釣り人涙…!“三密”にあたらない釣り場も次々と閉鎖、休業に追い込まれ厳しい現状

沖釣りの風景【写真:世良康】
沖釣りの風景【写真:世良康】

船宿は休業、船長自ら漁に出て魚を釣るが……

 では、沖釣りはどうか。

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 船宿は休業要請対象施設に含まれていないため、各船宿で自主的に感染防止対策を立てて出船している。

 その対策とは、マスク装着、消毒や手洗い、定員削減、それに三密になりやすい船室の使用禁止が主だ。しかし、釣り場まで2時間を超えるような遠出となると船室の使用は不可欠なので、ほとんどの船宿は遠征釣りを控えている。

 思い切って臨時休業を選んだ船宿もある。関東で先陣を切ったのは、横須賀・新安浦港の「こうゆう丸」だ。荻野裕司船長が言う。

「7日に国が緊急事態宣言を出した以上、国民は感染の拡大防止に協力する義務があると考えました。お客さんやスタッフの健康のためだけなら、防止策を徹底すれば船は出せます。しかし、お客さんの6割は東京からで、釣って帰るだけではなく、コンビニに寄ったり、会食をして帰るという方もいます。それがもし感染につながると元も子もありません」

 休業期間は22日までとしているが、今のままでは期限を過ぎても当分解除できそうにない。そうなると休業補償がどうなるか、生活に直結するだけに頭が痛いそうだ。

 休業して、船長以下スタッフ一同が漁に出て当座の生活費を稼ごうという船宿もある。下田のある船宿では、高級魚のキンメダイをねらって出漁し、目論見通り大漁だった。が、「いまは魚が安くて商売にならない」と言う。「高級魚を扱う東京の料理屋も自粛中なので、市場で買い手がつかないんだよ」というわけだ。

 漁で稼ごうとしても、燃料代など赤字を増やすだけなのだ。

釣るだけならいいが、バーベキューが感染源に

 お手軽に釣りが楽しめる場所として、川の管理マス釣り場も人気だ。

 都下、あきる野市の緑あふれる川沿いに展開する「秋川国際マス釣り場」では4月11日から営業を自粛中。
「マス釣り場は自然たっぷりの解放された屋外施設なので、自粛要請の対象外なんです。しかし、釣った魚をその場でバーベキューにして食べる場合がほとんどですから、自粛せざるを得ないでしょう。都心のお客さんから感染が広まったとなったら責任問題ですから……」

 そのほかのマス釣り場も、ほとんど5月中旬まで自粛予定だ。

ワカサギのドーム船は禁止、手漕ぎボートはOK

 湖のボート釣りも自粛か営業かで大揺れだ。

 エサ釣りやフライフィッシングでブラウントラウトやレインボートラウトがねらえる箱根・芦ノ湖は釣りOK。湖畔のボート店も営業している。

 富士五湖の西湖はいまヒメマス釣りの最盛期だが、5月6日まで全面禁漁宣言。釣りボート屋も全店休業。山中湖は26日までワカサギ釣りのドーム船のみ禁止。ただし、手漕ぎボートでの釣りはOKというからややこしい。

 このように、ゴールデンウイークを目前に控えた釣りの現場では、自粛か営業かの瀬戸際の攻防が続いている。この際家で仕掛けでも作りながら我慢するしかなさそうだ……。

□世良康(せら・やすし) 1948年10月15日、広島県生まれ。大学中退後、編集者、夕刊紙記者等を経て現在釣り雑誌を中心に執筆中。著書に「釣人かく語りき」など。2020年6月「釣りの名著50冊(仮題)」刊行予定。

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