「お客さんの反応が薄くて」 W杯開幕、スポーツバーが“異変”に嘆き「『今年やるの?』と」

いよいよ開幕を迎える、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会。1次リーグでドイツ、コスタリカ、スペインの世界の強豪と対戦する日本代表「サムライブルー」の活躍が期待される中で、サッカーファンやスポーツバーが気をもんでいるのが、試合時間だ。中東カタールと日本の時差は「6時間」。1次リーグ最終戦・スペイン戦で言うと、現地時間で12月1日午後10時キックオフなのだが、日本時間だと翌2日午前4時。朝方になるのだ。一般サラリーマンにとって、翌日の仕事に響きかねない“過酷日程”でもある。一方で、新型コロナウイルス禍の影響もあり、本来は“書き入れ時”のスポーツバーには悩ましい事情もあるという。当事者の声を聞いた。

サッカーW杯カタール大会は時差による試合の放送時間が悩ましい(写真はイメージ)【写真:写真AC】
サッカーW杯カタール大会は時差による試合の放送時間が悩ましい(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ドイツ戦は午後10時、コスタリカ戦は午後7時、スペイン戦は午前4時 店側は「密集する機会をPRしにくい」

 いよいよ開幕を迎える、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会。1次リーグでドイツ、コスタリカ、スペインの世界の強豪と対戦する日本代表「サムライブルー」の活躍が期待される中で、サッカーファンやスポーツバーが気をもんでいるのが、試合時間だ。中東カタールと日本の時差は「6時間」。1次リーグ最終戦・スペイン戦で言うと、現地時間で12月1日午後10時キックオフなのだが、日本時間だと翌2日午前4時。朝方になるのだ。一般サラリーマンにとって、翌日の仕事に響きかねない“過酷日程”でもある。一方で、新型コロナウイルス禍の影響もあり、本来は“書き入れ時”のスポーツバーには悩ましい事情もあるという。当事者の声を聞いた。

 日本代表の1次リーグ日程を見ると、ドイツとの初戦は11月23日(水)午後10時開始。勤労感謝の日で祝日だが、翌日は木曜日のウイークデー。試合が終わるのは午前0時近くが予想され、どこかで外に出て観戦するにしても帰りの終電が心配だ。

 コスタリカとの第2戦は、日曜の夜。11月27日午後7時だ。ベストコンディションで観戦・応援に臨めるだろう。ただ、試合後に盛り上がり過ぎると、翌日は週の頭の月曜日。ビジネスパーソンにとっては、“月曜日への不安”が脳裏によぎるかもしれない。

 12月2日午前4時からのスペイン戦は、1日は木曜日で、2日は金曜日。ウイークデー真っただ中なのだ。

 今大会の1次リーグは日本時間だと、午後7時、午後10時、午前0時、午前1時、午前4時を基本として試合が組まれている。優勝候補ブラジル、スーパースター・メッシ擁するアルゼンチン、前回大会優勝のフランスなど世界のチームも深夜・未明の時間帯は例外ではない。

 欧州リーグにも詳しい都内の30代男性会社員は日本代表戦について、「ドイツ戦とコスタリカ戦はまだ見やすいかなと思っています。コスタリカ戦は午後7時と普通の時間なのでバーなどに行っても余裕を持って見られそうですが、ドイツ戦は終電が微妙な時間。スペイン戦は早朝で睡眠時間を削らないといけないので、迷います。ただ待ちに待った大会なので、仕事に支障が出ないように工夫して見たいですね」と話す。

 南米勢の優勝を予想しているといい、「有力候補のブラジルやアルゼンチンの試合も見たいですが、ブラジル戦などは未明の試合ばかり。正直すべてを追うことは体力的に難しいですが、W杯は4年に一度の祭典。個人的には五輪よりも楽しみにしています。午前4時など早朝開始の試合はもう逆に早く寝て、早起きして見ようと思っています。目覚まし時計の音をいつもと変えたり、爆音の曲にして起きやすい環境を作りたいと思っています」。W杯モードで過ごすという。

 イングランド・プレミアリーグをこよなく愛する大阪府の30代男性会社員は、前回ベスト4のイングランド推しだ。日本代表選手は今夏にリバプール(イングランド)からモナコ(フランス)に移籍したMF/FW南野拓実選手に注目している。

 録画ではない“リアタイ派”で、「どうしてもリアルタイムで見たいので、日をまたがない試合、午前0時以降開始の試合、朝方の試合で、優先順位をつけて事前に仮眠をとったり、素早く寝られるようにホットミルク常備で観戦します」と気合十分だ。もう本番仕様の生活習慣で体を慣らしており、「すでに4時間睡眠の生活を続けていて、日中に眠くならなくなりました。それでも無理な時は、気持ちで乗り切ります」と、W杯観戦への並々ならぬ決意を明かす。

スポーツバーのオーナーは首をかしげる「お客さんの反応が薄くて芳しくない」

 一方で、千葉県内のスポーツバーの男性オーナーは日本代表戦を含めてW杯の試合映像を流して盛り上げるつもりだが、今大会の“異変”を感じている。「ウチは約10年やっているのですが、どうも日本戦の日の予約、お客さんの反応が薄くて芳しくないんです」と首をかしげる。

 4年前のロシア大会は「その前のブラジル大会と比べても、客の入りがすごかったです。ウチは地下にあるのですが、階段からのぞく人もいたぐらいでした」。今回のカタール大会は、11月に入っても、「サッカーが好きだというお客さんにこちらからPRしても、『今年やるの?』という反応が返ってくるぐらいです。これまでは『まだ空いてますか?』と聞かれることが普通だったのですが……」という状況。もともと学生の客が多く、当日の“飛び込み”の来客に期待しているとのことだ。

 いつもより落ち着いた状況は、長引くコロナ禍の影響が色濃く出ている。ここのところ感染者が全国的に急増している面もあり、「同業者に状況を聞いてみても、『大々的に試合観戦の募集をかけるのは微妙だよね』という声を聞きます。確かにそうで、表立って多くの人が密集する機会をPRしにくいんです」。もどかしい事情を明かした。「ウチは学生さんが多いので、コロナ禍でイベント飲みやサークル飲みの機会が減り、代替わりもする中で、学生たちへのウチの店としての認知度を高められていないという理由もあると考えています」と話す。

 開幕後に試合の放送やニュース報道が増え、機運が高まることで、集客が高まることは十分に見込まれる。「やっぱり初戦のドイツ戦でしょう」と男性オーナー。「死の組」とも言われる1次リーグE組で、日本が初戦に勝てば、W杯への注目度・期待感は一気に上昇するだろう。「もし、初戦に負けたとしても、コスタリカ戦は日曜夜のいい時間帯ですし、お客さんは自然と集まってくると思います。とにかく、日本代表の健闘を願っています!」と、エールを送っている。

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