人生で1度の成人式を思いっきり“自分らしく”――。鮮やかな振り袖姿で、さっそうと雪山をスノーボードで滑る動画が大きな話題を集めている。二十歳でスノーボード歴約4年の蚊取り線香さん（@Katorisenkou_ks）による、とびっきりの思い出になった「振り袖スノーボード」。充実感と感謝の思いにあふれている。

「成人式行ってきました！！！」。今月9日に投稿されたツイートは、4.9万件以上のリツイート、20万件超のいいねを集めている。

　それもそのはず。真っ赤な振り袖、金色の帯、ショールの和装姿で、豪快にスノーボードで滑走しているからだ。躍動感満点の動画は数種類投稿されており、蚊取り線香さんが華麗にカービングターンを決める様子が映し出されている。長野・上田市武石番所ヶ原スキー場で、成人の日の同日に撮影したのだという。

　蚊取り線香さんの“自己プロデュース”による企画だといい、「（スキー場に）滑走していいか許可を取り、振り袖を着て滑っていただけなので、完全に私一人で始めたことです。ですが、私の私らしい成人式になったと思います」と教えてくれた。

　スノーボード動画を思い至った理由とは。

「私は元々不登校児で、親とも仲良くなく、今は進学で京都に住んでいますが、実家が青森なので帰省も大変で、成人式に出席するという選択肢がありませんでした。

　ですが、せっかく20歳になれたので、何もしないのはつまらないですし、元々コスプレ滑走をたまにしていたのもあり、記念に振り袖を着て、スノーボードをしようと思いました。

　今回、振り袖でスノーボードをして成人式をしたこと。よく変わってると言われる私らしい、私だけの成人式になりました。とても思い出になりました」。万感の思いだ。

　最初のツイートだけでも閲覧数が「約867万件」で、文字通りバズっている。「反響については驚きの一言です。ただ私は、成人式をちゃんとしたよ、とフォロワーさんに伝えたかっただけですが、もっともっと多くの皆さんにお褒めの言葉と、お祝いの言葉をいただき、うれしい限りです。振り袖スノーボードをして良かったです！」。

　振り袖について、蚊取り線香さんはコメント欄を通して「レンタルはさすがにこんなこと出来ないです　フルで新品と中古混ぜ混ぜで2万円で購入しました！」と報告している。着物はポリエステル製だという。実際に滑ってみた際の苦労話やエピソードを聞くと、こんな回答が。

「振り袖を友人に着付けていただいたのですが、何せ激しい滑りなものでとっても着崩れし、大変でした。途中で1回着付け直し、安全ピンを1ケース使い、崩れないようにしましたw

　滑っている時は案外振り袖は温かく動きやすかったです。唯一袖をエッジで踏まないか心配でしたが。

　毎回リフトを乗り降りするたびにリフト係のおじ様方がおめでとう！　と言ってくださり、毎回ありがとうございます！　と返してましたw

　また、一般のお客さんたちも、きれいねおめでとう！　滑るの上手ね！　と声をかけてくださり、皆さんにお祝いをしていただいて本当の成人式のようでした（本物の成人式は出たことないですが）」。ほっこり話を聞かせてくれた。

　ボードにもこだわりがあるそうで、「フリースタイルのスノーボードです。板は『痛板』というもので、痛車のスノーボード版です。自分の好きな初音ミクのステッカーを貼っています。自分の好きな物に囲まれて幸せでした」と振り返った。

　成人として歩む今後について「これからも、自分らしく。やりたいこと、興味を持ったことを全力で楽しみながら生きて、かっこいい大人になりたいです」と、新たな決意を示した。