潮崎に尊敬の眼差しを送り、余韻にひたる清宮の前に、中嶋が現れた。ダウンした潮崎の顔を覗き込んだ中嶋は「おいおい、どうした。チャンピオン？　まあ、しょうがない。出戻りチャンピオンだからな」と、何とも冷たい笑みを浮かべた。

　これには清宮が激怒。中嶋の胸板を突き飛ばした。中嶋は「次はお前か？　お前のヒーローごっこは、10・11大阪大会でおしまいだ」と、あくまで上から目線で通告すると、引き揚げていった。

　怒りの収まらない清宮は「おい、中嶋。金剛に入って何がしたいかわからないけど、軽々しく出戻りなんて言うな」と潮崎を思いやった。

　そのうえで「N-1は本当に権威がある戦いで、過酷なリーグ戦と、身に染みています。N-1 VICTORYを、どこの団体にも負けない戦いにします。ノアのヘビー級がナンバー1だということを、証明します」と、ファンに誓った。

　今年は、新日本プロレスの「G1 CLIMAX」、全日本プロレスの「チャンピオン・カーニバル(CC)」が同時開催。清宮としても、ノア勢としても「負けたくない」という思いが強い。

　全日本のCCは10・5後楽園ホール大会で、ゼウスと宮原健斗が決勝戦を争う。新日本・G1は中盤戦に突入している。「ノアの宝」清宮が、「悪彦」と化した中嶋に制裁を加え「N-1」を勝ち取るか。それとも……。

　NOAHの行く末だけではなく、日本プロレス界の勢力図をも左右する大一番を見逃せない。