タイルの上に広がった長い黒髪……。暖かくなって来たし、少し早い“怪談”だったりして……？　怖いけれど、ちょっとのぞいてみたい……。心をくすぐる写真がほっこりエピソード満載だったと、SNSで10.7万件ものいいねを集めている。そんなオナガドリの写真を投稿したナンシー・クレオパトラ・ドゥ・メディシス（@Nancy65094154）さんに聞いた。

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「さー、大仕事。シャンプーするぞ」というコメントと共に投稿されたのは、お風呂のフタの上で大人しくしている土佐のオナガドリの写真。日本の特別天然記念物に指定されているニワトリの品種のひとつで、玉鬘（たまかずら）という名前から、「玉ちゃん」のニックネームで親しんでいるという。

　年に1度羽が生え変わるタイミングと、品評会の前などに、シャンプーをするというナンシーさん。洗っている最中は、日頃のスキンシップのおかげもあり、水も水の音なども怖がることなくおとなしいそう。

「5メートル66センチある尾羽が切れないよう、洗うときは絡まないようにていねいに扱っています」と説明。シャンプーは人間が使うロング専用のダメージヘア用のものを使う徹底ぶりで、「シャンプーは2回、トリートメント1回。ドライヤーで乾かした後は、椿オイルで油分を補給しています」と我が子のように大切にしている。

　乾いた尾羽はフワフワしているが、ぬらしてしまうと一気に重くなるそう。投稿で“大仕事”としたのは、乾燥させるまでに2時間ほどかかるからだと言い、「羽毛布団やダウンジャケットを水に浸してしまったことを想像してみてください」と苦笑い。投稿を目にした人からは「大変な努力の上の美しさなんですね」「カセットテープのテープかと思った」などの反応が寄せられた。

　幼少期から魚や両生類、爬虫類（はちゅうるい）などを飼育してきたナンシーさんは、「特に鳥が好きで、中でもオナガドリが子どもの頃から好きで、いつか飼いたいと思っていました」と回答。現在は、オナガドリを中心に、ニワトリが約50羽。クジャク1羽。メンフクロウ3羽などと暮らしている。

　オナガドリを飼育するため転職し、23歳のときに卵を入手したナンシーさんは、玉ちゃんの卵を自分でふ化させ育てて来た。現在は、日本鶏保存会など、保存する団体に所属し、飼育、繁殖、保存に努めている。

　10万件以上もの、いいねを集めたが、「私も飼っています」「昔飼っていました」「私も飼いたいです」など仲間になりそうな声が1件もなかったことを寂しく思っているそう。「それだけ、貴重な存在なんですよね。結婚相手を見つけてあげるのに苦労しているので、もし、飼育者さんがいましたら、仲良くしてください」と呼びかけている。

　オナガドリはオスの尾羽が長くなることが特徴で、ギネス記録を持つオナガドリは18歳で13.5メートルの尾羽を誇っていたそう。5歳10か月の玉
ちゃんの尾羽は成長中で、ギネスを塗り替える可能性もある。

　興味を持った人には朗報。「フクロウ神社」として知られる栃木・珂川町の鷲子山上神社で、たくさんの鳥が集まる「愛鶏とのふれあいイベント」が5月3～5日に開催。ナンシーさんと玉ちゃんは、3日に参加を予定している。