「RISEをK-1が追いかけてくるようなものに」 2度目の対抗戦に臨む白鳥大珠の野望

キックボクシング団体「RISE」と「K-1」の対抗戦が12日、26日に行われる。26日大会の「Cygames presents RISE ELDORADO 2023」には白鳥大珠(TEAM TEPPEN)が出場。RISEの舞台に乗り込んでくるK-1の佐々木大蔵を迎え撃つ。「もっと大きなものに」――。白鳥にとって「RISE」とはどんな存在なのか話を聞いた。

「RISE」への思いを語った白鳥大珠【写真:ENCOUNT編集部】
「RISE」への思いを語った白鳥大珠【写真:ENCOUNT編集部】

K-1の佐々木大蔵をRISEの舞台で迎え撃つ

 キックボクシング団体「RISE」と「K-1」の対抗戦が12日、26日に行われる。26日大会の「Cygames presents RISE ELDORADO 2023」には白鳥大珠(TEAM TEPPEN)が出場。RISEの舞台に乗り込んでくるK-1の佐々木大蔵を迎え撃つ。「もっと大きなものに」――。白鳥にとって「RISE」とはどんな存在なのか話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

“世紀の一戦”と言われた天心―武尊の「THE MATCH」以降、初の団体対抗戦。「RISEにK-1が乗り込んでくる形で僕は戦うので、RISEのチャンピオンにもなっている身としてはRISEの強さを見せないといけない。なめられたくない気持ちもあります」と選出された当初の心境を口にする。

 試合までの時間が迫った今、気持ちは変わった。「準備をしていると、いつもの試合という感じです」と落ち着いていた。

 昨年クリスマスの前戦はイリアス・バニス(モロッコ)との国際戦。特に気持ちに差はない。「純粋に佐々木選手が強い選手。そういう選手をきっちり倒すだけ。それが日本人であろうが、外国人だろうが関係ないですね」と口にした。

「THE MATCH 2022」では対抗戦が計11試合が行われ、RISEが6勝5敗と勝ち越した。団体の強さについて言及した。

「選手がそろっていることも強さですけど、言ってしまえば(那須川)天心がここまでRISEを大きくしてくれたのは間違いないです。いなくなって、現状維持だとどんどん下がってしまうので、上げてくれたものをどうやって大きくしていくのか。K-1って名前は大きいので、そういう団体を倒して知名度をあげていきたい」

 今大会で団体代表として2度選出されたことになる。RISEの顔として定着している白鳥の初参戦は2018年6月。約5年で変化した団体の知名度について語った。

「僕の周りでも変わってきています。少し前まではK-1かRIZINかでした。僕もRIZINに出ていたので、『RIZINの選手』って紹介されることが多くて、自分的には少し嫌でした。最近はRISEと言えば分かってもらえるので、そこは変わりつつあるのかなって。もっともっと大きくして、どの選手も胸を張って『RISEの選手だ』と言えるようにしていきたいです」

 今回の対抗戦について「RISE」の伊藤隆代表は「結果を見て今後を判断したい」と口にした。査定の意味も含めた対抗戦だが、白鳥も同じ思いだった。

「RISEの選手みんなで勝ちたいというのが1つ。そうすることによってK-1にまた火が付く。RISEという立場をもっと上げてK-1が追いかけてくるようなものにしていけばキックボクシングはもっと盛りあがると思っています。そういう点では今回は重要です」

 さらに「僕は今回出場しますけど、(白鳥の出場は)頻繁にやらなくていいと思うんですよ。他の選手にやってもらいたい。僕は今回倒して勝って、ゆくゆくは天心―武尊みたいな、『この選手とやったらどうなんだ?』という熱が生まれるような一戦をしたいですね」と力を込めた。

コロナ禍の興行を選手目線で振り返った白鳥大珠【写真:ENCOUNT編集部】
コロナ禍の興行を選手目線で振り返った白鳥大珠【写真:ENCOUNT編集部】

“声出し応援”は「記憶に残るもの」

 新型コロナウイルスも収束し始め、“声出し応援”のルールも変わりつつある。サッカーJリーグでは今月13日以降、個人の判断でマスク着用せずに声を出して応援することが可能になった。コロナ禍の興行を選手目線で振り返った。

「自分は新型コロナウイルスで無観客の状態から、声出しはNGだけど観客は50%まで入れていいとか、全部のケースを経験しているんですよ。観戦してくれるという面では、無観客だったら配信で見てもらえるし、変わらなかったかなとは思います」

「リングの中で試合をする」という点においては何も変わらない。心の部分では全く違ったようだ。

「声出しありの会場の一体感は全然違います。YA-MAN戦のときは盛り上がって、ああいうのは僕ら選手だけではなくて、見ている人たちも余韻にひたれると思うんですよ。僕も試合中に思わず声を出してしまっていたので、記憶に残るものって大事だなと思います」

 昨年11月に行われたYA-MAN戦。倒しても声を上げながら、立ち上がってくるYA-MANに、クールな印象の白鳥も呼応するかのように吠えながら戦っていた。歓声ありの現場では、打撃が当たるたびに「おー!」という歓声が聞こえる。コロナ禍に入ると、観客も遠慮がちになっていた。

「歓声があると自分自身も乗ってきます。良い打撃が入って会場が沸いてるというのが直に感じ取れるので、そういうものを見せていきたいという感情になりますよね。声援って戦う側からしてもありがたいし、大事なものです」

 白鳥が出場する試合は26日。卒業シーズンでもある。今春卒業の高校生は3年間マスク、修学旅行などが中止になるケースの学校もあり、青春の思い出がなくなってしまった学生もいる。そんなモヤモヤが残る、若者たちへエールを送った。

「学生生活の3年間って人生で1度きり。生きている中で大事な時期だと思うんですけど、僕は27歳になって今でも青春をしているなと感じています。これからをどう過ごしていくかで全然変わります」

 さらにこう続けた。

「嫌な学生生活だったなとか思わないで。だからこそ今後どう過ごしていくか考えていくともっと楽しいことって広がります。それこそ格闘技も声出し完全OKになって、昔のように盛り上がりが増えていけば、試合を見て感じ取れるものもあると思う」

「とにかく熱くしたい」。未来のビッグマッチにつながる今回の対抗戦、白鳥はどんな試合を見せるのか。

「対抗戦なので、少なからず注目度は高いと思う。その中で、そこで終わらない。今後につながるようなものを見せたいです。まずは何よりも自分の強さを、RISEの次期エースは俺しかいないよってところを見せます」

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