小出恵介、1か月で舞台3作品をはしご出演 支えはNYで働くトリリンガル妻「離れているのは寂しい」

アメリカと日本の2拠点生活から、今年日本での活動を本格的に再開した俳優の小出恵介(40)が5月から6月にかけては主演を含む舞台3作品をはしごする。「今年は勝負をかけたい」と意気込む小出が、舞台だけでなく、プライベートについても語った。

インタビューに応じた小出恵介【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた小出恵介【写真:荒川祐史】

不惑を迎えた小出恵介インタビュー「今年は勝負をかけたい」

 アメリカと日本の2拠点生活から、今年日本での活動を本格的に再開した俳優の小出恵介(40)が5月から6月にかけては主演を含む舞台3作品をはしごする。「今年は勝負をかけたい」と意気込む小出が、舞台だけでなく、プライベートについても語った。(取材・文=平辻哲也)

 2003年にデビュー。映画『パッチギ!』で頭角を現し、ドラマ『ごくせん』『ROOKIES』、主演映画『風が強く吹いている』『愚行録』などの代表作を持つ小出。これまで蜷川幸雄、野田秀樹、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、岩松了演出の舞台にも積極的に出演してきたが、約1か月間で舞台3作品出演は初経験だ。

「大変ありがたいことに同時期に幾つかのオファーを頂きました。舞台作品を縫って進める事は初めての経験となりますが、日本で活動を再開させてもらう中で、取り組み方、演じさせてもらう役柄も含めて今までとは違う挑戦をしたいと思っておりました。20代の頃に関わらせて頂いたたくさんの演出家さんや共演者の皆様がとても経験豊かで重鎮の方も多かったので、たくさんのことを学ばせていただきました。今はそこで学ばせて頂いたことを、ぜひ還元していければという思いがあります」

 音楽劇『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』(5月2日~4日、北沢タウンホール)、『赤いハートと蒼い月』(5月17日~19日、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみメインホール)、主演舞台『ジャック・モーメント』(6月5日~9日、六行会ホール)と続く。

「『瀧廉太郎―』『赤いハート―』は音楽劇です。僕の役は2つとも歌わないのですが、いつかミュージカルにも挑戦したいと思っていたので、そのきっかけになれば。『赤いハート』は中国が舞台の、日本人の語学学校の先生と中国人の国際交流の話で、テーマ性にも共感しました」

 トリとなる主演作『ジャック・モーメント』は1960年代のシカゴを舞台にしたギャングの話だ。

「主演ということで、やりがいを感じています。僕の役ジャックは一介の公認会計士。会ったことがない母親が亡くなり、その遺産を受け継ぐのですが、ギャングの汚い金で、抗争に巻き込まれていく。オリジナル脚本ですが、相当のアメリカ映画好きかアメリカに住んでいた方じゃないと書けないようなディテールが書き込まれていて、すごく面白かったです。自分のアメリカでの経験が直接的に活きるかなと期待しています」

 2月20日には40歳の誕生日、不惑を迎えた。

「惑わずと言われる年齢ですが、そんな立派な感覚はないです。ブランクなく、ずっと続けていたら、自信に満ち溢れて、貫禄も出ていたと思うんですが、紆余曲折を経ているので。復帰以降も迷いはずっとありました。どうなるかも分からないですし、ご縁を少しずつ重ねてきて、環境も変わって、馴染んできたという感じです」と正直な思いを吐露する。

 その支えとなっているのが妻の存在だ。長年ニューヨークで働く一般女性で、昨年1月に現地で結婚し、今も働いている。

「僕の誕生日は向こうで彼女と過ごしてから日本にきました。離れているのはさみしいです。今は行ったり来たりの生活で二人の時間を埋めています。彼女は僕よりアメリカ暮らしが長く、しっかりとした女性。言葉も日本語、英語、中国語の3つが話せて、生きるたくましさもあります」

 今はMISIAらが所属する「リズメディア」の系列で俳優中心のマネジメント事務所「リスと葡萄」の看板俳優を担っている。

「最近俳優部門を立ち上げてくださり、新たに専門の部署ができたことによって、だんだんと形にもなって来たように思います。(所属俳優とは)作品で少しずつ共演することになって、一緒にご飯を食べて、意見交換をする機会も増えてきて、そういうのを感じるとうれしいです」

 日本での活動を本格始動したのには、昨年アメリカで起こった全米脚本家組合、全米俳優組合のストライキの影響も大きかった。

「実は、昨年決まっていた話があったんです。僕はシェフの役で結構大きな役だったんです。それがストライキで流れてしまって、ストライキ後に再開されることになったのですが、今度はお金が集まらなくて、できなくなってしまった。ただ、60年ぶりの大規模なストライキということだったので、仕方ない」

 2020年にはオフ・ブロードウェイの主演舞台『えんとつ町のプペル』がコロナ禍で中止になり、出演予定の米映画が流れる不運もあったが、「巡り合わせというか、様々な運の要素も含めてこのお仕事は成り立っているな、とつくづく感じる事があります」と語る。

順調な日本での活動、7月には主演映画『愛のぬくもり』公開

 ただ、日本での活動は順調だ。映画では主演作『愛のぬくもり』(監督いまおかしんじ、7月公開)も撮り終えた。

「体が入れ替わった男女の物語で、久しぶりの大人のラブストーリーです。僕の好きな作品は『愚行録』(妻と娘を殺されたエリート会社員役)ですが、大人の人間ドラマに出てみたいと思っています。昨年は戸田彬弘さん演出の舞台『ある風景』に出させていただきましたが、戸田さんは同年代の演出家で、映画『市子』(杉咲花主演)も素晴らしかった。機会があれば、映画でもお仕事をさせてもらえれば、と思っています」

 ニューヨークではバスケットボールも再開するなど体のコンディションにも気を遣っている。

「バスケはアメリカ人と一緒にやっていたんですが、みんな体が大きいので、最初は大丈夫かなと思っていました。ですが、慣れてくるとなんとかなりましたね。東京でもバスケをやってみたいと思っています。頭も体も使っていかないといけないなと実感しています」。しばらくは舞台の稽古、本番に全力投球するつもりで、もう一つの活躍の場であったテレビドラマへの出演オファーも待ち望んでいる。

□小出恵介(こいで・けいすけ)1984年2月20日、東京都出身。映画『パッチギ!』(05)で注目され、その後数々の話題作に出演。2018年10月より米ニューヨークに拠点を移し、2020年より日本での芸能活動を再開。2021年7月、ABEMA『酒癖50』で4年ぶりにドラマ復帰。2023年2月には主演映画『銀平町シネマブルース』で本格的に映画復帰を果たす。

ヘアメイク:永瀬多壱
スタイリスト:佐々木敦子

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