俳優の松山ケンイチが2日、都内で行われた映画『ロストケア』（3月24日公開）完成披露舞台あいさつに登場した。当日は、共演者の長澤まさみ、鈴鹿央士、戸田菜穂、加藤菜津、前田哲監督、原作者の葉真中顕も登壇し、同作をアピールしていた。

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　同作は松山と前田監督、有重陽一プロデューサーが長年温めてきた思い入れのある作品だという。MCから「今、どんな思いですか」と質問が上がると、松山は「単純に形になったということでうれしかったというのと、今日はお客さんの反応を見たいなと思って一緒に見ていたんですよ。映画を見ているお客さんって面白くないと頭とか動くんですね。僕、ずっと皆さんのことを監視していたんですけど、あまり動いてなかったんです。しかも、柄本（明）さんの演技で鼻をすする音が聞こえました。それは、自分が感動する部分とほとんど一緒だったんです。皆さんの空気感の中で見られてありがたかったです」と感慨深げに語った。

　同作は葉真中のデビュー小説の映画化。42人殺人事件を担当する検事・大友秀美（長澤）は訪問介護センターに勤めていた殺人犯・斯波宗典（松山）と対峙（たいじ）する。斯波は犯行を認めるものの“殺人”ではなく“救い”だと主張する。

　当日に初めて同作を鑑賞したという松山。MCが「（これまで見られるタイミングはあったのに）なぜ、我慢されたんですか」と聞くと、松山は「どういう作品になっているのかという俳優的の目線の前に、お客さんがどう思うのか、まず共有したかったんです。この作品は僕自身の自分事になるものと思っているんですね。僕だけではなくたくさんの人の前にいつかは現れる可能性がある。それをまず共有したかったというのがありました」とその理由を明かした。

　続けて、松山は「斯波を通して斯波が大友に対して知ってほしいというものが伝わったなと思います。今、日本は平和だと言われてますが、穴はいろんなところにあって、たくさんの人が穴に落ちてしまう可能性がある。だけども、こういう問題は見たくないという風にはできなくなってしまっていると思うんです。未来のためにも見なくてはならない。いろんな人と共有しなければならない問題ですし、家族や親、奥さま、旦那さまにも知ってもらいたいなと思います」と同作をアピールしていた。