草彅剛、映画主演で香取慎吾に感謝したワケ 時代劇で新境地「生まれてきた時代を間違えちゃった」

草彅剛(49)が時代劇『碁盤斬り』(5月17日公開)に主演した。古典落語の演目「柳田格之進」を基に、冤罪事件によって娘と引き裂かれた男が武士の誇りをかけて復讐する物語。草彅は「僕の作品の中で一番かっこいいんじゃないかな」と自信を見せた。

インタビューに応じた草彅剛【写真:矢口亨】
インタビューに応じた草彅剛【写真:矢口亨】

時代劇『碁盤斬り』で浪人・柳田格之進を熱演

 草彅剛(49)が時代劇『碁盤斬り』(5月17日公開)に主演した。古典落語の演目「柳田格之進」を基に、冤罪事件によって娘と引き裂かれた男が武士の誇りをかけて復讐する物語。草彅は「僕の作品の中で一番かっこいいんじゃないかな」と自信を見せた。(取材・文=平辻哲也)

『碁盤斬り』は古典落語を原作に、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も失い、故郷の彦根藩を追われた囲碁の名手の浪人・柳田格之進(草彅)が冤罪事件の真相を知らされ、娘のお絹(清原果耶)と復讐を決意していく物語。白石和彌監督の初の時代劇で、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼が共演した。

「最初に脚本を読んだ感想は?」と聞くと、「あんまり読んでないですね(笑)」。いきなり草彅節が全開だ。

「白石監督と一緒にできることの楽しさの方が勝ってしまって、これは絶対に面白くなるんじゃないかと思いました。他の作品もちゃんと見ていたし、『凪待ち』(2019年)で一緒だった(香取)慎吾ちゃんから色々と聞いていたから。人見知りの慎吾ちゃんがすごく心開いていたし、僕とは同い年で、そういう監督さんも初めてだった。今まで見てきたもの、感じてきたものが近いから、早い段階で友情を築き上げられた。本当に慎吾ちゃんのおかげ。『凪待ち』のおかげで、こっちにもいい風が吹いてきた」

 ドラマではフジテレビ『太閤記 サルと呼ばれた男』『徳川綱吉 イヌと呼ばれた男』、NHK大河ドラマ『新選組!』など時代劇の経験はあるが、映画では初めて。しかも、長い伝統を持つ京都撮影所での撮影となった。

「準備に2時間ぐらいかかるんですよ。これは文句じゃないですよ(笑)。これは事実を述べています。真っ暗な5時に起きて、大きなスタジオに入ると、また真っ暗。それで終わると、夜。照明部など技術の方々は、準備がすごい丁寧なんです。『何でこんなに時間かかるんだろう~?』って思ったくらい。ただ、プロのレベルの話だから、口出しは無用だなと思っていました」

 かつらに衣装、口ひげも大変だった。

「これが、身体的にすごいストレスがかかるんです。1日長時間、口ヒゲをつけるんですけど、花粉症なので、鼻水が出てくる。拭かないといけないけど、チクチクするし、拷問ですよね」

 ただ、その苦労も完成作を見て、報われた思いだった。

「ワンカットワンカットがすごい。これは中川君の言葉だけど、職人の皆さんの力が結集して画ができているって。僕も、真似して使わせてもらおうと思っています(笑)。一番かっこいいんじゃないかな。生まれてきた時代を間違えちゃったなと思った。江戸時代に生まれたら、もっと人気が出たんじゃないかな。あんなに笠が似合う人いないでしょ。でも、演じている時は、分からなかった」

 格之進は、江戸の貧乏長屋で娘のお絹とふたり暮らし。実直な性格で、身の潔白を晴らすためには、切腹することも辞さない。囲碁でも嘘偽りない勝負を心がけている人物だ。

「こだわっちゃって、面倒くさい男だなと思いました(笑)。あんなかわいい娘を残して切腹とかするなんて。めちゃめちゃイライラしていました。それとは相反して、譲れない気持ちとか、古き良きものの中にある魂みたいなものは、自分がそう思わないと、できない。監督も、今忘れかけているような気持ちを大事にされていたので、僕としてもやりきりました」

殺陣や囲碁の所作など撮影の裏側を語った【写真:矢口亨】
殺陣や囲碁の所作など撮影の裏側を語った【写真:矢口亨】

見せ場の殺陣は「すごく大変だった」

 碁石を持って、指す所作には雰囲気もあるが、囲碁は「ルールもまったく知らない」というから面白い。

「囲碁の監修の先生が、色々な事を教えてくださるので、それから逃げるのが大変でした(笑)。ルールを教えてくださるのですが、『置くところだけでいいです』と言ったら、悲しそうな顔をされるんです。遠いところから来てくださっているのに、ちょっと申し訳ないなと思っていました」

 そんな時。救ってくれたのが中川と清原だった。

「2人が囲碁に興味を持って、空き時間もやってくれたので、先生の顔もちょっとほころんできました(笑)」

 碁石を置く時の手の返しは練習した。

「囲碁を知っている人も『剛君、なかなかやるな』と思ってくれるんじゃないかな。ただ置くだけじゃなく、1回くるって返して、パチッと置いているんです。これも、僕のスタンドイン(撮影の代理役)をやってくれた女性が練習しているのを見て、オレもやらないとヤバいと思ったんです。繊細さも出たし、(相手役の)國村さんとのコントラストも出たので、非常に良かったなと思っています」

 撮影は春先とはいえ、まだ寒い時期だったが、共演者とストーブを囲んで語らったのが思い出だという。

「久々に小泉さんと一緒になって、若い頃の思い出話もしました。チラッと見たら、お美しくて、ドキドキしちゃった。こんなんじゃ、芝居がぶれてしまうと思うほど。僕にとってはスペシャルな時間でした。京都に詳しい國村さんはいいお店を紹介してくれたし、中川君と清原さんとも楽しかった。特別に何かご褒美いただいちゃった気持ちになりました。一つだけ残念だったのは花粉症だったことですね」

 斎藤工演じる浪人と決着をつけるクライマックスでは殺陣も披露する。

「最初は桜が咲く水辺で囲碁をさしたり、お祭りのシーンもあって楽しいんだけど、途中から優しさだけでは終わらないものが見えてくる。その白石さんの世界観が出てくる中、僕の気持ちも乗ってきました。殺陣では囲碁の精神的な世界とは別の激しさが視覚的に伝わる。工君とは築き上げてきたものがあったので、いろんな思いを込めながら、演じました。ただ、すごく大変だった。3日ぐらいかかったかな」。リップサービス満載で撮影の充実ぶりをうかがわせた。

□草彅剛(くさなぎ・つよし)1974年7月9日生まれ。1991年CDデビュー。2017年に「新しい地図」を立ち上げ、その後自身主演の『光へ、航る』(太田光監督)を収めたオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』(18)は2週間限定公開の中、28万人以上を動員し、大ヒット。また、『アルトゥロ・ウイの興隆』(作:ベルトルト・ブレヒト/演出:白井晃/19、21~22年に再演)、『シラの恋文』(作:北村想/演出:寺十吾/23~24年)など舞台にも出演。その他出演作に、西加奈子原作の『まく子』(19/鶴岡慧子監督)、『台風家族』(19/市井昌秀監督)、第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞に輝いた『ミッドナイトスワン』(20/内田英治監督)、『サバカン SABAKAN』(22/金沢知樹監督)など。

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