レーシングスポーツブランド『ARTA（読み方：エーアールティーエー）』が、ブランド初のコンセプトストアを立ち上げる。5月12日に東京・江東区で開店する『ARTA MECHANICS & INSPIRATIONS』だ。オリジナルのカスタムカー展示販売だけでなく、スポーティーでエレガントな世界観を醸すファッションも取り扱う。さらに、定期的にスペシャルカーを展示。第1弾はF1車両のレジェンドカー、スーパーアグリ・SA07で、伝説の1台を間近で見ることができる。ARTAがチャレンジする実店舗展開に注目が集まりそうだ。

　株式会社オートバックスセブンがスポンサードしているARTA。2018年にレーシングスポーツブランドをコンセプトに掲げ、ブランドロゴやサーキットブース、レースクイーンARTA GALSのイメージを刷新。20年にはスイスの高級機械式腕時計ブランドCVSTOS（クストス）が融合したハイエンドシリーズARTA CVSTOSが誕生した。また、22年1月にカスタマイズブランドARTA MECHANICSを発表し、カスタムカーLEGAVELO（リガヴェロ）を公開。23年1月には第2弾としてVIGALE（ヴィゲイル）を打ち出した。

　今回、新たにオープンする同店では、レース業界のレジェンドやドライバーと出会える非日常体験の提供や、イベント・パーティーの開催を通じて仲間が増えていく空間を展開していくことで、“インスピレーション”が受け取れる、新しいユーザー体験型施設を目指していく。

　店内では、ブランドオリジナルのカスタムカーであるLEGAVELO（ベース車両はホンダNSX）、VIGALE（ベース車両はトヨタGR86 RZ 6MT）のクールな2台を展示。また、これまでネット通販のみで販売していたエアロパーツやスポーツシートなどのこだわり抜いたパーツ類のほか、ARTA CVSTOSアパレルを中心としたアイテム、代官山蔦屋書店がプロデュースする厳選書籍を販売する。

　もう1つの特筆点である、スペシャルカー。第1弾はスーパーアグリ・SA07だ。元F1ドライバーの鈴木亜久里氏が立ち上げた、スーパーアグリF1チーム創設2年目のマシン。07年、第4戦のスペインGPで、佐藤琢磨が8位入賞し、チームに初めてポイントをもたらした歴史的な1台だ。定期的に入れ替えを行っていくといい、どんなレジェンドカーが登場するか、楽しみだ。

　ARTAのレースチームは名門として知られ、日本最大級のカーレース「SUPER GT」で今季、GT500クラスに参戦する。鈴木氏はプロデューサー・総監督を務め、土屋圭市氏がエグゼクティブ・アドバイザーの要職を担う。

　コンセプトストアを見て回った2人は、すっかりお気に入りの様子。鈴木氏は「こうして第一歩目を踏み出すことが大事。自分たちのコンセプトを、より多くの皆さんに見てもらうための出発点です。（スペシャルカー展示は）インパクトが強いんじゃないかな。本物だからね」と納得の表情を浮かべた。土屋氏は「クルマ業界から、アパレル業界に参入するというのは面白い挑戦。クルマ好きの人だけではなく、ファッション好きの人も店舗に来てくれることで、新しい人たちに向けての間口が広がると思います。クルマに興味がなくても、『どんな服があるんだろう』から、『このクルマかっこいいな』につながれば。そのきっかけ作りにもなる。常に新しいことに挑戦して、切り開いていく。ARTAも、オートバックスセブンも、新しいチャレンジに挑んでいくところが共通していると思っています」と熱く語った。

　レース界のプロ中のプロである2人。SUPER GTを戦うチームの今季の目標は。鈴木氏は「絶対にチャンピオンを取りますよ」と明言。「チャンピオンをとるために、今年このチームを作ったんですから。その要素があるチーム。レースなので、運もあるし、いろいろなこともあると思うけど、これだけいい素材が集まるのはなかなかない」と言葉に力を込めた。土屋氏は「今年のチームは、これまでの史上最強。メカニック、エンジニア、ドライバーを見ても、全てがトップレベルでそろうことはなかなかない。もちろん、1位を目指します」と、力強く語った。

　2023年シーズンのARTA GALSは、真木しおり、はらことは、沢すみれの3人が引き続き参加。新たに今井みどり、木村理恵、藤井マリーの3人が加わり、6人体制で活動する。