元女流棋士・林葉直子が経験から危惧する天才・藤井聡太2冠の行く手を阻むもの

天才の先輩・羽生善治九段に結婚相手のアドバイスを…

 藤井2冠の前の将棋史に残る天才といえば羽生善治クン(49)。羽生クンは冷静な人で、そのあたりの付き合いもほどほどにして将棋を追究してきたから、アラフィフになった今もトップ棋士として活躍できるんだと思います。藤井クンが親しくする先輩として、羽生クンは理想的です。

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 羽生クンは夜遅くまで引っ張り回す人じゃないし、天才同士理解し合える部分もあるでしょう。良い結婚相手の選び方も教えてもらったらいいんじゃないかしら(笑)。トップ棋士はお金を持っているから、それ目当ての女性がワンサカ寄ってきます。自分を成長させてくれる人と結婚することも、長く活躍できる秘訣でしょうね。

 将棋の棋士は運動不足も注意したいところ。若いときはいいですが、年齢が上がると足腰が弱くなったり膝が痛くなったりして、正座するのがつらくなります。大山康晴先生(故人)や米長邦雄先生(故人)はゴルフをやっていらしたけど、遠くのグリーンを見ることができるのも、普段、パソコンや将棋盤ばかり見ている棋士にはいいと思います。

周りは藤井クンをあまり変な道へ誘惑しないでほしい

 将棋って頭を駆使する日本の伝統文化のゲーム。プロの世界は摩訶不思議ですよ。勝負の世界なのに、勝った方も気を遣い、負けた方も気を遣うんです。私は、現役時代、女流王将というタイトルを持ち続け、10年連続保持を達成できたとき、ついほほ笑みたくなりました。でも、プロは勝っても誰も「わーい」とか言わない。だから、私も心の中でほほ笑んだだけでした。

 藤井クンも先日、王位のタイトルを奪ったときはうれしかっただろうな。記者会見後はホッとしたと思います。私の読みでは、藤井クンはホテルの部屋に戻った後、そのタイトル奪取した将棋の封じ手あたりをまた考えていたと思う。「あんまりいい手じゃなかったか?」とか。そんなふうに純粋に、まっすぐに将棋に向かっているように見えます。だから、周りには藤井クンをあんまり変な道へ誘惑しないで、とお願いしたいかな。

 将棋界からすっかり離れていた私も藤井クンのおかげでまた将棋を見るようになり、将棋好きの人に請われ久しぶりに指導対局も行いました。“ちょっと将棋好きのおばさん”に逆戻りした気分です。

 勝負の世界は孤独。でも、藤井クンはそんなこと気にもしそうにない。3冠目は周囲の誘惑の手が伸びないうちにぜひ。近々だと思いますけどね。

※文中の敬称は林葉直子さん使用のママです。

□林葉直子(はやしば・なおこ)1968年1月24日、福岡市生まれ。小学校6年生で女流アマ名人戦に優勝し“福岡の天才少女”と一躍注目され、79年、日本将棋連盟のプロ棋士養成機関・新進棋士奨励会入会。女性では特例をのぞくと史上初だった。翌80年、プロ入り。82年、史上最年少の14歳3か月で女流王将に就き、91年まで10連覇し“クイーン王将”の称号を贈られた。強さと美貌を兼ね備え、作家としても才能を開花させたが94年、失踪騒動を起こし翌95年退会。その後もヘアヌード写真集出版や不倫騒動、自己破産、末期の肝硬変発症と波瀾万丈の人生をたどったが、現在は帰郷し落ち着いて静養している。

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