ゲッティイメージズがeスポーツ“報道写真”に本格参戦…追求するのは「臨場感」
F1フォトグラファーでゲーム内写真に取り組むクライブ・ローズ氏にメールインタビュー
ENCOUNT編集部は、F1レースの取材経験が豊富で、「グランツーリスモ」のゲーム内撮影にも取り組んでいる「ゲッティイメージズ」のF1フォトグラファー、クライブ・ローズ氏にメールインタビューを行い、バーチャル世界での撮影手法や今後の展望を聞いた。
――ローズさんのF1の撮影歴や、バーチャル写真への関わりについてお教えください。
「私は1990年代半ばからF1の撮影を始めました。常にテクノロジーやコンピューター上でのレースの撮影に対して熱意はありましたが、当時の技術には限界がありました。2000年代半ばまではF1のみを取材していました。その後、写真のインスピレーションを得るためにF1以外の分野にも目を向けるようになりました。その間にも技術の進歩により、ゲームは世代を超え、グラフィックも進化し、04~05年にかけて『グランツーリスモ4』にゲーム内カメラモードが搭載されました。これが私の興味を再度かき立て、現実世界の知識をどうやってバーチャル空間で生かし、面白い写真を作ることができるのかと考えるようになりました。そして17年、『グランツーリスモ・スポーツ』が発売されたことで、何年も待った末に、ゲーム自体が本物の生命体のように見えるようになり、リアルな写真を作ることができるようになったのだと思います」
――「ポリフォニー・デジタル」社が開発したゲーム内撮影の技術についてです。「ゲームに入っていく」と言われるキャプチャー撮影の仕組みについてお教えください。
「『グランツーリスモ』に関しては、ゲーム内で完全に機能するカメラシステムを組み込んだことで、シャッタースピードや絞り、フィルターのオプションをコントロールしながら、現実の生活と同じように撮影することができるようになりました。私は、世界中のレーストラックから最高の写真を作成するための深い知識を、ゲーム内カメラを使用してビデオゲームに応用することで、バーチャルとリアルという2つの世界のギャップを埋め、シミュレートされたレースの美しさと爽快感をより多くの人に知ってもらうことができました。
障壁がなく、何でも可能なゲームの世界では、現実のレースと同じように光を使うことができるだけでなく、これまで不可能だった場所でのあらゆる角度からのアクセスが可能になりました。『プレイステーション4(PS4)』専用のユニットを使ってゲーム内を自由に動き回り、自分の位置を決めることができるので、創造的な自由を満喫しています。このように“eスポーツ=画面上”、というのが一般的な認識のなかで、レースをどうやって視聴者に見せ、届けるのか。このことは、ゲームに参加する大きなモチベーションになりました」