リリー・フランキー 絶妙なボケが「いだてん」にスピード感を生み出している背景

「いだてん」【写真提供:NHK】
「いだてん」【写真提供:NHK】

――「二・二六事件」など昭和史を演じてみて、新たな発見はありましたか。

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「戦国時代はたくさんの人が死んだでしょうが、それよりももっと身近な話です。例えば、軍がクーデターを起こして、総理大臣が殺されたりとか、戒厳令とか出たりとか、重い空気になりますよね。本当に恐ろしい」

――これまでで印象に残っている回はありますか。

「人見絹枝さんの回は感動的な回でした。メダルを取ったというドラマよりも、一人一人の歴史によって、人の自由が末裔にまで残っているということ。今、当たり前に見ていることが、人見さんたちのような人の努力のおかげでつながっているんだというところが、このドラマの見どころだと思う。遠い1000年前の話ではなくて、たったこの前までこんな状況だった。女性差別も含めて、日本は世界的な見識で遅れていたんです」

――自分が出演した中で、印象的なシーンを教えてください。

「新聞社のシーンを撮っている時は、ものすごくおっさんのガヤが多かった。みんなが言っていることですが、喉がとても痛くなるんですよ。みんながうるさいから、知らないうちにみんなの声がでかくなっている」

――「いだてん」は来年の東京五輪を見据えています。

「大河ドラマで、オリンピックの企画をやるというのは、相当ナイスな企画だと思いました。僕はあんまり時代劇を見ないので、こういう大河が見たかったです。同じ歴史を知るにしても『火を放て』とか、『馬をひけ』というのではないものをみたい。ちょうどお祭りの“前夜祭”として、やっている感じがあります。今の阿部さんの部になってから、もっと自分たちが暮らしている時代に近くなっているから、すごく生々しくなっている気がしますね」

――改めて五輪のイメージを教えてください。

「僕はイラストレーターとして、イラストレーターのあがりの仕事はオリンピックのキャラクターを書くことだと思うんですよ。ロス五輪のイーグルサムとか、バルセロナのコビー君とか。東京五輪のキャラクターが公募になったというのを聞いたので、『俺も応募しよう』と待ち構えていた。でも、知らないうちに締め切りが過ぎていたんです。今の決まったキャラクターは、売店とかで見ないようにしています。悔しいから」

□リリー・フランキー 
本名・中川雅也。1963年11月4日、福岡県北九州市生まれ。1986年に武蔵野美術大学卒業後、イラストレーターとして活動。作家、コラムニスト、ミュージシャン、写真家などマルチに活躍する。ドラマ「ハロー張りネズミ」「龍馬伝」、映画「モテキ」「そして父になる」「万引き家族」など多数の作品に出演。小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」はベストセラーになった。

(ENCOUNT編集部・中村智弘/Tomohiro Nakamura)

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