福士蒼汰、夢は日本と海外の“2拠点生活”「30代はもっと自分を鍛えていきたい」

俳優の福士蒼汰(30)がHuluオリジナル『THE HEAD』Season2(6月17日よりHuluにて独占配信)で海外ドラマに初出演した。海外進出は20代からの夢。その語学力には自信を持っていたが、一番苦労したのは、意外な場所だったと明かす。

インタビューに応じる福士蒼汰【写真:荒川祐史】
インタビューに応じる福士蒼汰【写真:荒川祐史】

留学経験なし、純日本人でも「夢はかなえられた」

 俳優の福士蒼汰(30)がHuluオリジナル『THE HEAD』Season2(6月17日よりHuluにて独占配信)で海外ドラマに初出演した。海外進出は20代からの夢。その語学力には自信を持っていたが、一番苦労したのは、意外な場所だったと明かす。(取材・文=平辻哲也)

 同ドラマは全世界90か国で放送・配信された心理サバイバル・スリラーの第2弾。山下智久が出演した前シーズンは南極の科学研究基地が舞台だったが、今回は太平洋を進む巨大な貨物船を装った秘密研究基地で、研究員の一人が首のない死体で見つかる殺人事件が発生。どこにも逃げ場のない状況で、再び心理サバイバルが始まっていく。

 福士の役はコンピューター・エンジニアのユウト・ナカムラ。技術を駆使して、ネット情報から犯人の手がかりを見つけ出すキーパーソンだ。劇中ではネイティブ顔負けの流ちょうな英語、独り言では日本語も話す。

 念願のオファーが届いたのは、昨春、劇団☆新感線 42周年興行 春公演 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』の公演中。それから、休むことなく、6月からスペインで約2か月のロケに参加した。

「舞台が5月28日に大千秋楽を迎えたのですが、5月30日には出発しないといけなかったので、準備が大変でした。アクティングコーチに発音やニュアンスを教えていただき、1個1個のセリフと向き合って、準備を整えてからスペインに行きました」

 英語は中学時代から好きだった。教師からは発音を褒められ、さらに好きになった。しかし、20歳のときに米国人と会話した際に、思ったように話せなかったことから、発音を中心に、スピーキングとリスニングを磨いてきた。

 アクティングコーチには、大きな海外作品へのキャスティングを務めた経験がある方に依頼し、実践的な指導を受けた。「心強かったです。本当にいろんな経験をされている方だったので、すごく勉強になりました。今まで教わったことがなかった実践的な指導をしてくださいました」と感謝する。

 撮影は日本では珍しい2班体制で、演出家からはリアルな演技が求められる中、キャラクター設定などにもアイデアを出した。

「英語での演技は全く違うなと思いましたが、同時に自分に合っているかもしれないと感じる部分もありました。僕は普段から自然にボディーランゲージが出てしまう方だったので、そういう部分はなじむことができたように思います」と振り返る。

 コミュニケーション面はどうだったのか。

「大変でした。日本人以外の方とのコミュニケーションなので、知らずのうちに力が入ったり、緊張感もあったりして、自分の持っている英語力が100%使えない。1番大変だったのは、プライベートの場面での大人数での会話です。現場はセリフがありますが、プライベートの何気ない会話は予測しにくいので難しかったです」

将来の夢について語る福士蒼汰【写真:荒川祐史】
将来の夢について語る福士蒼汰【写真:荒川祐史】

急きょ決定した現地での記者会見「入れ込んだギャグにはみんなが笑ってくれた」

 オフの時間も多かったそうで、基本は滞在先のホテルのジムやプールでトレーニング。キャストに会うと、極力断らずに行動をともにした。

「オフの時間でも英語を上達させたいという思いで、キャストからの誘いにはできるだけイエスと答えていました。2か月目から、徐々に出演シーンも増えてきて一緒にいる時間が長くなると、だんだん慣れていきました」

 ユウトは、周囲が連続殺人の恐怖に怯える中でも、クールに対処する理論派。

「怖がる人がいたり、怒る人がいたりと、みんなが感情的になる中、ユウトは冷静。僕自身も、みんながパニックになればなるほど、冷静になる傾向があって。事件、事故、災害に遭ったときも冷静になろうと思ってしまうんです。ユウトに通ずる部分があると思います」

 そんなクールな福士も実は慌てたことがある。それは急きょ、設定された記者会見だった。

「日本でいう製作発表のようなものです。急きょ数日前に知らされて、衣装やメイクも自分で準備しなければいけなかった。日本から持ってきたジャケットに合わせて現地でシャツを買いました。キャスト数名で行う合同取材と個別のテレビ取材があったので、対応できるように、寝る間を惜しんで準備しました。自分にできることをと思って入れ込んだギャグには、みんなが笑ってくれたので良かったです(笑)。何事も準備が大事だと身をもって感じました」

 ハリウッド進出した俳優も多いが、ハーフや帰国子女でもない純日本人である自分が海外進出できたことは誇りになっている。

「20代の俳優さんたちも、努力を惜しまなければ海外に挑戦できるんだと思ってくれたら、嬉しい。日本のエンタメ業界もより豊かになるんじゃないかなと思います。今回ありがたいことに第一歩を踏み出すことができたので、第二歩、第三歩とつなげられるようにがんばっていきたい」と意気込む。

 将来の夢は日本と海外の2拠点で活動できる俳優だ。

「海外でのお仕事に挑戦していくために、30代ではもっと自分を鍛えていきたいと思います。また、日本でのお芝居もより一層がんばっていきたい。母国語でのお芝居が一番リアルな感情を伝えられるので、そういうところから学ぶこともまだたくさんあると思っています。海外作品を見ていると、日本人役をほかのアジアの方が演じていたりすることがあるのが現状です。僕自身チャンスをつかめるように、普段からの準備を大切にしたいです」。本作『THE HEAD』Season2はその大きな第一歩となった。

□福士蒼汰(ふくし・そうた)1993年5月30日、東京都出身。2011年、ドラマ『美咲ナンバーワン!!』で俳優デビューし、同年『仮面ライダーフォーゼ』で主演に抜てきされる。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』(13)でヒロイン(のん)の相手役を務めて注目を集める。最近ではNHK『大奥』での万里小路有功役が話題となった。23年には主演を務めるテレビ東京系『弁護士ソドム』が放送された。身長183センチ、血液型0型。

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