「東大よりスタンフォード」年間学費1200万円も高まる海外志向…筑波の進学校、注目の指導法
東大合格者は1人。一方で、昨年度は海外の名門大学に約25人が進学した。プリンストン大、UCバークレー、トロント大、メルボルン大……。そんな世界トップクラスの大学への合格・進学実績を誇る学校が、茨城・つくば市にある茗渓学園中学校・高等学校だ。海外大学への進学者は卒業生の10%弱で、日本の高校ではトップレベルを誇る。その躍進の裏側を、同校でIB/ケンブリッジコースディレクターを務める清沢健二さんに聞いた。

東大よりスタンフォードを目指す 海外大に有数の成果
東大合格者は1人。一方で、昨年度は海外の名門大学に約25人が進学した。プリンストン大、UCバークレー、トロント大、メルボルン大……。そんな世界トップクラスの大学への合格・進学実績を誇る学校が、茨城・つくば市にある茗渓学園中学校・高等学校だ。海外大学への進学者は卒業生の10%弱で、日本の高校ではトップレベルを誇る。その躍進の裏側を、同校でIB/ケンブリッジコースディレクターを務める清沢健二さんに聞いた。(取材・文=水沼一夫)
まず、他校との大きな違いとして清沢さんが強調したのが、実績の見せ方だ。
「本校は合格実績だけでなく、実際に進学した実績を公表しています。海外大学への実進学数において、国内ではトップクラスを走っていると自負しています」
海外大は合格しても、実際には進学しないケースがある。茗渓学園では、双方の数字を実績として公表。進学者数では、例年20~30人を輩出し、日本の高校では、有数の成果を誇っている。
県内有数の私立難関校で、国内の合格実績も堅調だ。昨年度は、地元の筑波大に25人(全国4位)、東京科学大3人、北海道大6人、東北大3人などが合格。医学部医学科の合格者も19人を数える。ただ、かつては複数いた東大合格者が近年は1人程度にとどまるようになった背景には、明確な理由がある。
「その分、スタンフォードやコロンビアといった海外トップ校へ流れているんです」
いわば、“東大ではなく世界を目指す学校”という。
海外進学が急増した最大の要因が、2016年に国際バカロレア(IB)認定校になったことだ。IBは世界共通のカリキュラムで、日本の学校に在籍しながら、世界標準の教育を受けられる。高校課程のディプロマ・プログラム(DP)コースは、16歳から19歳が対象で、2年のカリキュラム履修を経て、海外大学や国内難関大学への進学を目指す。茨城県内でIBDPコースを実施しているのは、インターナショナルスクール2校と他私学1校、そして茗渓学園の計4校のみだ。
IB認定校は帰国生向けで授業はすべて英語のイメージがあるかもしれない。
ただ、同校のIBDPコースは、日本語と英語の両方で履修できる「日本語DLDP(デュアルランゲージ・ディプロマ・プログラム)」を導入している。
選択課目は「言語と文学」「言語習得」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6つで、最大4科目まで日本語での授業が認められている。帰国生だけでなく、海外経験のない“純ジャパ”の生徒も挑戦でき、現在のコース在籍者のうち2?3割は海外経験のない生徒だという。
IBDPの最終試験は45点満点で評価され、40点以上を取ると世界のトップレベルの大学からも高く評価される。高得点者には大学側から学費免除の奨学金が提示されることもあり、海外大学に進学する同校生の約半数が、何らかの給付型奨学金を得て旅立っていく。
奨学金の充実ぶりも際立っている。ファーストリテイリングの柳井正会長が設立した柳井正財団の奨学金は、年間最大11万5000ドル(約1838万円)が支給される名誉ある制度だが、過去3年で4人の奨学生を輩出。日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度でも、今年度は茨城県全体の合格者5人のうち4人が同校の卒業生だった。
「単に海外に行くのではなく、公共性の高い奨学金を得て進学しているのが本校の特徴」と清沢さんは語る。

年間1200万円の学費…大学選びも戦略的に
ちなみに、英語力について、IBDPコースではTOEFL iBTなどの英語資格の取得はマストではないが、多くの生徒が受験し、例えばTOEFL iBTでは120点満点中100点を超える生徒も少なくないという。
海外への関心が高まる中、IBDPコースの人気は年々上昇している。導入当初13人だったクラスは、今年の卒業生で33人、現高1生では61人まで拡大した。来年度からは中学段階でも「ケンブリッジインターナショナルクラス」を新設し、ケンブリッジ国際教育カリキュラムを導入する予定だ。中高6年間を通じた国際教育の一貫体制が整う。
こうした環境が根付く背景には、つくば市という地域性がある。筑波研究学園都市として発展してきたこの街には、海外の大学で学位を取得した研究者が多く住んでいる。清沢さんによると、保護者自身が海外教育の価値を熟知しており、子どもの海外進学に対する理解と教育への投資意欲が高い。
また、同校は帰国生の受け入れにも長い歴史がある。世界各国のインターナショナルスクールのグループ、UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)への派遣実績が累計50人以上あるなど、IB教育との親和性はもともと高かった。
円安の影響でアメリカの私立大学の学費は年間1200万円を超えることもあり、海外進学のハードルは上がっているのも事実だ。
それでも奨学金の活用や、比較的学費の安いイギリス(ノッティンガム大)やオーストラリアの大学(モナッシュ大)のマレーシア校を選ぶなど、戦略的な選択をする生徒も増えている。「若者の海外離れ」が指摘される時代にあって、茗渓学園では逆に海外志向が高まり続けている。
「海外大学の良さは、世界ランキングに直結するような研究力や資金力の強さにあります。例えば自然科学系の研究者を目指す場合、英語で論文を書き、世界と戦うのが当たり前の世界です。最初から海外に行くことは、トップの研究者になろうと思うのであれば極めて自然な流れと言えます。また、語学力だけでなく世界で通用する学位を持つことは、将来グローバルに活躍する上での大きな武器になります」
東大よりスタンフォードを目指す生徒が育つ学校。その姿は、日本の大学受験の常識を変えつつある。
あなたの“気になる”を教えてください