「1日開けても、1人もお客が入らない日も」今、全国のミニシアターで起こっていること

京都の「出町座」
京都の「出町座」

削れない家賃と光熱費「夜の回は閉めようかと準備をしています」

 河本支配人はミニシアター経営の内情もこう明かした。

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「映画館にはスタッフの人件費、家賃、光熱費がかかります。どんなに収入が減っても、経費を削っても、家賃や光熱費だけは削ることはできないんです。光熱費は月に11~12万円。人件費については厚生労働省の雇用関係助成金を申請しましたが、それでも、助成金は3分の2。残りの3分の1はこちらで用意しなければいけません。尾道市内も夜、街を歩く人は少ないので、来月からは夜の回は閉めようかと準備をしています。そうすれば、電気代も3~4万円は違うので」

 シネマ尾道では、このピンチを乗り切るべく、SNS上で支援を呼びかけた。これまで行っている会員制度「シネマ尾道友の会」を拡充。これまで1人1口・1万2000円だった年会費を複数申し込みできる形にして、「会員特典として一口につき、招待券10枚を進呈いたします。会員様ご本人以外もご使用いただけます。招待券を会社の皆さま、ご家族、ご友人などとシェアしていただき、コロナウイルスが終息した時期に、皆さまで映画館に足をお運びいただき、映画を楽しんでくださればと思います」と会員にも増口を呼びかけている。

 同じく映画の街、京都市上京区にある2スクリーンのミニシアター「出町座」は、クラウドファンディング「モーションギャラリー」を使った新たなプロジェクトを行っている。出町座は地下1階(42席)と2階(48席)に2スクリーン、1階はカフェ「出町座のソコ」&書店「CAVABOOK」、3階はギャラリーやイベント、講座など様々に使えるフリー・スペースという複合文化施設。2017年12月に誕生した。

 新プロジェクトは、複合文化施設の強みを活かし、新型コロナ終息後に使える「出町座未来券」を発行するというもの。映画鑑賞、図書購入、カフェ利用に使える3種類があり、さらに遠方のファンに向けては「出町座のソコ」オリジナルコーヒー豆セットを3か月間、お届けするセット(6000円)なども用意している。目標200万円のところ、4月5日現在で、517人が賛同し、350万2707円が集まっている。こうした取り組みは全国のミニシアターの興行主の参考になるだろう。

「ありがたいことだなと思っています。コロナの状況が悪くなっていく中、ふさぎ込んだり、物理的にもこもる人が増えています。映画館のお客さんも前年比5~7割程度。あまり接触もできないので、お客さんからも感想を聞く機会はなくなってしまいました。それがこのプロジェクトを行ったことで、いろんな反応を頂き、なにか物事がひっくり返ったような気がしました」と、出町座の運営会社「シマフィルム」の田中誠一さんは話す。

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