墨田区ごみ分別ボット、秀逸回答が大バズり 「もくろみ通り」仕掛け人が語る舞台裏

「墨田区ごみボットだよ。こんにちは。ごみの名前を教えてくれたら、出し方を案内するニャ」「上司」「嫌な上司に何かを期待するのはやめたらどうかな。そう、期待を捨てる」。墨田区が運営するAIごみ分別案内ボットの回答が秀逸だと、ネット上で度々話題を呼んでいる。お堅いイメージもある行政の清掃事務所から、なぜユニークな返しをするボットが誕生したのか。ボット開発に携わったすみだ清掃事務所の仲瀬謙二課長補佐に聞いた。

墨田区ごみ分別案内ボットの秀逸な回答の一例
墨田区ごみ分別案内ボットの秀逸な回答の一例

かわいらしい猫のキャラクターがごみの分別や出し方について案内するボット

「墨田区ごみボットだよ。こんにちは。ごみの名前を教えてくれたら、出し方を案内するニャ」「上司」「嫌な上司に何かを期待するのはやめたらどうかな。そう、期待を捨てる」。墨田区が運営するAIごみ分別案内ボットの回答が秀逸だと、ネット上で度々話題を呼んでいる。お堅いイメージもある行政の清掃事務所から、なぜユニークな返しをするボットが誕生したのか。ボット開発に携わったすみだ清掃事務所の仲瀬謙二課長補佐に聞いた。

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「オイラ、すみにゃーる。相談したい項目を選択するか、出したいごみの名前を入力してニャ」。墨田区のホームページからごみ分別案内ボットにアクセスすると、かわいらしい猫のキャラクター「すみにゃーる」がごみの分別や出し方について案内をしてくれる。ここに「上司」や「旦那」、「思い出」、「スカイツリー」など、ごみ以外の単語を入れると……。哲学的な回答や観光名所のトリビア、なぞかけ、過去の偉人の名言など、さまざまなパターンの秀逸な答えが返ってくる。そのボキャブラリーの豊富さから、これまで「ボットとは思えない秀逸な返し」「絶対中に人おるやん(笑)」とネット上で度々話題となってきた。

 墨田区ごみ分別案内ボットのサービスが開始したのは2018年7月30日。当時から開発や管理に携わる仲瀬課長補佐によると、立ち上げ当初から3000~4000語の質問に対応しており、現在に至るまで、毎月のようにアップデートされ続けている。

「開発のきっかけは、ごみの分別が分かりづらく、数多く寄せられる問い合わせが業務の負担となっていたから。ライフスタイルが多様化し、午前8時30分から午後5時15分の開庁時間に問い合わせできない住民の方もいる。365日24時間体制でごみの疑問にお答えするために、NTTドコモさんが提供しているボットサービスを利用することになりました」

「どんなに優れたサービスも使われなければ意味がない」話題の裏に緻密な戦略

 ユニークな切り返しのアイデアは、先行してボットを使っていた横浜市からアドバイスを受け取り入れた。事務所の職員や所長など、7~8人が中心となって、ありがちな質問や面白い切り返しを考え入力。区の仕事ながら遊び心を取り入れた裏には、より多くの人にこのサービスを知ってほしいという考えがあったからだ。

「どんなに優れたサービスも使われなければ意味がない。ご存知のように、我々行政は周知や広報があまりうまくありません。どうすればみんなに知ってもらえるか考えたとき、今は口コミやSNSで拡散してもらうことが一番有効じゃないかと気づいた。まずは面白そうだと興味を持ってもらって、そこから意外と便利だなと使ってもらえたらいいんじゃないかと」

 イベントの際にタブレットを持ち込み実際に区民に操作してもらうなど、地道な広報を続けた結果、予想通りSNSでバズり大反響に。仲瀬課長補佐自ら「もくろみ通り。しめた! という感じでした(笑)」というように、何度もSNS上をにぎわせている。今年7月には区民27万人に対し3万3000件以上のアクセスがあり、実際に業務の負担となっていた電話での問い合わせも4割近く減るなど、十分な効果を果たしている。

「我々清掃局の仕事は、いわゆるデスクワークのお役所仕事というイメージと違って、実際に街に出て、住民の方が何に困っているのか、どんなサービスを求めているのかを考える、より地域に密接した仕事だと思っています。新型コロナの初期の頃は、『感染のリスクがあるのに、いつもごみを収集してくれてありがとう』というお手紙をいただいたり、ちゃんと現場の職員の仕事ぶりを見てくれているんだとうれしく思いました」

 街や住民と直接関わる仕事だからこそ生まれた、ユニークな発想のごみ分別案内ボット。ごみの分別を調べるついでに、気になる言葉を入れてみてはどうだろう。

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