(笑)。良いことかは分からないですが、自分を信じられる時もあれば、自信を持てない時もあって、でもそれらが交錯する瞬間に、大事な出来事や人と出会わせてもらっている感覚があるんです。

 この3年間で出会わせてもらった作品、人からいただいた言葉、そういったものは着実に自分の中に積み上がっている感覚があります。積み上がったものを、これからも活かしていけるように頑張りたいです。この3年間、本当にありがたいご縁をたくさんいただいたので、これからもそれが続いていくように自分を磨き続けなきゃなと思っています」

現役大学生でダンスが趣味とさまざまな顔を持ち合わせている【写真:増田美咲】
現役大学生でダンスが趣味とさまざまな顔を持ち合わせている【写真:増田美咲】

デビュー当初から変わらない“なりたい自分”「誰かの背中を押すことができたら」

 プライベートでは、現役大学生として勉学に励む21歳。ダンスを趣味とし、そのスキルを磨いたりと、テレビで見せる姿とのギャップも持ち合わせている。

「ダンスができる部分も出していきたいです。私の表現のルーツは踊りで、お芝居の根本は身体表現だと思っているので、アピールしていきたいです。ミュージックビデオなどでも踊ってみたいですし、ミュージカルも好きで、舞台上で踊ることも好きなので、バレエや踊りをテーマにした作品に出るという目標もあります」

 さまざまな役柄を演じる中で、“カメレオン俳優”などと称されることもあるが、自身でも手応えを感じる部分もある。

「どんな役であっても、演じる時には、いつでも自分の軸に戻ってこられるように心掛けています。自分の軸に戻ることができれば、どんな役でも、見失わずに演じられると思っています。最初の頃は、ふわふわと浮足立ってしまうような感覚もありました。私って想像の世界や空想の世界に飛んでしまいがちなんです(笑)。でも、地に足をつけて『今ここにいる』という実感を、ちゃんと持つことが大事なんだと気が付いてからは、意識も変化しました」

 さまざまな舞台を経験し、目の前に広がる世界も徐々に変化しているが、“なりたい自分”の像は、デビュー当初から変わっていない。

「見てくださる方、関わってくださる方に明るいエネルギーを届けたいです。作品を通して、誰かに明日頑張ろうと思ってもらえたり、誰かの背中を押すことができたらうれしいです。目指したい自分はブレていません」

□倉沢杏菜(くらさわ・あんな)2005年3月18日、神奈川生まれ。22年「レプロ30周年主役オーディション」に合格。23年に『ZIP!』内の朝ドラマ『パパとなっちゃんのお弁当』(日本テレビ系)でドラマ初出演。NHKでは『VRおじさんの初恋』(24年)、連続テレビ小説『ばけばけ』、大河ドラマ『光る君へ』『豊臣兄弟!』などに出演。特技はクラシックバレエ、ダンス、歌、何でもおいしく食べること。

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