3億返済もメド 実業家レスラーが展開する驚きの多角化戦略を直撃

「RIZIN.24」(9月27日、さいたまスーパーアリーナ)に、ディラン・ジェイムスを「プロレス界からの刺客」として送り込む崔領二。元十両・貴ノ富士ことスダリオ剛と激突するジェイムスと、すでに猛特訓を始めている。

プロレスへの熱い思いを明かす崔領二【撮影:柴田惣一】
プロレスへの熱い思いを明かす崔領二【撮影:柴田惣一】

ホテル業、鉄鋼業、スポーツマネジメン業に進出

「RIZIN.24」(9月27日、さいたまスーパーアリーナ)に、ディラン・ジェイムスを「プロレス界からの刺客」として送り込む崔領二。元十両・貴ノ富士ことスダリオ剛と激突するジェイムスと、すでに猛特訓を始めている。

 RIZIN待望のヘビー級対決への期待が高まるが、崔の狙いはプロレスそしてプロレスラーの地位向上にある。そのために、さまざまな取り組みをしている。プロレス団体「ランズエンド」のエース兼代表としての活動は、実はランズエンドグループの一部門に過ぎない。「実業家レスラー」として、いくつも事業を手掛けている。

 レスラーと事業と言えば、なかなか成功例も少ない。その中で、崔は独自のシステムで頑張っている。

 2016年、投資家から3億円を提供された。本部のある大阪に「ランズエンド・マンション」を購入し、シェアハウスとして活用。ホテル業を展開している。リングや金網を制作する鉄鋼業も手掛け、世界各国に輸出した。世界のメジャースポーツを舞台にスポーツマネジメント業にも進出。日本人選手のサポートをしている。金融業も始めた。

「プロレスへの偏見、プロレスラーへの視線……応援してくれる人たちもいるけど、まだまだ世間の目は厳しい」と崔は分析する。

 イギリス留学し、世界中から集まってきた留学生と交流し、ワールドワイドに視野を広げてきた崔にしてみれば、プロレス界の現状は歯がゆいのかも知れない。

 当初は15年後の31年に3億円を返すプランだったが、9年後の2025年に返還できるメドが立ったため、さらに3億円の追加提供を受けられるようになった。「運営は大変なことも多い。なかなか思い通りにいかないけど、何とかやっている」と飛び回る日々だ。じっとしていることは片時もないほどパワフルに動き回っている。もちろんトレーニングも欠かさず、常にベストなコンディションを保っている。

 コロナ禍も正直、痛手となった。予定していた30試合ほどが中止、延期となり、2、3千万円の損失をこうむったという。ただし、ピンチはチャンス。無観客試合を配信したり、観客数を絞り込んだ興行などで、さまざまな工夫を凝らしている。

 時間がたっぷりできたのもありがたいこと。体のメンテナンスはもちろん、新たなトレーニング方法を取り入れるなど、日常ではできないことにチャレンジしている。

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