“きこえる子”と“きこえない親”描いた吉沢亮主演作 新キャストにろう者俳優「同じ立場だからこそ共感」
俳優の吉沢亮が主演する映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が、9月に全国公開されることが23日に発表された。併せて新キャストが発表され、ろう者で俳優の忍足亜希子、今井彰人、俳優のユースケ・サンタマリア、でんでん、烏丸せつこらの出演が明らかになった。
きこえない親をもつ子ども“コーダ”がテーマ
俳優の吉沢亮が主演する映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が、9月に全国公開されることが23日に発表された。併せて新キャストが発表され、ろう者で俳優の忍足亜希子、今井彰人、俳優のユースケ・サンタマリア、でんでん、烏丸せつこらの出演が明らかになった。
同作は、作家・五十嵐大氏の自伝的エッセイ『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』を映画化したもの。耳がきこえない、またはきこえにくい親を持つ聴音の子ども=コーダ(Children of Deaf Adults)をテーマに、実際に耳のきこえない親の元で育った五十嵐氏の軌跡を描く。監督は呉美保氏が務め、吉沢は主人公・五十嵐大を演じる。
共演の忍足と今井は、吉沢演じる大の両親役。大の母親で耳のきこえない明子を演じる忍足は、「私は五十嵐大さんの家庭とは逆の境遇で、私は生まれつききこえない子どもで、きこえる親から生まれ、きこえる世界で育ちました」と自身の環境を振り返った。「自分は何者なのか孤独感や苦悩と葛藤しながらも、きこえる世界ときこえない世界を行き来するという、同じ立場だからこそ、とても共感しました」と役柄について語り、「コーダの世界をひとりでも多く知ってもらえる良い機会になれば見方も変わると思います」とコメントしている。
また公開された超特報映像では、吉沢演じる大が宮城から上京するために列車を待つ姿が。大は“きこえない世界”で生きる母の後ろ姿を見つめ、列車に乗って新緑を抜け、新しい世界へと出発していく。
原作の五十嵐氏は、「ふたつの世界に挟まれ、まるで揺蕩(たゆた)うように生きるコーダについて説明するのは、いつだって難しい。だからこそ、理解してもらうことを諦めていた時期もありました」と苦悩を明かし、「でも、社会は少しずつ前進していて、ようやく、コーダが抱える葛藤にも目が向けられるようになりました。子どもの頃の自分がいまの状況を目にしたら、『世の中は捨てたもんじゃないな』と思うかもしれません」とコメント。「完成した映画は、想像を遥かに超えるものでした。コーダの苦しみが描かれつつも、そこにあるのは普遍的な親子の愛情です。きこえない母ときこえる息子がどんな愛情を紡いでいくのか、ひとりでも多くの方に観ていただけることを願っています」と語っている。