小川直也が指摘 「ウルフアロンの1000万円企画」から天心VSメイウェザー戦を思い出した理由
“暴走王”小川直也が12日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」を更新した。内容は4月11日に実施された「ウルフアロンから3カウント取ったら1000万円」なるAbema TVの企画について語ったもの。今回はこれについて考える。

新日本プロレスのウルフではないプライベートな話!?
“暴走王”小川直也が12日、自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」を更新した。内容は4月11日に実施された「ウルフアロンから3カウント取ったら1000万円」なるAbema TVの企画について語ったもの。今回はこれについて考える。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
まず小川は、今回のAbemaによる1000万円企画が実施されると聞き、「なんでそれやる?」との印象を持ったことを明かすと、「俺のウルフ像は、デビュー戦(の映像)を見ていて思ったんだけど、柔道衣を脱いだところからスタートしているわけじゃない。だから(柔道衣を着ているということは)ウルフ個人なんじゃない? 新日本プロレスのウルフじゃないんだろうね、っていう気はした。プライベートな話だろって」と話した。
Abemaによる同企画は5年ぶりだったが、今回は「ウルフアロンから3カウントを取ったら1000万円」として実施された。ルールは4分一本勝負。「マットに背中をつけて3カウントを奪う」または「投げ技で一本を取る」ことで勝利となり、すべての打撃技、関節技、締め技および急所への攻撃、噛みつき行為は禁止。また、出場者全員に柔道衣を着用することが課せられた。
ウルフの対戦相手は、お笑い芸人のカカロニ栗谷からスタートし、“ベンチプレス400キロ男”藤本竜希、ラグビー系YouTuberのノッコン寺田、MMAファイターの矢地祐介、元大相撲の把瑠都が挑んだものの、ウルフの牙城は崩せず。
最後は東京五輪60キロ級金メダリストの髙藤直寿との対戦になったが、体格に勝るウルフが勝利し、1000万円を死守することに成功した。
さらに、小川は「新日本のウルフではない」と思った真意を話す。
「だって新日本プロレスの中では柔道衣を脱いだウルフになっているわけじゃん。そこからどうしようかってのに、なんでまた戻る? って気はしたけどね」
一方で小川は「その違和感は持ってみた」としながら、「(ウルフの)柔道に関しては彼に対して何も言うことはない」と全面的に認めながら、それだけに「彼から(3カウントなり投げ技で一本を)取るのはなかなか難しいんじゃねえかっていうのは正直なところ」と話した。
小川の見解はさておき、個人的にはウルフが他ジャンルの猛者と交わる企画に興味が湧いた。
なにせ、もしウルフが1000万円を取られるような場面が現出されたら、これ以上の驚きはないではないか。

柔道三冠王にどう勝つのか
だが、小川はそんな心理すら、「その気持ちが分からない」と一蹴した。
その上で引き合いに出したのが、RIZINで実現した那須川天心とフロイド・メイウェザー・ジュニアの一戦(2018年大みそか、さいたまスーパーアリーナ)だった。
実際、天心VSメイウェザー戦に関しては、小川が2月にRIZINの榊原信行CEOと対談した際にも話題に上がったが、小川はその際も冷静に俯瞰(ふかん)して見ていたことを明かしていた。
「(今となっては)結果が出たからそう思うわけで、あの時の風潮はみんなおかしかったよ。もしかしたら(天心が)勝てるかも、って、みんななんでそう思うの? って感じでさ。俺はそう思うように持っていくのがうまいなって話したら、バラさん(榊原CEO)はさすがに笑ってたけどさ。『小川さん、種明かしを言わないでくださいよ』っていう雰囲気でさ。だから今回もそれなんだよ」。
つまり小川は、ウルフとメイウェザーの立場は同じだったという分析し、「ウルフにどうやって勝つんだい?」と口にすると、その理由を以下のように話した。
「全日本(柔道選手権)だろ、世界(柔道)選手権だろ、五輪(金メダル)だろ。(ウルフは)みんな取っているんだぞ。(柔道家として)それ以上ないっていう(実績を持つ)選手にどうやって勝つのって話じゃん。しかも(お互いに)道衣を着させてさ。ね? 『1分もったら勝ち』とかならまだしもよ。(3カウントを)取れっていうんでしょ。難しいっしょ、あれは」
たしかに小川の解説は真っ当すぎる正論だろう。それでも、まさかが起こるかもしれない、と思って見ていた視聴者は一定数いたように思う。
これに関して小川は、「みんな思い思いのご都合で考えるじゃん。それはいいんだよ、自由だから。考えちゃうからそういう結果になっちゃう」「考えたら感動は湧かないんだけど、それはプロモーターとか主催者の腕の見せどころですよ」と話し、あくまで冷静に考えれば、結果は見る前から分かっていたとの見解を崩さない。
ちなみに今回の企画に完勝したウルフは、柔道界にとってこれ以上ないほどの貢献を果たし、柔道の強さを見せつけることに成功したようには思うものの、それがそのまま「プロレス最強」につながっていくのかと考えると、どうしても「?」がついてしまう。
今回の企画はグリコのオマケみたいなもの
これに関しては小川も「プロレス最強? 残念ながらそれは難しいよね」と話すと、「それを=(イコール)で『プロレス最強』に結びつけるなら、無理があるっていうか、みんながそういう気持ちにならないよね。不思議なんだよ。強さじゃなくてさ。人気も強さなんだよ。プロって強い弱い(だけ)じゃないじゃん。人気があるかないかじゃない。稼ぎがあるかないかじゃん。そこに尽きるんだよ」
小川は現役時代から繰り返してきた「強さだけを競いたいなら野っ原でやれ」という持論にも触れつつ、今回の企画をこう総括した。
「だって興行だぜ? イベントだぜ? お客さんを喜ばせてナンボじゃない? だからそれはAbemaが仕掛けた。みんなに注目を浴びるし、仕掛けた番組のなかでプロデューサーが大成功したって話なんじゃないの? だからウルフが強いというよりは、Abemaのプロデューサー万歳でいいんじゃないの?」
そう言って小川は、今回の1000万円企画の本当の勝利者を挙げると、最後に「プロレスファンにしてみれば(今回の企画は)グリコのオマケみたいなもんだぜ」と独特の表現を使い、「だって他流試合みたいなところでさ。要するにプライベートの一環で、(1000万円企画に)出てさ。それが普段応援しているプロレスラーのウルフじゃないわけじゃん……と思います」とつないだ。
「長々話したけど、最後は、と思います」と小川は断言せずに余白を持たせるように話をまとめたが、現時点でウルフは、プロレスラーとしてのキャリアは半年というド新人。実績はまだまだ発展途上にある。それでも一般層への訴求力という点で考えればプロレス界にとっても一定のプラス効果をもたらしたことは先にも書いた通りだ。
何よりウルフが“プロレスの外”へ踏み出したことで、改めて「プロレスとは何か?」を考えるきっかけづくりになった。その点で言えば、早くも2026年の新人賞に当確を出してもいい気がしたくらい。
さらにいえば、柔道家のメダリストからプロレスラーになった先人として、小川がウルフを語るとウルフの存在意義がより多角的に見えてくることも改めて認識することができた。つまりは今後もウルフの活躍とともに、それに伴う小川の見解が見逃せなくなってきたことは間違いないと考える。
(一部敬称略)
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