飯島真理、米移住決断の理由 予期せぬ離婚…シングルマザーで育てた双子の息子

シンガー・ソングライターの飯島真理が、デビュー40周年を迎えた。1982年、TBS系アニメ『超時空要塞マクロス』のヒロイン役を演じたことでブレーク。歌唱した劇場版の主題歌『愛・おぼえていますか』が大ヒット。80年代の終わりには、「アメリカで成功する」と決意して海を渡った。彼女の半生を紹介するインタビューの「後編」は、米国での双子の子育てなどプライベートに迫った。

アメリカでの私生活について語った飯島真理【写真:舛元清香】
アメリカでの私生活について語った飯島真理【写真:舛元清香】

南米でも歌手活動「今でも『ミンメイ!』と呼ばれる」

 シンガー・ソングライターの飯島真理が、デビュー40周年を迎えた。1982年、TBS系アニメ『超時空要塞マクロス』のヒロイン役を演じたことでブレーク。歌唱した劇場版の主題歌『愛・おぼえていますか』が大ヒット。80年代の終わりには、「アメリカで成功する」と決意して海を渡った。彼女の半生を紹介するインタビューの「後編」は、米国での双子の子育てなどプライベートに迫った。(取材・構成=福嶋剛)

 今回はロサンゼルスでの生活についてお話したいと思います。「前編」でも話しましたが、6枚目のアルバム『Miss Lemon』(1988年)をロサンゼルスで制作したときに「アメリカで成功したい」という野心を持ち始めました。成功できれば、「マクロスの飯島真理」ではなく「シンガー・ソングライターの飯島真理」として認めてもらえるだろうと思った部分も大きかったです。同じタイミングで、『Miss Lemon』から制作に携わっていた音楽プロデューサー(ジェームス・ステューダー氏)と結婚しました(2001年に離婚)。それを機にロサンゼルスでの生活が始まりました。

 とはいえ、アメリカでレコード契約を結ぶことは容易ではありません。一流ミュージシャンでさえ、レコードディール(契約)を獲得するために必死で動き回っています。そんな競争社会の中で、「誰かに紹介してもらおう」なんていう甘い世界ではないのです。

 私もピアノ1台でのライブから始めました。教会を半分にしたような小さな会場。心配でしたがお客さんの反応が良くて、やっていける自信ができました。初めは英語で歌うことに全神経を集中していたんですが、やっていくうちに英語だろうが、日本語だろうが、「相手は言語を全く気にしない」ということが分かりました。むしろ、「英語より日本語の歌を聴きたい」とリクエストされることも多くありました。

 長くなったアメリカでの活動で契約間近になったこともありましたし、今もいろんなところで歌っています。アルゼンチンやメキシコに行くと、ものすごい騒ぎで受け入れてくれます。それもマクロスがあってこそなんです。今でも「ミンメイ!」と呼ばれると、「飯島真理ですよ!」って返したくなりますが(笑)。でも、ようやく『コツコツ頑張ってきて良かった』と思えるようになりました。

 プライベートでは、双子の男の子に恵まれました。彼らも今は33歳。「私は母親としてどうだったのかな」って振り返ると、「あの時代にマインドフルネスを身につけていたら、もっと良いお母さんができたんじゃないのかな」と反省するところもあります。でも、私もアメリカで突然、結婚生活が終わるなんて予想もしていませんでした。6歳の双子を1人で育てなきゃならない状況になり、車の免許を取るところから始めましたから。それから子どもの送り迎えはもちろん、学校行事は必ず参加しました。彼らがマグネット・スクール(成績優秀な生徒を集めた公立学校)に通えるように、私ができることは全部やりました。そんな状況でも音楽は作り続けていたんですよ。

 今は2人とも自立して、素晴らしい作曲家になりました。この前、長男が「日本語の歌詞で知り合いのミュージシャンと曲を書きたいから協力して」とお願いされ、私が彼のイメージ通りに日本語の歌詞をつけました。その動画がYouTubeにアップされましたが、私の名前がちゃんとクレジットされていました。うれしかったです。

 まだ2人とも独身なんです。両親を見てきたから、恋愛とか子育ては大変なことだと思っているのかも……。もし、そうだとしたらちょっと責任を感じてしまいます。子どもたちとの関係は、彼らが大人になってからの方が難しい。そう、感じることも多いです。

飯島真理さんは筋金入りのドジャースファン【写真:舛元清香】
飯島真理さんは筋金入りのドジャースファン【写真:舛元清香】

ドジャースの名物アナだったヴィン・スカリーさんとも交流

 話は変わり、普段の私の楽しみを紹介します。それはMLB観戦です。地元のロサンゼルス・ドジャースをずっと応援していて、スタジアムにもよく足を運びます。96年、野茂英雄さんがドジャースで投げていたときには、何回かニッポン放送でゲストコメンテーターをしました。ドジャースの名物アナウンサーだったヴィン・スカリーさんとも知り合いになり、彼に捧げる曲を書かせてもらったんです。今回、リリースした40周年盤『All Time Best Album』にも収録した『So Beautiful』という曲です。当時、本人もすごく気に入ってくれていましたが、昨年、お亡くなりになりました。とっても悲しいです。

 最近は大谷翔平選手について聞かれることが多いですね。ただ、エンゼルスの大谷さんがドジャー・スタジアムでプレーしたとしても、私たち筋金入りのドジャースファンは、近くで写真を撮ったりはしないんです。いつも心はベンチにありますから(笑)。個人的にはフレディ・フリーマン選手が来てくれたときに大喜びしました。今は今年デビューで活躍しているジェームズ・アウトマン選手に夢中です(笑)。

 振り返ると、私はいつも闘ってきました。そして、これからも自分らしく、正直に生きることしかできないと思います。海外のマクロスファンからは「I Love Your Voice」というメッセージを多くいただいてきましたが、最近は「I Love Your Music」です。それが本当にうれしくて、これまで応援してくださったみなさんにあらためて『ありがとう!』と伝えたいです。

□飯島真理(いいじま・まり)1963年5月18日、茨城・土浦市生まれ。幼少の頃よりクラシックを学び、国立音大ピアノ科に進学。高校在学中から制作を始めたオリジナル曲のデモテープが注目され、83年、ビクターからシンガー・ソングライターとして、アルバム『ロゼ』でデビュー。坂本龍一がプロデュースした初の新人として話題となり、「学園祭の女王」と呼ばれた。82年、TBS系アニメ『超時空要塞マクロス』リン・ミンメイ役を演じていたこともあり、84年、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌『愛・おぼえていますか』を担当。オリコン最高7位記録した。89年、米ロサンゼルスに移住し、99年、自身のレーベル「marimusic」を米国で設立。

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