3億返済もメド 実業家レスラーが展開する驚きの多角化戦略を直撃

豊かな国際経験 レディーファーストが信条

 今は難しい海外進出プランの再構築にも取り組んでいる。これまでにイギリス、ウェールズ、イタリア、ポルトガルなど欧州各国、韓国、インドネシア、マレーシア、シンガポールなどアジア諸国で大会を開催してきた。プロレス新興国での興行には、思いもつかないような問題が立ちふさがってくるが、今こそ、ルート開拓、人脈構築にじっくりと向かい合える。

「上が変わってしまうと、すべて一から出直し、なんて当たり前。でも、だからこそ、うまくいったときの喜びも大きい」と、あくまで前向きだ。

 ありがちなどんぶり勘定ではなく、ち密な計画に沿って、ものごとを遂行できるタイプの崔。社会情勢、経済など世間全般に広く目を向け、冷静に分析する。時に辛らつな言葉も飛び出すが、と言っても、決して冷たい人間ではない。義理人情に厚く、世話になった先輩への恩は忘れず、後輩の面倒もよく見ている。紳士の国・イギリスで学んだマナーも良く、レディーファーストもさりげなくできる。

「ランズエンド」とはイギリス南西部の果てにある岬。15歳の時に初めて訪れた時に、感銘を受けたという。「地の果てからの新たな航海」に漕ぎだした。「闘う実業家ではなく、あくまでプロレスラーです」と力説し、現在、主戦場としている全日本プロレスのタイトル奪取を目論んでいる。

「崔選手の蹴りは一番痛い」と、いろいろな相手と対戦してきたベテラン選手たちから、よく聞く言葉だ。コロナも社会の偏見も、全部蹴り飛ばすという気概を持って蹴っているのかも知れない。

「嫉妬からか、いろいろ言われることも多い。でも気にしない。言わせとけという感じ」と豪快に笑い飛ばす。崔は今日も、プロレスそしてプロレスラーのために、リングの内と外で踏ん張っている。

次のページへ (3/3) 【画像】崔領二の実際の写真
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