Netflixの米猟奇犯罪ドラマ「ダーマー」が初登場グローバル1位 実話ベースの作品に批判の声も

Netflixは28日(米国時間27日)、9月第4週(19~25日集計)のグローバルTOP10を発表した。TV部門では米ドラマ「ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語(英題:DAHMER: Monster: The Jeffrey Dahmer Story)」が初登場1位を獲得した。総視聴時間は1億9620万時間に達し非英語TV部門(非英語)と合わせてもダントツの1位となった。日本のテレビTOP10では韓国ドラマ「シスターズ」が、8週連続で1位をキープしていた同「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を抜いて初めて1位となった。

グローバル1位に踊り出た米犯罪ドラマ「ダーマー」【写真:(C)Netflix】
グローバル1位に踊り出た米犯罪ドラマ「ダーマー」【写真:(C)Netflix】

「私の話を誰もが無視した」 米社会の制度的欠陥を告発

 Netflixは28日(米国時間27日)、9月第4週(19~25日集計)のグローバルTOP10を発表した。TV部門では米ドラマ「ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語(英題:DAHMER: Monster: The Jeffrey Dahmer Story)」が初登場1位を獲得した。総視聴時間は1億9620万時間に達し非英語TV部門(非英語)と合わせてもダントツの1位となった。日本のテレビTOP10では韓国ドラマ「シスターズ」が、8週連続で1位をキープしていた同「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を抜いて初めて1位となった。

(※以下、ドラマの内容に関する記述があります)

「ダーマー」は1978年から91年の間に17人もの若者を殺害して遺体を損壊した連続猟奇殺人犯の白人男性ジェフリー・ダーマーを描いた実話ベースのストーリー。2002年のホラー映画「ダーマー」、17年のドラマ「マイ フレンド ダーマー」に続く作品で、被害者が主に黒人で同性愛者だったという事実をもとに、一連の事件の背後にあった白人による黒人への人種差別や警察の怠慢などに光を当てている。制作総指揮を務めたライアン・マーフィーは元ジャーナリスト。90年代半ばからTVドラマの脚本や製作に携わりミュージカルドラマ「glee(グリー)」が社会現象になる大ヒットを記録。O・J・シンプソン事件やヴェルサーチの暗殺などを描いた「アメリカン・クライム・ストーリー」(16年~)で米テレビ最高栄誉のエミー賞を受賞した。

 Netflix版「ダーマー」は全10話。ジェフリー・ダーマー役の俳優エヴァン・ピーターズはテレビシリーズ「アメリカン・ホラー・ストーリー」や映画「X-MEN」シリーズのクイックシルバー役で人気を集め、ライアン・マーフィー作品の常連としても知られている。前半はジェフリーの衝撃の犯行がリアルに描かれ見るに堪えない残虐なシーンも登場するが、幼少期に両親が離婚したことやそれによる孤独と疎外感をにじませ、後半に入ると徐々に連続殺人犯の家族、地域住民、被害者遺族の視点によって連続殺人事件を見逃してしまった米社会の制度的欠陥があぶり出されていく。

 第1話冒頭から登場するアパートの隣室に住む黒人女性グレンダはジェフリーの部屋から漂ってくる悪臭や不気味な物音に疑念を抱き、何度も警察に通報するが相手にされない。警察の無策によってジェフリーは野放しとなり残酷な事件が何度も繰り返されていった。グレンダが「私の話を誰もが無視した」と訴えるせりふが強い印象を残しており、告発型の社会派ドラマとして見ごたえがあるのは確か。エミー賞を受賞したニーシー・ナッシュが正義を求めて戦うグレンダを演じているところも大きな見どころだ。

 一方、実際に起こった過去の事件のドラマ化には批判的な声も上がっている。米有力紙「ワシントンポスト」(27日付電子版)は「Rotten Tomatoesで50%の評価を得ている『Dahmer:Monster』は批評家と視聴者の間で意見が分かれている。いくつかのレビューでは(プロデューサーの)マーフィーが殺人者自身の行為によって犠牲者の物語を伝えようとしていることに注目している」と指摘し、今回のドラマ化について被害者家族の了解がなかったことを問題視している。Netflix史上最大のヒットとなった韓国ドラマ「イカゲーム」も残虐なシーンが頻繁に登場したが、こちらは創作された物語だ。全米を震撼(しんかん)させた実際の犯罪がドラマ化されることで今なお苦しむ人がいる、という事実は重い。

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