「深川マンボ」が65年ぶりにオリジナル復活したワケ 「おどりの空間」公演で披露

宝塚歌劇団や歌舞伎で人気の楽曲「深川マンボ」が65年ぶりに原曲の楽譜とオリジナルの踊りで蘇ることになった。日本を代表する舞踊家、演出家の村尚也氏(69)が率いるグループ「おどりの空間」が結成40周年を記念し、11月23日に東京・浅草公会堂で開催する舞踊ショー「音と踊りの饗宴」で披露する。

「深川マンボ」が「おどりの空間」によって復活【写真:ENCOUNT編集部】
「深川マンボ」が「おどりの空間」によって復活【写真:ENCOUNT編集部】

11月23日に東京・浅草公会堂で開催する舞踊ショー「音と踊りの饗宴」で披露

 宝塚歌劇団や歌舞伎で人気の楽曲「深川マンボ」が65年ぶりに原曲の楽譜とオリジナルの踊りで蘇ることになった。日本を代表する舞踊家、演出家の村尚也氏(69)が率いるグループ「おどりの空間」が結成40周年を記念し、11月23日に東京・浅草公会堂で開催する舞踊ショー「音と踊りの饗宴」で披露する。(取材・文=平辻哲也)

「深川マンボ」は邦楽「深川」を大胆に解釈したアップテンポなナンバー。宝塚や歌舞伎のファンにもおなじみ。戦前から戦後にかけて活躍した大スターの長谷川一夫や女優、歌手、舞踊家の朝丘雪路も何度も踊ってきた。そのオリジナルは、戦前から戦後にかけて活躍した日舞の大家、初代・西崎緑(1911~57)にさかのぼる。西崎は当時、目新しかった洋楽と邦楽を合奏アレンジし、それに合わせショーアップされた舞踊として、テレビやさまざまな劇場で披露し、一時代を築いた。

 歌舞伎、能、文楽などの伝統芸能からNHK「紅白歌合戦」や「モーニング娘。」の日舞イベントまで幅広い振り付けを手掛け、国内外で活躍する村氏が、65年ぶりのオリジナル復活の理由を明かす。

「『深川マンボ』は西崎緑先生が太平洋戦争中の1940年代に考えたもので、軍隊の慰問などで人気になり、その後いろんな方がアレンジを変えながら踊ってきたものなんです。そのオリジナルの振りを忠実に再現できるのはうち(おどりの空間)にいる西崎絵壬乃(えみの)と西崎櫻鼓(さくらこ)だけです。音源も不鮮明なSPレコードしか残っておらず、オリジナルは洋楽と邦楽が混ざりあった楽曲なので、誰もオリジナルには手をつけられなかったんです」

「おどりの空間」でも、SPレコードの音源を元に踊ってきたが、本公演では、ポピュラージャズから歌謡曲までこなす実力派バンド「東京エキゾチカ」が当時の楽譜を元に生演奏し、三味線を始めとする邦楽器とのコラボレーションを見せる。ほかにも、初代・西崎緑作品には「ソーラン節」「会津磐梯山」「八木節」といった誰もが知っている曲も一挙に特集する。

 舞踊家の西崎絵壬乃(55)は「日本舞踊は歌舞伎などの古典舞踊が主に基本になっているんですが、西崎流は古典でも洋舞でもなく、今の日本人の踊りとして創作しています。振りはそのまま残しつつ、今の時代に合うようにお客様に届けたい」。西崎櫻鼓(36)は「初代西崎緑先生がいろいろな土地に回って、土着的な民謡にモダンダンスを取り入れたのが西崎流の民謡です。今の時代に寄り添いながらも、古い民謡の良さを今のお客様に楽しんでもらえるように頑張りたい」と意気込む。

 公演では、俳優・津川雅彦と女優で舞踊家・歌手の朝丘雪路の長女で女優の真由子(48)が歌手として登場。村氏が朝丘の演出を手掛けた縁で実現したもので、朝丘が得意としていた俗曲(三味線などで歌う、短く、軽い曲のこと)「さのさ」などを披露する。

 最近は「東京エキゾチカ」をバックにジャズシンガーとしても活躍する真由子は「母の歌声は聴いてきましたし、2歳から日舞も習っていましたが、実際に自分が歌うのは初めて。俗曲はちゃんとしたメロディーがあるわけではなく、自由に歌っていくんです。ジャズでも雰囲気で歌うことはありますが、伴奏と合わせ、踊りの方のことも考えないといけない。難しさが違います」と話す。

 演目の中には、人気アニメ「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」もあり、子どもからシニアまで楽しめる3部構成。「各地方に伝わるいつもの民謡や舞踊とはひと味もふた味も違ったショーアップされた、初代・西崎緑の民謡舞踊をまとめて見られる機会はほかにはありません」と村氏。65年の日舞の歴史を一気に体感できる公演になりそうだ。

次のページへ (2/2) 【写真】舞踊ショー「音と踊りの饗宴」出演者たち
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