“大食い魔女”菅原初代さん、晩年に語っていた過酷トレーニングと「年齢的な衰え」

“大食い魔女”として数々の大食い番組で活躍した菅原初代さんが、9日に亡くなった。59歳だった。ENCOUNT編集部では昨年1月、大腸がんと診断される直前の菅原さんをインタビュー取材。番組では見せない“魔女”の素顔と、近年の大食い番組への本音を余すところなく語っていた。

菅原初代さん
菅原初代さん

昨年6月に大腸がんと診断されて以降は療養生活を送っていた

“大食い魔女”として数々の大食い番組で活躍した菅原初代さんが、9日に亡くなった。59歳だった。ENCOUNT編集部では昨年1月、大腸がんと診断される直前の菅原さんをインタビュー取材。番組では見せない“魔女”の素顔と、近年の大食い番組への本音を余すところなく語っていた。(文=佐藤佑輔)

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 菅原さんは2008年、テレビ東京系『元祖!大食い王決定戦』で3連覇のかかったギャル曽根を下し優勝。以降驚異的な強さで3連覇を成し遂げた。3連覇した10年には初の“殿堂入り”となり、一度は表舞台から姿を消すも18年に復帰。地元岩手でパン屋「カンパーニュ」を経営しつつ、大食いにも意欲的な日々を過ごしていたが、昨年6月に大腸がんと診断されて以降は療養生活を送っていた。

 オンライン取材では開口一番「Zoomは初めてて緊張しますが、頑張ります!」と話すなど、“魔女”らしからぬ、かれんさが印象的な人だった。一方、取材の中で垣間見えたのは、意外にも理論派の一面。「大食いは頭脳戦、試合では数学的な考え方が非常に有効なんです。試合中は頭の中でずっと数字を追っていて、計算通りに食べ進めればおのずと勝ちが見えてくる。だから私は、試合中に時計が見えないとイラつくんです(笑)」。子どもの頃から計算やノルマをこなすこと、物事を効率的に考えることが得意だったといい「大食いのペースは比例ではなく、微分積分」なのだと語っていた。

 全盛期はあまりの強さから「大食い王決定戦」は“殿堂入り”。特別ゲストなどでの出演はあったものの、ギャル曽根に続くニュースターを作りたいテレビ局からは声のかからない日も続いた。生粋のフードファイターでなく、タレントやYouTuberばかりが台頭する近年の大食い番組には複雑な思いも……。「今は記録よりも、面白おかしい映像を作ることの方が大事みたいですね」。あるプロデューサーからは「たとえお前たちが10キロ食べようが関係ない。俺は2キロ3キロ食べる素人でもウケる番組を作れる」と面と向かって記録をないがしろにするような発言をされたこともあるという。

 マラソンが趣味で167センチ、57~58キロという細見の体型も、大会前には「皮下脂肪と内臓脂肪を落とすことで、胃を広がりやすくなり、脳が満腹感を感じづらくなるんです」と徹底したトレーニングで10キロ近い減量を欠かさなかった。「年齢とともに代謝が落ち、減量期になかなかやせなくなってきた。年齢的な衰えは感じます」と語っていたが、それでも「今の若い人には負けませんよ。事前に日程を決め、同条件のもとタイムを計って行う試合形式であれば誰にも負けるつもりはありません。オファーがあればいつでも出ますよ」と変わらぬ闘志を燃やしていた。

 圧倒的な強さで大食いブームの一時代を築いた“魔女”菅原さん。近年のキャラクター重視の大食い番組の中で、とことん勝ちと記録にこだわるアスリート肌のフードファイターだった。

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