亀田誠治の苦渋の決断…コロナ禍で日比谷音楽祭の中止、語った「人の命が第一」の理由

昨年の日比谷音楽祭の日比谷公園大音楽堂ステージの様子(C)日比谷音楽祭実行委員会
昨年の日比谷音楽祭の日比谷公園大音楽堂ステージの様子(C)日比谷音楽祭実行委員会

「どうポジティブに動いていくか、みんなが答えを探している」

――なぜ日本の音楽界は、欧米の音楽界のようにできないのでしょうか

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「日本のアーティストは今まで、外部からサポートを受けることに対して、どこかカッコ悪いという感覚があったように思います。自分たちでCDを作って自分たちでチケットを売るのが一番という固定概念がありました。これまでの日本の中では成立していたと思うんですが、インターネットで世界中とつながるいまこの時代ではどうでしょうか。もっとも、欧米ではもともと文化を支援する、応援する『パトロン文化」があります。税制も違うし、寄付文化についても日本はまだ違うステージにあるとも思っています」

――1年をかけて入念に準備を進めてきた今年の第2回は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、開催中止となりました。中止を発表したのは、緊急事態宣言の発令翌日の4月8日。実行委員長として重い判断だったかと思います。

「シンプルに、人の命が第一です。今回の開催中止の一番の理由です。コロナの感染拡大は、予想以上の展開で進みました。日々刻々と状況が変わる中、僕が早く決断できたのは企業さん、行政のみなさんが周りにいてくれたからということもあります。特に海外とやり取りをして世界の情勢を敏感にキャッチしている企業、SDGs(持続可能な開発目標)やCSRに取り組んでいる企業などから度々、『コロナの状況、予想以上に厳しいよ』と意見を頂きました。日比谷音楽祭の実行委員会には、主要の音楽業界団体、イベンター・プロモーターの協会、プレイガイドも入っています。そういった方々の現場の悲鳴も含めて、いろいろな声を聞いていました。楽しみにしてくれている方々からも『開催するの?どうするの?』という声や、『日比谷音楽祭が先に中止発表しちゃったら、同時期に開催されるほかのイベントにも影響を及ぼしてしまうのではないか』といった声もありました。でも、やっぱり人の命です。結果的に、早めのタイミングで中止を発表してよかったと思っています。もうひとつ大事なのが、音楽・エンタメ業界は、集まるお客様、そして出演者、スタッフを不安にさせない、心配させないこと。これは使命なんです。まずは慎重すぎるほど慎重な決断をし、そこからポジティブな未来を見せていくこと。今年は開催できなくても次に向かってシフトしています、とアナウンスすることが重要だと思ったんです。
 この事態は、100年に一度という言われ方もしていますが、こういうことに出合ってしまった中で、どれだけしっかり考えてどう次に向かっていくのか。どうポジティブに動いていくか、みんなが答えを探していると思うんです」

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