及川光博、デビュー30周年も“ミッチー”で在り続ける理由「将来に楽しみがまだある」
アーティスト、俳優として活躍する及川光博(56)が5月29日に歌手デビュー30周年を迎える。4月4日からは毎年恒例のワンマンショーツアー「TAKE IT ROSY!」で全国を巡り、5月6日にはお祭りムード全開な2年ぶり21作目となる新アルバム『TAKE IT ROSY!』をリリースする。まさにお祝いムードに包まれたアニバーサリーイヤーを駆け抜ける“ミッチー”に今の思いを聞いた。

デビュー当初は予想もしていなかった56歳の今「奇跡だなって感じています」
アーティスト、俳優として活躍する及川光博(56)が5月29日に歌手デビュー30周年を迎える。4月4日からは毎年恒例のワンマンショーツアー「TAKE IT ROSY!」で全国を巡り、5月6日にはお祭りムード全開な2年ぶり21作目となる新アルバム『TAKE IT ROSY!』をリリースする。まさにお祝いムードに包まれたアニバーサリーイヤーを駆け抜ける“ミッチー”に今の思いを聞いた。(取材・文=中村彰洋)
「まさか30周年を迎えることができるなんて、本当に思っていなかったよ」
26歳で歌手デビューした30年前には、想像もしていなかった50代を迎えている。
「長きにわたり応援してくれたベイベーたち、男子諸君(ファンの総称)への愛と感謝しかないよね。ライブハウスでスカウトされて、メジャーデビューさせていただきましたが、当然この世界は厳しくて、アルバム1枚がダメなら、そこでアウトというような時代でした。だから、30年も続くだなんてうれしくて笑っちゃう。奇跡だなって感じています」
そんなアニバーサリーイヤーにリリースする新アルバム『TAKE IT ROSY!』のテーマは「楽観的に生きよう」。きっかけは昨今の社会における「生きづらさ」を感じたことからだった。
「コンプライアンス社会、ネット上の情報過多、誹謗中傷や不景気……。あらゆる要因で、人生にダル重い感覚を抱いている人が多いと感じました。だけど、明日はやってくる。何とかして1日1日を楽しむためにも、皆さんの人生を応援するようなメッセージを込めました。『バラ色で行こうよ!』と、とにかく明るく楽しいアルバムになっています」
21作目のオリジナルアルバムとなったが、「21枚も作詞作曲してきたのかと驚きです」と白い歯を見せる。
「趣味を仕事にしたわけですが、つらさや苦しさも過去には散々ありました。でも、それを乗り越えた先には楽しさだけが残るんです。毎回、『これが遺作となっても悔いはない』という気持ちで作っています。これが最後の作品だと思うと、ドラマにせよ、アルバムにせよ、悔いを残したくないというエネルギーが内側からあふれてきて、ガッツが出てくるんです。明日が来ないかもしれないと思いながら生きていると、1日1日をフルパワーで過ごせるんですよね」
今作は、特に「リズムのグルーヴ感」にこだわったという。中でもリード曲となる『スターダスト・カーニバル』は「バースデーケーキをいただいたような喜び」と口にする。
「30周年はビッグバンドのアレンジがしたいと思っていて、その夢がかなって大興奮でした。12人のホーンセクションで迫力のあるパーティーソングになりました。歌詞も一言目から『スターです☆』と言い切っているところがポイントです。逃げず、ブレず、迷わず、“ミッチー”をやってまいりたいです」

30年間で手に入れた「信頼と実績」
30周年を迎えて、「シンプルに自信がつきました」と大きく変化した心持ちを明かす。
「デビュー当初は、自分を信じることができていなかったと思います。虚栄心で、かっこつけてばかりでした。でも、最近は楽しければいいなと思っています。インタビューでも、昔は理論武装して大きく見せようとしていた時期もありましたが、今はそういう気持ちもありません。だから、自信がついたことが一番大きな変化だと思います。30年間で信頼と実績を手に入れたこともとても大きなことです」
歌手として30周年を迎えた一方で、俳優デビューからも28周年を迎える。一方に偏ることなく、つねにどちらも全力で駆け抜けてきた。「コンスタントにドラマや映画で俳優活動をして、アルバムを作って、毎年欠かさずに、全国ツアーを行っています。この皆勤賞ぶりは皆さんに褒めていただきたいです」と笑う。
「休みたいと思うこともあるけど、何もしない長期休暇がハッピーかといったらそうでもないんですよね。結局は飽きっぽいところが才能なんだと思います。3か月ドラマに出演していたら、歌って踊りたくなるし、全力でツアーを回っていたら、しばらく歌はいいやってなる。飽きっぽいから両立できているんだと思います」
音楽と俳優、「モノづくりの楽しさと苦しさ」を共通点と挙げながらも、根底は「まったく違う」と断言する。かつてのインタビューでは、アーティストを料理人、役者は食材と形容していたが、その思いは今でも変わっていない。
「アーティスト活動は自己中心的な創作です。ファンであるベイベーたち、男子諸君の熱狂する姿、笑顔を目の当たりにすることが醍醐味です。俳優活動は作品に参加して、監督やプロデューサーの要望に応える意識で、チームプレイが楽しいです。編集には口を出せないですし、何テイクも同じシーンを撮っていても、どこを使うかはお任せです。煮るなり焼くなり好きにしてくださいって(笑)。でも、完成したものを見るとやはり大きな達成感があります」

オンとオフのメリハリを意識「玄関でターンを決めてから出かけるように」
年齢を感じさせないエネルギッシュな姿が印象的だが、「老化には抗わない」と意外な言葉も口にする。「抗ったってしょうがないから、ゆっくり年を重ねようと思っています。あとは笑顔。笑顔でい続ければ、人生勝ったようなものです」。
マインド的には、「新鮮な気持ちで日々を生きる」ということを大切にしている。
「学ぶ姿勢を失いたくないんです。なかなか50代になると難しいですが、出会った人や作品から刺激を受けることは大切にしたいです。10代の俳優と共演してもすごく刺激になりますし、大先輩とお酒を飲んでいても、学ぶことが多いです。学び続けることが、人生の鮮度を保つ秘訣じゃないかな」
まだまだ伸びしろを感じられていることも、楽しみながら仕事と向き合える要因の一つだ。
「演技にせよ、ライブにせよ、及第点を高めに設定しているので、いつも満足度が低いんです。低めに設定できればもっと楽なんだろうなとも思いますが、だからこそまだまだだなと感じることができます。だって、40年も50年も続けている先輩方がいらっしゃるんですよ。僕なんてまだまだです。でも、今でもそう思えることがうれしいんです。なぜなら、将来に楽しみがまだあるってことですからね」
取材中も、相手を楽しませるという気持ちを忘れない振る舞いを見せていた。まさに“スター”ミッチーがそこにはいた。オンオフの切り替えを大切にすることで、その輝きにメリハリをつけている。
「オフの時はほぼ家から出ないです。オーラを消して地味に生きています。仕事のスイッチを入れる時は、玄関でターンを決めてから出かけるようにしています。気分を変えるんです。変身ポーズみたいなものですね」
30年前には想像だにしていない未来が待っていた。これからもミッチーで在り続けるために走り続ける。
「10代や20代の頃に思い描いていた夢はかなえてしまったんです。時々すごく寂しくなったりもしますが、今は、こうやってミッチーとしての活動をずっと続けていくことが夢になっています」
□及川光博(おいかわ・みつひろ)1969年10月24日、東京都出身。96年にシングル『モラリティー』で歌手デビュー。98年には俳優活動を始め、数々のドラマや映画に出演。4月4日からは毎年恒例のワンマンショーツアー「TAKE IT ROSY!」を全国10か所11公演開催。2026年5月29日に歌手デビュー30周年を迎え、5月30日は東京ガーデンシアターで公演を行う。5月6日には21作目となる新アルバム『TAKE IT ROSY!』をリリースする。
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