三遊亭好楽「辛かったんだろうね」 医者も家族も弟子もいない時に円楽さんは「ひとりで逝った」

9月30日に肺がんのために72歳で亡くなった落語家・三遊亭円楽さんを偲ぶ一門会が28日、東京・国立演芸場で行われた。

円楽さんを偲ぶ会に登場した三遊亭好楽【写真:ENCOUNT編集部】
円楽さんを偲ぶ会に登場した三遊亭好楽【写真:ENCOUNT編集部】

円楽さんがこだわった円生襲名に言及「必ず円楽も円生も継がせます。それが私たちの役目」

 9月30日に肺がんのために72歳で亡くなった落語家・三遊亭円楽さんを偲ぶ一門会が28日、東京・国立演芸場で行われた。

 例年、同所では、10月の特別企画公演「五代目圓楽一門会~秋の一門祭り~」が開催されることが吉例になっている。今年も28日から30日の3日間、開かれるが、当初、初日は円楽さんの復帰を記念し「六代目を囲む会」を開催する予定だった。

 今年8月、円楽さんにその旨を打診した一門の三遊亭竜楽によれば「本人もやる気満々で、ぜひ出たいと言っていました」。

 円楽さんの死去に伴い、急きょ「六代目を偲ぶ会」に変更。会場入り口では円楽さんの大きな写真が大勢の観客を迎え、献花台、弔問記帳台も設置された。

 円楽さんの最後の弟子、三遊亭楽太が開口一番として上がり、円楽師匠が高座に向かう際の様子を形態模写したり、不倫ネタで笑いを取るなど、何でもありの雰囲気づくりに成功。しんみりすることなく「一門のスーパースター」(三遊亭兼好)を悼んだ。

 仲入り前には座談会が設けられ、同会をプロデュースした竜楽の進行で、五代目圓楽の高弟である三遊亭鳳楽、三遊亭好楽、三遊亭園橘、円楽さんの総領弟子の三遊亭楽生が円楽さんの思い出を語り合った。

「楽ちゃんは非常に頭がいい」と前座修行を一緒にした鳳楽は、「5代目の円楽師匠は酒を飲まなかった。それでもお中元やお歳暮で全国から酒が届く。弟子に対しても、若いうちから飲んじゃいけないと。ある年、大掃除のときに酒を捨てるように言われた。それを(師匠の)うちの裏の空き地に埋めて隠して、(夜)8時ごろ、2人で掘り出して飲んだことを覚えています」と、機転を利かせ酒にありついたことを振り返った。

 人気番組「笑点」で長年共演してきた好楽は、亡くなった日の様子を明かした。

「(夜)8時ごろに家に行って、顔を見たら笑っている。今までの円楽の顔、寝ているような顔。辛かったんだろうね、2年半の闘病生活が」と、がんや脳梗塞と向かい合った円楽さんの苦労を推し量った。

 さらに病院での臨終の様子についても言及した。

「(家族も)呼んでもらえなかった。(ひとりで)亡くなったんです。お医者さまのいない間に、家族がいない間に、弟子がいない間にすっと逝っちゃった」と、人に気遣いをさせない、気働きを利かせた人生の閉じ方だったことを伝えた。

 圓楽さんが最後まで襲名にこだわった大名跡、三遊亭円生の今後については、「名前の継ぎ方はその人でおしまいじゃなくて、7代目、8代目と続かないといけない。うち(の一門)の場合、必ず円楽も円生も継がせます。それが私たち(五代目圓楽の弟子)の役目ですから、必ずそれは実行させていただきたいと思います」と力強く宣言した。

 志半ば、芸半ばの円楽さんだったが、10人の弟子を育て残した。

 これから一門を引っ張ることになる総領弟子の楽生は「先代の円楽師匠が最後の高座を務めたのが、ここ国立演芸場でした。また、うちの師匠も最後の高座はここでした。この機会を設けていただいて、ありがたいなと思います」と周囲に感謝。「師匠の遺志を継いで、何とか6代目の一門として、一人でも二人でも世に出ていけるように頑張っていきたいと思います」と誓った。

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