武尊が最後の最後に捨てた“自分らしさ” 明かしたロッタン撃破の勝因…プロ51戦目で初めて貫いた冷静な戦略
武尊といえば、相手のパンチを被弾しても笑みを浮かべながらさらに前へ出て打ち合いを挑む姿が印象的だ。闘志むき出しにした姿は多くのファンの心を動かしてきたが、プロ51戦目の引退試合だけは“それ”を封印した。

「ロッタンのパンチをもらっておきたい」と葛藤も
武尊といえば、相手のパンチを被弾しても笑みを浮かべながらさらに前へ出て打ち合いを挑む姿が印象的だ。闘志むき出しにした姿は多くのファンの心を動かしてきたが、プロ51戦目の引退試合だけは“それ”を封印した。
格闘技イベント「ONE SAMURAI 1」(4月29日・東京・有明アリーナ)で行われた現役最終戦。相手は“破壊神”の異名を持つロッタン・ジットムアンノン(タイ)だった。キックボクサー時代の那須川天心をもっとも苦しめた相手としても知られ、武尊自身は昨年3月に対戦し1R・TKO負けを喫していた。

楽しくなってしまう真っ向からの殴り合いを望むには、これ以上ない最高の相手だった。しかし、現役最後のリングに上がった武尊は、その“闘争本能”を必死に押さえ込んだ。
「頑張って興奮を抑えてましたね。本当に丁寧に丁寧にやろうっていうのはあるんですけど、僕が試合前に何回もイメージしても、試合ではどうしても我慢できなくて殴り合いに行っちゃうんですよ」
現役最後に「ロッタンのパンチをもらっておきたい」。そう頭に何度もよぎった。実際に1R、2R、3Rはガードを固めた姿が印象的であったが、4Rに入るとニコニコしながらロッタンのパンチを顔で受けていた。

そのまま本能の殴り合いに呑み込まれそうになる。しかし、自分を信じて付いてきてくれたファンや、支えてくれた家族、仲間の存在で踏みとどまった。再び己の欲求をぐっと押さえ込むと、パンチだけでなく、ローキックや腹への前蹴りと冷静に攻撃を打ち分け、最後は鮮やかに右のパンチでロッタンをKOした。
「ちゃんと丁寧に相手を削って、自分が強かった時の戦い方を思い出して。ロッタンだから思い切り殴り合いたいけど、頑張って丁寧に削ってから殴るのを意識しました。今日来てくれた人たちに、このベルトと勝ちを届けたかったので」
現役最後のリングで武尊が打ち勝ったのは、宿敵・ロッタンだけでなく、本能のままに殴り合いを求める「自分自身」だった。
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